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【読書メモ】口腔ケアについて

こんにちは!MOT代表の Katsu です。
大阪でパーソナルトレーニング・ヨガ・整体・鍼灸などを行っています。

【ご挨拶】
自分の意見も含まれていますし、解釈が間違っていることもあるかもしれません。どうぞお手柔らかにお願いいたします。

発売日 ‏ : ‎ 2020/5/21

【本書のまとめ】
歯周病は“死愁病”!
成人の約8割がかかっているとされる「歯周病」。

【この記事のまとめ】
 ▶歯磨きだけではいけない
 ▶ビタミンの併用
 ▶原始的な食事だけだと歯周病にはならない


歯周病になるとどうなるのか

歯周病が引き起こす疾患は急性ではなく慢性。

引用元:『歯周病はすぐに治しなさい!』著:森永宏喜

歯周病は、口腔内だけでなく全身の健康にも大きな影響を及ぼす可能性があります。

【歯周病の主なリスク】
 ▶心臓疾患:歯周病菌が血管を通じて心臓に到達し、動脈硬化や心筋梗塞のリスクを高めることがある。
 ▶脳血管疾患:歯周病が進行すると、脳梗塞のリスクが増加する。歯周病の患者は、非患者に比べて脳梗塞の発症リスクが約2.8倍高いとされる。
 ▶糖尿病:歯周病は糖尿病の合併症の一つであり、逆に糖尿病が歯周病を悪化させることもある。
 ▶誤嚥性肺炎:特に高齢者に多く見られる誤嚥性肺炎の原因の一つとして、歯周病菌が挙げられる。
 参考:https://perio-supple.com/perio/blog/relationship-between-pneumonia-and-periodontal-disease/
 ▶妊娠合併症:妊娠中の女性が歯周病に罹患すると、早産や低体重児出産のリスクが高まることが指摘されている。
 参考:https://www.babysmile-info.jp/community/sishubyou-ninshin
 ▶認知症:本記事に詳細を記載
 参考:https://diamond.jp/articles/-/307815
 ▶がん

【インフルエンザと口腔ケア】
 専門家の口腔ケアを行ったグループとそうでないグループを比べると
 口腔ケアをしていないグループのインフルエンザ罹患率は口腔ケアをしたグループの9.8倍にも及ぶという報告があります。

 平成15年厚生労働省老人保健健康促進等事業より


唾液腺から出るのは唾液だけではない

国家試験で唾液腺について学んだ際、唾液には消化酵素アミラーゼと粘液成分ムチンが含まれるぐらいだったかと思います。
それ以外にも分泌があります。

【唾液腺から分泌される因子】
 ▶EGF
 ▶NGF
 ▶BDNF

「唾液腺は口腔内にとどまらず、脳にまで影響を与える。」
という新しい概念が必要です。


【栄養学】新陳代謝を促すEGF

上皮成長因子EGF
英:Epidermal Growth Factor

【EGFの働き】
 ▶皮膚・粘膜の新陳代謝の促進
 ▶傷の治癒促進

化粧品の成分としてよく用いられるEGFは唾液腺からも分泌されています。口腔内の手術の後などに分泌が増えるという報告があります。

シェーグレン症候群ではこのEGFが減少する。
そのため、唾液の質が低下すると言われています。

EGFは男女とも20代をピークに減少します。


【シェーグレン症候群について】

外分泌腺(唾液腺・涙腺など)において自己免疫による慢性炎症が起こり口腔乾燥眼乾燥などの乾燥症状をきたす。

【好発年齢】
 ▶中年以降の女性に多い
 ▶40~50歳代

【シェーグレン症候群の病因】
 ▶原因不明の自己免疫疾患
 (▶EB ウィルスとの関連も示唆されている)

【シェーグレン症候群の症状】
 [口腔症状]
 ▶唾液減少
 ▶口渇
 ▶摂取水分増加
 ▶う歯増加
 ▶口腔粘膜や舌乳頭の萎縮
 [眼症状]
 ▶涙液減少
 ▶眼球の乾燥感・異物感
 ▶眼精疲労
 ▶羞明
 ▶乾燥性角結膜炎
 [全身疾患・その他]
 ▶
発熱
 ▶リンパ節腫脹
 ▶関節痛


