見出し画像

個人輸入の関税と消費税について(実例編)

税関から過払いの消費税の返還を受けた話です。
前回課税の仕組みについて説明しましたが、個人輸入に税金がかかった場合の実例です。記事が長大になったので分けました。今回は配達員に税金と手数料を支払った後で金額の間違いに気付き税関に連絡したパターンです。何かの参考になれば幸いです。
結論から言うと返ってきたお金は600円。たったそれだけで何を大袈裟なと思われるかもしれませんが、私は何でも「やってみたい!何が起きるか見てみたい!」という性格なので、実地で体験、学習できる機会は見逃しません。こうして記事にもできますし…。

実例
さてここで私が実際に支払った税関について考えます。
税関到着日2022.2.26
支払った消費税2600円、通関手数料200円 

今回同梱した買い物
●タイのオンラインショップ
A店 カセットテープ×3、CD×1 ฿440
B店 CD×2 ฿550
C店 CD×2 ฿310
D店 CD×9 ฿873
E店 雑誌×1 ฿850
F店 雑誌×2 ฿388
G店 化粧品×7 ฿1,077
●タイの雑誌社
H社 雑誌×3 ฿597
合計 ฿5,085
●中国のオンラインショップ
I店 アクスタセット×1 936CNY
海外発送代行サービスB社ですべてを一度の同梱荷物として2022.2.21に転送依頼をかけ、日本にEMSで送ってもらいました。

2022.2.27
荷物が自宅に届きました。
荷物を受け取る際に郵便局の配達員に支払ったのは2,800円。

納付書・領収証書

なんか予想より高い…。今回はアクスタセットが高額なので課税されるだろうとは思い、簡単に計算していたので違和感を覚えたのですが、小心者なので言われたとおりに支払い、納付書・領収書を配達員から受け取りました。
本来不服がある場合は荷物を受け取らず、不服申し立てをすべきなのは言うまでもありません。(その場合、荷物を受け取るのは税金関係の手続きが終わってからになります)

「国際郵便物課税通知書」を見てみます。

品名は「CUSTOM DUTY FREE GOODS」になっていて関税0円。ですので支払ったのは消費税ということになります。
「消費税」2,184円→2,100円、
「地方消費税」592円→500円
合計2,600円でした。(100円未満は切り捨て)200円は通関手数料です。
課税標準は消費税は28,560円と地方消費税は2,100円とあります。地方消費税は消費税額をもとに計算される数字ですので、確認するべきなのは消費税の課税標準です。
この消費税の課税標準28,560円は個人輸入の措置である0.6を掛けた後の数字ですから28,560÷0.6=47,600円 47,600円海外で購入したことになります。
カード会社の請求額よりだいぶ多いです。

ひとまず、発送代行のB社に連絡をして、インボイス、税関告知書に記載した金額を調べてもらいました。チャットですぐに返事をいただきました。その回答は$304.66とのこと。
ここで初めてB社がUSDで申告していることを知りました。重ねていつのレートで計算しているのか質問すると、転送依頼を受けて発送するために書類を作成する時の概算レートだと教えてもらいました。
転送以来をしたのは2022.2.21
タイの買い物 ฿5,085×0.03078≒$153.52
中国の買い物 936CNY×0.15826≒$148.14
153.52+148.14=304.66USD
という計算だそうです。
送ってもらったEMSの控えにも
Total Value:304.66USDと記載されています。

送信してもらったEMSの控え

この情報をもとに消費税を計算します。
2022.2.26税関到着時の適用為替レート
1USD:115.41円
$304.66×115.41=35,160.8106
1,000円未満切り捨てなので35,000円
個人輸入なので0.6を掛けます。
35,000×0.6=21,000
課税対象額は2,1000円という計算になります。
消費税は10%ではなく、消費税(7.8%)と地方消費税(計算した消費税の22/78)を分けて計算します。
〇消費税
21,000×7.8%=1,638
100円未満切り捨てで1,600円
〇地方消費税
1,600×22/78=451.2820512…
100円未満切り捨てで400円
1,600+400=2,000円
私が今回支払うべき消費税は2,000円で手数料を足して2,200円になりそうです。
配達員に支払ったのは2,800円なので600円払い過ぎということになります。

2022.3.7
担当税関外郵出張所に電話をかけると、すぐに係の人が出ました。「課税標準価格の計算が違う」「税金はすでに払っている」旨伝えると、国際郵便物課税通知書を確認した日付、通知書番号、氏名を確認され
「304.66ポンドで申請されてますよね」と言われました。え?ポンド!?
「いえ、USドルです」と言うと「あー!」みたいなやり取りの後「お調べしますので後ほど連絡しますします」と言われました。ついに原因が判明しました。先方の入力ミスですね…。
ちなみに2022.2.26の為替レートは
1USD:¥115.41
1GBP:¥156.25
これでは完全に払い込み過ぎですね。

数時間後、先方から電話がありました。
担当者に言われたことは、返金の手続きをするので用紙を送る(FAXがあればFAXで送ってくれるようです)、配達員からもらった納付書・領収書の写しと買い物の領収書が必要とのこと。画面のスクショでもOKとのことでしたが、申請はUSD、実際にはTHBとCNY。代行業者がUSDで申請した旨伝えるとまた「あー」という感じでしたが、とりあえず実際の買い物の記録を印刷して欲しいとのこと。EMSの控えではダメみたいです。
注文履歴の画面印刷と、海外発送代行サービスの計算根拠のメールなどとりあえず言われた書類を用意して郵便が来るのを待ちます。
領収証書の写しが必要だと言われても海外通販サイトはアプリでのやりとりがほとんど。注文履歴の画面印刷と簡単に言われても解像度は低いし、印刷用画面はないし、Googleフォームだけでやり取りしていたものもあるし…。
B社が転送してくれた荷物にはショップの小箱がそのまま入っていて、箱にべったり明細書が貼り付けてあるものもありますが、無造作に開けてしまったのできちんと残っていません。
細かい買い物をしていたので、かなり手間がかかりました。だいたい税関担当者がこれを何に使うつもりなのか分かりません。すでにインボイスが提出されているのになぜ領収の確認が必要なのでしょう。
だんだん腹が立ってきたので同時に税関の所長あての意見書も用意しました。

2022.3.10税関から書類が来ました。

買い物の領収書は書いていませんね
返金用の用紙です
え、郵便料金受取人払いじゃないの?
税関に送る書類

ツッコミどころだたくさんあります。1枚目をみると、買い物の領収書がいるなんて書いていません。
返信用の封筒は今どきなのに長4サイズ。しかも切手をこちらで貼れと書いてあります。用意した書類はいちばん下の写真のとおりなので返信用封筒に入りそうもありません。仕方なく大きな封筒を用意して定形外料金140円の切手を買い、そのレシートのコピーも同封して、所長宛の意見書もいっしょに税関あてに送りました。

2022.3.15意見書に「メールで回答を」と求めていたのでメールが来ました。

メールの内容

こちらの言い分は通じたようです。

2022.3.31
封書が届きました。とりあえず、返金されることが正式に決定したようです。

特定記録郵便
年度内には片付きませんでした
切手も同封されていました

2022.4.5
ついに指定口座に入金されました!
金額は計算どおり600円です。
納税から還付まで37日間という長い道のりでしたが、金額の多寡ではない満足感がありました。納税は正しく気持ちよくしたいですからね。

うっかり既に支払っていても還付は受けられます。諦めずに納得がいくまで行動してみてください!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?