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反ワクチン報道と偽史「プロメテウスの罠」の共通点

著者:ケイヒロ、ハラオカヒサ

原発事故後の2011年10月から2016年にかけて偽史「プロメテウスの罠(朝日新聞)」が書かれたことで、社会の分断が決定づけられ正当化され議論さえまともにできなくなり現在に至った。「プロメテウスの罠」は、ある種の人々に媚びる報道が行き着いた末に生まれた化け物である。コロナ禍後に同じ過ちが繰り返されないよう、私たちは警戒し続けなければならない。

ワクチン忌避型報道の量と実感

新型コロナ肺炎をめぐる話題は、2021年半ばになりワクチンとオリンピック開催問題が圧倒的多数になったと言ってよいでしょう。オリンピックをめぐる話題もワクチンとともに語られるケースが多いため、ワクチンについて語られない日はないといった状態です。

ワクチンへの不安を煽る報道はやりすぎではないかと感じるとき、原発事故のあと繰り返された大げさに被曝不安を煽ったメディアの姿を思い出さずにはいられません。こうした報道は数々のデマの温床になり被災地差別や風評被害、さらには人々の意識を分断しました。

検索サイトで[マスコミ ワクチン]とキーワードを入力すると次のようなサジェストが表示されることからも、反ワクチン運動を牽引したのはマスコミであると思っているのは筆者だけではないようです。

検索サジェスト

以前から指摘してきたように1960年代に始まり90年代以降も影響を残したワクチン集団接種薬害訴訟についてワクチン忌避の世論を形成し後押ししたのが報道機関でした。子宮頸がんワクチンの副反応を伝える報道がいかに強烈で、メディアが常に口にする「両論併記」ですらなかったことが以下に紹介するインタビューに的確に表現されています。

ばず

こうしたメディアの反ワクチン路線が続いていると実感させられ、子宮頸がんワクチン忌避騒動の再来かと身構えさせられたのが、2021年1月20日から立て続けに報じられたデイリー新潮、オリコンニュース、AERA、newポストセブンの不安を煽る記事や見出しでした。

ここに挙げた媒体名はこの期間の報道の一例ですが、以後SNSで主張され続けるワクチン忌避に正当性を与え、不安視する理由や理屈に「医師自身は本音では接種したくない、効果がない、だから怖い」という原型を与えました。

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そこで、メディアがどのくらい不安を煽ったのかコロナ禍以前の2019年から2021年現在までのワクチンについて触れた新聞記事やテレビ報道の内容を[中立もしくは推奨]型と[忌避もしくは不安]型に分類し、報道量を比較しました。

複数の媒体を調べるためネット上にある記事のアーカイブから「ワクチン」を含む記事を抽出しました。これらには人間だけでなく家畜をめぐる記事も含まれますが排除せず、疫学や医学と無関係なものだけ取り除きました。

すると年間300件ほどの記事になり、圧倒的多数が[中立もしくは推奨]型の記事で[忌避もしくは不安]に傾いていたものは数件でした。2019年、2020年は(解釈と分類が難しい記事がありますが)[忌避もしくは不安]型の記事は一桁件しかありません。2021年に入り[忌避もしくは不安]型の報道が増えても比率は低く、[中立もしくは推奨]型が大半を占めています。

この調査は統計としてまとめるのには問題があるため図表化できません。サンプリングした記事には批判を浴びるなどして撤回されたものが含まれていないことと、両論併記についてどちらに分類するか主観的判断に基づくため客観性を担保する難しさがあります。

このため各自が判断できるようにニュースへのリンクを用意しました。ほぼ同じ結果を読み取れるはずです。

2019年分

2020年分

2021年5月まで

2021年1月20日からの4日間と媚びて煽り続けるメディアたち

[中立もしくは推奨]型の記事が[忌避もしくは不安]型の記事より多かったのに、コロナ禍での報道の不安煽りが目立ち悪影響が生じたのはいったいどうした訳なのでしょう。

この1年間でワクチンをめぐる危ない、怖い、死ぬといったネガティブな感情がキーワードとしてどれくらい検索されたか、念の為ポジティブな反応「打ちたい」も含めて見てみましょう。