【栄養学】認知機能にはNGF

神経成長因子 NGF
英:Nerve Growth Factor

NGFは顎下腺から分泌され、アルツハイマー認知症に対して有効的に作用、機能の改善に働くことが報告されています。

NGFも加齢とともに減少します。
しかも、歯の有無によっても大きく変わります。


【栄養学】脳の活性化にはBDNF

脳由来神経栄養因子のBDNF
英:Brain-Derived Neurotrophic Factor

脳内の神経細胞の維持・成長・分化を促す作用を持つタンパク質で、唾液腺から分泌されます。


【臨床医学】口腔環境によるリスク

山本らの研究(2012年)によると、65歳以上の高齢者(4425名)を対象にした4年間の調査で、歯がほとんどなく義歯も使用していない人は、20本以上の歯を持つ人と比べて認知症の発症リスクが約1.85倍高いことが示されました。

出典:yamamoto et al., Psychosomatic Medicine,2012

65 歳以上の地域住民を 9 年間追跡した調査では、何でも食べられると感じている人は、そうでない人と比べると死亡率が1.63 倍低いという結果が報告されている。

出典:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kyushuneurop/60/2/60_83/_pdf

歯の有無は認知症や死亡リスクに影響を与えるという報告があります。

これとともに噛むことで脳細胞減少を抑える効果もあるという報告があります。

この食事でよく噛むことで脳細胞の減少を抑える働きは、自身の歯でも義歯でも関係ないということも同時に報告されています。



【臨床医学】骨粗鬆症と歯の関係性

骨粗しょう症の人はそうでない人に比べて、歯周病であったり、歯槽骨が溶けてしまっていたりする割合が高いことが認められています。

引用元:『歯周病はすぐに治しなさい!』著:森永宏喜
参考:https://spotri.jp/medical/6105/

歯が健康的でないと、噛み砕く力が弱まります。
骨の原料のカルシウムは小魚などの比較的歯ごたえのある食物に豊富で、歯周病や歯の本数が足りないとこれらを摂取することが困難となります。

食べるのが大変となると、食べなくなりますし、魚類はキチンと噛み砕かないと喉に刺さるリスクもあるため、高齢になるにつれて更に摂取が少なくなります。

その結果、不足したカルシウムを骨から取り出してしまいさらに骨粗鬆症は悪化してしまいます。

歯の形成にもカルシウムは重要です。
カルシウムとともに、マグネシウムを取ることでさらに歯の構成をより良いものにしてくれます。


消化は食べた瞬間から始まる

口腔は消化器官の入り口で、消化のスタート地点です。食べたものを栄養として摂り込みやすいように分解するのが消化ですが、消化には消化酵素が不可欠で、そのトップバッターが唾液に含まれるアミラーゼです。

引用元:『歯周病はすぐに治しなさい!』著:森永宏喜

栄養について様々学んでいますが、栄養価が素晴らしい食べ物もよく噛まずに食べてしまうと、未消化が多くなり吸収できなかったりします。

胃や腸で消化が始まるのではなく、口に入れた瞬間から吸収が始まっていることを意識することが大事です。


【栄養学】ビタミンCとコエンザイムQ10

唾液腺は酸化に弱いという特徴があり、ビタミンCなどの酸化に抵抗する栄養素が必要。

若返り成分・脳活性化成分が唾液腺から分泌されているというのがこれまでの話でした。
しかし、唾液腺の機能も栄養不足ではうまく機能を発揮できません。

【抗酸化物質】
 ▶ビタミンC
 ▶コエンザイムQ10

ビタミンCは摂取してもすぐに尿から排出されると考えられていますが、モルモットの実験によると、ビタミンCは様々な臓器から高濃度で発見されたそうです。

このことから、ビタミンCは貯蔵されている可能性があることがわかります。

また、コエンザイムQ10を摂取すると、唾液腺の機能が向上することがわかっています。

ビタミンCが不足すると壊血病になるというのは国家試験でさんざん勉強してきて知っているかと思います。

歯周病になっている患者はそうでない人に比べてビタミンCを多く消費している可能性があり、ビタミンCを摂取することで改善する可能性もあります。


【衛生学】メタボと歯周病

歯周病の病巣と内臓脂肪は同じ炎症性物質を出して、お互いに影響し合っています。

本書のデータによると、歯周病を患っている患者のほとんどが糖尿病かその予備群というものです。
同時にメタボリックシンドロームとなっている場合も多くあります。

メタボリックシンドローム傾向の人とそうでない人を比べると歯周病のリスクが高いうえに、血液中にも歯周病菌が入り込んでいると言われています。

なぜ、歯にある歯周病菌が血液に…と思われますが、歯周病になると歯磨きの際に出血することがあります。
出血があるということは常に血管が傷ついていると言えます。
そういったところから血液をめぐり、さらには脳へまで到着するということが起こります。

