映画感想/「せかいのおきく」

登場人物が全員、生きてた。生きるってこういうことだなあと感じた。

現代に生きてる私たちより、よっぽど生きてるなあ、と。

現在は、生活に余裕がありすぎる故なのか、「なんのために生きるのか」とか「やりがい」とかそういうことを考えてしまいますが、それがない頃の現実を映し出したような。

いつもこういう意味を考えない生き方に憧れるのですが、もうこの時代の考え方に染まってしまった私にはいくら変えようと思っても変えることはできないし、多分死ぬまで「生きがい」とかを探し続けるだろうし、かといってそんな自分を否定したいわけでもないのですが。

あと一番気になったには、
「せかい」とか「青春」とかいう言葉は、この時代の日本にすでにあったのだろうか、ということ。(プログラムなどには書いてるのかもしれませんがそういうの読まないタイプの人間なもんで・・・)

なかったけど、あえて存在したことにして、書かれた脚本なのか。

あるいは、一部の日本人たちはすでに使っていた言葉なのか。

なんだかこの時代の価値観を思うと、まだ存在していなかった言葉のように感じられて、でもそれが違和感とかそういうわけではなく、とにかく考えさせられるピースとして素敵な働きをしていたと思いました。

以下、箇条書き。

・黒木華さんは大好きな俳優さんです。今回も本当に素敵でした。

・寛一郎さん。私は初めて知りました(すみません)。とても芯のある俳優さん。

・池松壮亮さんが演じる矢亮が、一番適当に生きてそうなフリをして、道端のお地蔵さんの前を通るたびに必ず挨拶をするのがとても愛おしかった。

・章立てで各章に題名があって、というのが案外新鮮で、そしてとても観やすかった。映画を観る上での良い道標になってくれた。そして各章の最後のカットだけがカラーで映される。すごくすごく意味があるのだと思うのですが、映画素人の私にはその効果の狙いは分からず。でもモノクロの世界に急にカラーが来ることで、ぐっと揺さぶられる何かがある。

・印象に残った台詞。
和尚がおきくを励ますとき「人には『役割』というものがありまして」
中次が矢亮に対して「気持ちは強いけど心は弱い」

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↓公式webより引用

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