 あぶない

ネガティブなキーワードがある程度連動して増減しているのがわかります。また2021年1月あたりに大きな盛り上がりがあり比較的長期間興味が持続しています。

2021年1月20日からの4日間にワクチン不安を煽る記事や、誤解を招く見出しをつけた記事が発売または公開されたのは前述のとおりです。

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これらの雑誌のなかで注目度が高かったのがAERAです。

アエラ

上掲のグラフは[ワクチン AERA]で検索された数をもとに国内での興味の推移を表しています。1月17日から23日にキーワード「ワクチン AERA」への関心の盛り上がりがあります。

このグラフは先ほどのグラフと重ね合わせて影響の強さを比較することはできないのですが、時期の一致だけ確認すると以下のようになります(時期を明確にするため、AERAのデータを強調しています)。

 Xあぶない2

AERAの発売日が1月21日、前後しますが1月20日にデイリー新潮が発売、オリコンニュースが記事を公開、1月23日にnewポストセブンの発売日でした。

これらの雑誌またはWEB記事が公開されたタイミングで検索キーワードにネガティブな感情が増加し、翌月までワクチンへの不安が持続しています。一部の人に影響を与えただけで、きっかけをつくっただけだったとしても、たった数件の記事が人々の感情に変化をもたらしたのです。ワクチンについて中立または推奨する記事が年間300件程度あるのに、この結果です。

またワクチン忌避に直接つながる記事ではありませんが、1月12日売り(1月24日号)のサンデー毎日は「感染爆発の戦犯は尾身氏」という刺激的かつ内容が正しいと言い難い煽りを表紙に大々的に掲載しました。

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このように2021年1月は新型コロナ肺炎や自粛について不安や不満の吐口をワクチンや専門家に向ける報道が連続しました。これらは正しい情報を伝えた記事ではなく、誤ったものを批判する報道でもありません。不安や不満を抱いている人に媚び、扇動する報道ではなかったでしょうか。

次にアエラの話題がピークを迎えたのが4ヶ月後の5月16日から22日の期間です。

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上掲のカレンダーで示したように、2021年4月から5月は人々の不満が噴出し続けていました。一般へのワクチン接種が現実的になり光明を見出す人とともに、不満をワクチン危険論に転嫁する人々やワクチン陰謀論者が多数登場しました。またPCR検査万能の主張はまだ強く、政府のワクチン行政の不備を叩く声がメディアから続々と報道されました。

5月17日にAERAは「ワクチン大規模接種東京センターの予約システムに重大欠陥」という記事を公開しました。この記事は、予約システムに虚偽予約を入れ、しかも手段を公開した点を批判され話題になり1月20日のワクチン不安を煽る記事より大きな関心を呼んだことがグラフから読み取れます。

ところがワクチンへのネガティブな感情を人々に与えた点では、1月20日の記事ほどの影響力はありませんでした。ネガティブなキーワードが前後の時期に急上昇しているのは、コロナ禍カレンダーの5月を見てもわかるように高齢者への接種を控えワクチンへの関心が高まっていたからです。

これはワクチンの危険性や不安についてメディアが煽れば人々の不安が高まり、予約システムの不具合について報道すれば別の反応があるという当然の結果を表しています。2021年1月半ばから2月いっぱいワクチン接種へのネガティブな反応が続きましたが、こうした世の中の傾向は報道しだいでは発生しなかったと言ってよいでしょう。

同時に、メディアは時々の世情を読みながら何をどのように報道すれば人々が関心を抱くかわかったうえで、1月はワクチンへの不安、5月は予約システムの不備に自ら着火しています。こうした報道姿勢に、ワクチンに対して中立または接種を推奨しようという意図はまったくみられません。

2021年1月20日からの4日間だけで不安を煽る報道は収束していません。この後しばらく、雑誌以外のメディアで[忌避もしくは不安]型の報道が続きました。

たとえば日刊ゲンダイは「アナフィラキシーショック31倍」と見出しを掲げました。本文では欧米とアナフィラキシーショックの定義が違う等の文言がありますが、見出しについての言い訳にしか感じられません。

