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再び共産党二世問題を考える

加藤文宏


発端

 会員限定記事「党員の子として生まれて──共産党二世が見た暗殺事件からの悲喜劇」には後日談がある。記事を掲載した翌月末、証言者である角田(仮名)さんから連絡が入った。記事の内容と掲載に異論はないが、個人情報の扱いについて取材時に結んだ取り決めを改めたいというのだ。
 取材の4ヶ月後に「ススキノ首切断殺人」事件が発生した。容疑者は共産党員二世の女性で、父親と母親も逮捕された。その後、被害者の人となりや家族の行動などが伝えられ、年末になると長引く鑑定留置について報道が相次いだ。
 事件を発端として共産党員の家庭に注目があつまる様子から、角田さんは「女子高生コンクリート詰め殺人」事件を連想した。この事件では犯人のうち1名が共産党二世であると週刊新潮が報じている。小学生だった角田さんは事件の全容を理解できなかったが、その後も世の中は「コンクリート詰め殺人」事件を忘れず、青年期ともなると自分とは無関係なはずの事件が原罪のように感じられて苦しみを味わった。
 角田さんは「党員家庭の機能不全を世の中に問いたい」と考えて証言した。しかし、いつ世の中が二世に牙を剥くかわからない。もしかすると告発をした自分に共産党が報復をするかもしれない。党に異議申し立てをした松竹氏らが除籍処分だけでなく、ひどい仕打ちを受けている。だから自分の個人情報を守らなくてはならなくなった。これが彼の不安であり、私は個人情報の保護に細心の注意を払う旨を約束した。
 そして先日、記事に興味を抱いた方からDMが届いた。
 角田さんとのできごとを思い出すだけでなく、新たな取材に着手すべきか考えていたところだったため、あらためて当記事を書くことにした。

二世問題とはなにか

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