アメリカのTIME誌ではこの歯周病菌が全身にめぐることを「THE SECRET KILLER」と表現して特集が組まれています。

広島大学の共同研究で、歯周病のある糖尿病患者に、歯周病の治療を行ったところ、糖尿病の症状がよくなり、慢性炎症の改善(CRP値の低下)が見られたという報告もあります。


食事内容と口腔環境

紀元前4000~3500年頃の石器時代の食生活を含む生活環境を再現し、そこで、2家族を含む老若男女 10 人が4週間生活をする
結果:歯周病が現在進行形かどうかの目安になる検査時の歯肉出血は、 34・8%から 12・6%に減少し、歯周ポケットの深さは、平均0・2ミリ減少しました。

本書に記載・出典不明

【食事内容】
 ▶ヤギの肉
 ▶果実・ハーブ
 ▶未精製の穀物

この内容(石器時代の生活で歯周病の改善に至った研究)について色々調べてみたんですが、出典が見つけられませんでした。知っている方がいたら教えて下さい。

実際男女10名であり信憑性には疑いを持つべき内容かと思います。


『減量の正解』でも取り上げられていたように、現代は加工食品に溢れ、食べ物みたいな食べ物じゃない食べ物(あえての表現)が多く溢れています。
そういった食事は人間の体型を歪め、口腔環境もまた悪くすると考えられます。

高フルクトースコーンスロップ:HFCSという人工甘味料があります。
HFCSと書くと、よくわかりませんが、これは「ブドウ糖果糖液糖」とも呼ばれている甘味料です。

ダイエットでも糖尿病でもこのブドウ糖果糖液糖は極悪で、血糖値を急速に上昇させ、インスリンを大量に分泌させ急速に血糖値を低下させる働きがあります。

これが血糖値スパイクというものです。
血糖値の乱高下は活性酸素を発生させ、血管を傷つけ、動脈硬化のリスクにとどまらず、脳梗塞・心筋梗塞・認知症・癌などの病態も引き起こす恐れがあります。

安くて美味しい加工した食品にはこのHFCSが大量に含まれているものが多いため注意が必要です。


口腔機能評価(オーラルディアドコキネシス)

なにやら物騒な名前がついていますが、単純に「パ」・「タ」・「カ」と発音を繰り返し5秒間で何回言えたかを記録するものです。
例:パパパ…

合計の回数を5で割って、6を下回る場合は、口腔機能が低下しているという判断になります。

実際にやってみましたが、数えられません…


歯を磨くは間違い

歯磨きという表現をすることで、歯磨きの時間は歯を磨きますよね。
実はこれが誤りです。

口腔ケアを行うために大事なのは、歯を磨くことではなく、舌と歯の間を磨くことです。

特に寝る前です。
寝ている間は唾液の分泌が減少し、唾液の殺菌作用が低下します。
また、口呼吸をしている人も唾液量が低下し菌の繁殖をさかんとします。

歯磨きを行う前に、先に口を濯いでおくことも重要です。

歯を磨くだけでは口腔ケアは完全では有りません。
というよりも不十分で歯周病を抑えることはできません。

舌磨きとともにデンタルフロス(糸ようじ)を用いる必要があります。

歯ブラシでは落としきれない歯と歯との隙間をケアし歯周病・う歯の発生を抑制します。

デンタルフロスを毎日使う人と使わない人では、死亡率は30%も違うという報告があります。

一昔前からデンタルフロスを使う人は健康に意識が高い人なので一概にデンタルフロスが寿命を延ばしているとは結論づけられませんが、それでも参考になるかと思います。

デンタルフロスを使う → 歯が健康で残る → よく噛める → 消化吸収がスムーズになる → 栄養を十分で長生きできる

という流れが想像できます。


歯周病は本当にこわい

今回のような内容を学ぶたびに、ちゃんと口腔ケアをしようと思うのですが、ついつい数日でもとの簡単な歯磨きに戻ってしまいます。

こういった調査もあります。

定期的に歯科検診を受けている人と受けていない人の、1年間にかかった医療費を比較したもので、結果はと言うと、歯科検診を受けている人の医療費は、 72 万8595円(うち歯科医療費5万8783円)
検診を受けていない人は、101万5957円(同4万1284円)

平成28年に徳島県歯科医師会による調査

結局定期的に歯科健診にいったほうがお得というものです。

歯磨き・舌磨き・デンタルフロスを毎日するというのは大変ですが、月に1度などの感覚で歯科健診を受けて、またその日を境に頑張ろうという気持ちを持ち続けることが大切なんじゃないかなと思います。


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