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日刊ゲンダイはその後も不安煽ったかと思うとワクチンの調達不足の責任を問い、そうかと思うとワクチン神話が崩壊したと報道しています。このように政権批判等のための道具としてワクチンを使い、防疫や医療への一貫性がない報道が目につきました。

斯くも論点がずれる一貫性のなさと、常に現状や何者かを批判し続けている点に、不安や不満を抱えた者へ媚びているだけではないかと考えざるを得ません。媚びて共感を形成し、読者を自社の主義主張に囲い込む意図のもとワクチン報道をしているのではないでしょうか。

(一貫しない日刊ゲンダイの報道は以下から一覧することができます)

ではワクチンへの不安や不要論を煽る報道が盛んだった2021年1月から2月にかけてテレビはどのような報道をしたのでしょう。

1月21日の「TBS NEWS」で“「自分たちは実験台?」ワクチン接種優先の医療現場から不安の声”とする報道がありました。

2021年1月24日放映の「ビートたけしのTVタックル(テレビ朝日)」では次のような主張が展開され印象的でした。

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2021年上半期のテレビ番組での論調を象徴するのが以下の記事です。

2月16日放送の朝の情報番組「グッド!モーニング(テレビ朝日系)」でワクチンによる副反応やアナフィラキシーについてなどを説明しワクチンのデメリットに比重が傾きすぎたことを、出演者の中尾彬氏が番組内で強く苦言を呈したとするのが前掲の記事です。

「グッド!モーニング」に限らず、ワクチンは危険、怖い、効かないという説明が多くコメンテータだけでなく出演する芸能人などが「打ちたくない」と感想を述べるシーンが数多く放映されました。

次に紹介する番組のように芸能人などに接種意向を質問する必要があるでしょうか。芸能人は医療や感染症の専門家でもなければ、ワクチンについてこれまで深く考えてもいなかったはずです。直感や思いつきによる判断がこのコロナ禍に意味があるとはまったく思えません。

番組としての結論がどうであれ、すぐ「打たない」と表明した者が語る忌避の理由に共感を抱く視聴者が現れます。しかもメリットを前面に打ち出すのではなく「新型コロナワクチン接種のリスクとは?」とテロップが表示されています。

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新聞、雑誌、テレビで不安が煽られた2021年1月から2月の、キーワード[ワクチン 危険]と[ワクチン 死亡]の検索数にみる興味の度合いは上昇傾向が続き、あきらかに2020年12月以前と様相が変わっています。

ちりも積もれば山になります。直接報道に触れなかった人々に口伝てやSNS経由で内容が伝わります。これもまた原発事故後の報道と世間に満ちたネガティブな感情の関係で経験したものとまったく同じです。

きけんX

直近では「ABEMA的ニュースショー(ABEMA TV)」でタレント千原ジュニアが次のようにコメントしています。

“今のVTRで答えてくれてた男の子も「副作用」って言ってるじゃないですか。でもオンエアでは変えられて「副反応」って。副作用って言うのやめとこうと上がしてる感じとかが、「ん? なんやそれ?」って、なんかちょっと小さいクエスチョンが浮かんでるような気がするんです”

上掲の記事では“「副作用」も「副反応」も本来期待される効果とは異なる影響が出ることを指す言葉。治療に使う薬では「副作用」と呼び、ワクチンの場合は「副反応」と分けて呼ばれる。”と説明されていますが、番組はこうした説明がないまま進行しました。

理解していない人が、わからないまま発言をする必要はまったくありません。千原ジュニアの発言はまさに陰謀論者のセリフで、医療や専門家および正しい情報を伝える報道への疑いを生み出しかねません。

参考までにLINEリサーチの若年層が選ぶインフルエンサー・有名人調査を紹介します。(2021年3月実施)

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全国15~24歳の男女の調査としては結果が幼すぎるように感じますが、これが実態です。

総合ランキング個人名上位でも一桁パーセントであることでばらつきが大きいことがわかります。したがって信頼、参考の理由にあがっている項目がそれぞれの人に分散しています。

信頼、参考の理由の上位は「その人のファンだから」「その人のセンスが好きだから」「説明が上手、説得力があるから」といった理由が挙げられています。つまり自分好みの人が「ワクチンはやばい」と言えば信用する可能性が高いのです。

量の感覚は心理的インパクトに左右される

ワクチン接種について中立か推奨する報道が圧倒的多数で、不安やワクチン忌避を煽るものは少数でした。

しかし、ワクチン忌避や不安を煽る報道が世論に影響を与えています。

[中立もしくは推奨]型の報道が多いからといって[忌避もしくは不安]型の報道の影響は抑制されないことがはっきりしました。

新聞や雑誌を手に取る機会が減り、新聞や雑誌のおおよそすべての記事に目を通す人が減りました。このため見出しのインパクトによって記事が取捨選択されているのが現状です。

ポータルサイトに一覧表示される見出しから記事を選ぶ場合はとうぜんですが、新聞社や雑誌社のサイトで記事を読む場合も同様です。またポータルサイトでは読者の傾向から記事がおすすめされ、人気のある記事がより目立つ位置に表示されます。

インパクト重視は放送媒体(テレビ、動画配信)にもいえ、まず番組が選択されるために、次に開始から終了までの間に途中で飽きられないようにするために出演者や演出が決定されます。

出版媒体発の報道でも放送媒体発の報道でも、選択された記事がSNSで紹介されたなら、ここでも見出しのインパクト次第でリンクを踏むか否か決まる傾向があります。

インパクトが強ければ報道の存在が強く印象づけられ、これが「マスコミがワクチンの不安を煽っている」と感じる原因の1です。

インパクトが強ければ世論形成への影響が大きくて当然で、これが「マスコミがワクチンの不安を煽っている」と感じる原因の2です。

選択された報道が、知っている報道であり、知っている情報です。これが、その人にとっての報道のすべてです。これもまた「マスコミがワクチンの不安を煽っている」と感じる原因の3です。

量の感覚は心理的インパクトに左右されるのです。

メディア関係者は「見出しで勝たなくてはいけない」「見出しはくどいくらい具体的に書き、長くてもかまわない」「SNSでこんな意見が多いと装うカギカッコ付きのセリフを入れる」と言います。やけに強い言葉や下品な言葉で煽る見出しや“XXさんがインスタグラムに投稿。「尊い」「美し過ぎて泣けた」”のようなわざとらしい見出しが日常茶飯事になっています。

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良質な記事や番組が見出しや演出の煽り合戦に参入したところで、刺激の強さで上回る感情的な報道にかなうはずがありません。解説より共感、安全より不安に注目するのが人間の心理です。

悪貨が良貨を駆逐していると言え、こうなるのもメディアが自社や系列会社のメディアで人々の不安を煽り、疑いや憎悪さえ抱かせる報道をしているのが問題の発端とも言えます。

正しさより共感を重視した物語報道の媚び

整理しましょう。

メディアは経験的に、情報が多ければ目を引くとは限らないのを知っていますし、論理的な情報なら説得力があるとも思っていません。刺激的な見出しと内容やインフルエンサーのタレント性で注目を集めるという手法はいまに始まったものではありません。

まとめ

刺激と人選がどのように報道を変えたか、テレビニュースからニュースショーそしてワイドショーへの流れを振り返ってみましょう。

ラジオの時代から花形アナウンサーはいましたが、原稿を読むプロであり一般的には匿名性の高い存在でした。

1974年からはじまるNHKの「ニュースセンター9時」で報道局畑の磯村尚徳がニュースを読み解説するスタイルが登場、1985年にはテレビ朝日で「ニュースステーション」が久米宏をメインキャスターに据えてはじまります。匿名性が高いアナウンサーが原稿読むニュースというスタイルを一新し、主張を持ったタレント性がある人物がニュースを伝え解説する流れを確立しました。

まとめ2

ニュースとニュース解説が別枠だった時代が終わり、キャスターのフィルターを通した解釈を伝える報道番組が主役になったのです。

これ以後のことは敢えて説明するまでもないかもしれません。まずアナウンサーのタレント化が加速しました。フリーアナウンサーのみのもんたのスタイルと位置付けが、タレントがニュースショーに進出する下地をつくりました。そして正真正銘のタレントがコメンテータ枠へ、やがてキャスター枠へ進出しました。タレントの比率・比重を高めたワイドショーまで「ニュース」「報道」と呼ぶ傾向が強くなり、正しさより共感、解説より(いわゆるバズりも含む)扇動が強調されるようになりました。

キャスター役のタレントが怒鳴ったり、相手の発言を遮って一方的な主張をしたり、見下した態度を取ったりするのは、視聴者が報道に情報の正しさを求めているのではなく共感や感情の昂りを期待しているのをディレクターや構成作家ともども察知しているからです。1960年代から70年代に放送された「アフタヌーンショー(テレビ朝日)」で司会の桂小金治が怒りの小金治、泣きの小金治と呼ばれたり、川崎敬三もまた感情を抑えることがなかった司会ぶりから何ら変わっていないのかもしれません。

それにしても報道が扱う諸分野に精通しているわけでもない千原ジュニアが、なぜニュースショーの顔を務めているのでしょう。それは視聴者層にとって人気者だからです。若年層は、その人のファンだから信頼するという調査結果がありました。この信頼は正しさではなく共感で形成されていると言えるでしょう。千原ジュニアのワクチン発言は、番組のターゲット層に理解があるよう見せかけた媚びであり迎合です。

これは放送媒体(テレビ、動画配信)に限った話ではありません。

冒頭に記したように、朝日新聞は2011年10月から2016年3月まで「プロメテウスの罠」を連載しました。

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大袈裟な表現、特定の派閥に属した側からの証言、両論併記を装ったほのめかし、事実とあきらかに異なる叙述、これらを事実にまじえ原発事故と被災地を語る偽史が「プロメテウスの罠」です。のちに同紙で繰り返し使用される「被害者に寄り添う」という共感路線に極限まで振り切り報道のレッドゾーンをはるかに超えた印象操作集を連ねた物語が「プロメテウスの罠」と言っても過言ではありません。

朝日新聞の看板と「プロメテウスの罠」という神話に基づくタイトルから報道の王道のように見せかけていますが、正しさより物語としての共感と感情の昂りに重きを置いている点はワイドショーと同じです。

共感と感情の昂りに重きを置いているので一貫してインパクト重視であり、象徴的なのは町田市で少年が鼻血を流しているとする証言です。両論併記を装ったほのめかしとともに、この記事を読んで衝撃を受け避難の必要がない首都圏から関西へ母子避難した人さえいました。

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朝日新聞は「科学を振りかざすな」とも言い出し、ゆるぎない根拠があったとしても批判は受け付けず共感を煽り続けると宣言したも同然になりました。

ワクチン忌避につながった不安煽り報道がどのようなものだったか思い出してください。大袈裟な証言や表現、統計や科学を曲解または無視した表現は偽史「プロメテウスの罠」で使われたものと同じ手法であり、「科学を振りかざすな」と言わんばかりの姿勢も似ています。

コロナ禍でワクチン[忌避もしくは不安]を煽る報道が目立ち、目立っただけでなく影響力を持ったのは、こうしたメディア側の姿勢があったからと言ってよいでしょう。

ワクチンへの不安を振りまく報道は、メディアがコロナ禍で豹変した結果ではありません。原発事故以降、独自の正義感からなのか、商売上の理由なのか、論理より感情、理路より共感を煽るのを目的にした報道にますます歯止めが効かなくなっているのです。

原発事故後との違いは、専門家を吊し上げた反原発活動家に相当する勢力がコロナ禍にはなかったため、疫学や医学の専門家を沈黙させられなかった点です。また原発事故後の反原発活動家と報道のやりたい放題に痛めつけら人々が多くを学び、コロナ禍対策に邁進する専門家をバックアップしました。

とはいえ報道の共感路線、「科学を振りかざすな」路線は性懲りも無くワクハラ(ワクチンハラスメント)なる概念を浸透させようとしています。あきらかに、ある種の人々への媚びです。

わくはら2

ワクハラ

だからこそ第二の「プロメテウスの罠」、第二の偽史をつくらせないよう、社会の分断に正当化を与えぬよう、私たちは警戒し続けなければなりません。「プロメテウスの罠」に感化され自主避難をした母子がいても、二人の人生が大いに狂っても、朝日新聞は救いの手を差し伸べようとすらしていません。

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