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相続手続き:専門家依頼費用と自力手続き費用との比較

相続手続きなんて難しそうだし、時間かかりそうだし、できるなら専門家に丸投げしてしまった方が、楽で確実ですよね。

でも専門家に依頼するのってお金かかるんでしょ?
報酬はいくらぐらいかかるの?

このように思う方も多いと思います。

もちろんお金がかかります。
難しい試験に合格し、専門家としての職業に就いているわけですから安い訳がありません。

できれば自力で手続きをして報酬費用を節約したいなぁと思う方もいらっしゃると思います。

以下では、専門家依頼費用と自力手続き費用の比較を紹介します。
相場はどのくらいなのか、ぜひ参考になさってください。



各士業に依頼できる相続手続きとは

相続に関する士業には、主に弁護士、司法書士、税理士、行政書士などがいます。
各士業には、業務として行って良い範囲と行ってはならない範囲が法律で定められているので、一人の士業が相続手続きの全てを行うことはできません。

各士業が行える基本的業務範囲を見てみましょう。
🔺はケースによって異なるので注意が必要です。

相続について士業が行える業務範囲

基本として、税金は税理士さん、不動産登記は司法書士さん、もめ事や本人の代理は弁護士さんと考えておくと良いでしょう。


専門家依頼費用

各士業へ依頼するといくら位なのでしょうか。

〜弁護士〜

弁護士費用は主に「相談料」「弁護士報酬」「実費」があります。
費用は各事務所によって異なります。

・「相談料」:初回30分につき5,000円〜10,000円前後のところもあれば、初回は無料、初回60分まで無料、初回30分まで無料などさまざまです。

「弁護士報酬」:通常「着手金」と「報酬金」があります。
「着手金」は結果に関係なく弁護士に依頼した時点で支払うものです。
例えば、「着手金〇〇万円」と固定にしているところや、「経済的利益(依頼者が得られる利益のこと)の〇.〇%」と設定しているところがあります。
「報酬金」は事件が成功に終わり、終了した時点で支払うものです。
「経済的利益(依頼者が得られる利益のこと)の〇.〇%」と設定している場合が多く、300万円以下か300万円超3,000万円以下でパーセンテージが変わるようです。

「実費」:交通費や宿泊費、印紙代、コピー代、通信費などがあります。


ひとつ遺産分割で具体例を見てみましょう。
遺産分割とは、どの相続人がどの遺産を相続するかを決めるものです。
弁護士が依頼者(相続人)の代理人となって、他の相続人と交渉し、遺産分割をする「代理交渉」をするとします。

[設定例]
・着手金:220,000円
・報酬金:300万円以下の部分を17.6%、300万円超3,000万円以下の部分を11%

例:その1
依頼者が得られた遺産の金額が200万円の場合
着手金220,000円
報酬金200万円×17.6%=352,000円
合計572,000円

例:その2
依頼者が得られた遺産の金額が500万円の場合
着手金220,000円
報酬金(300万円×17.6%)+(200万円×11%)=748,000円
合計968,000円

この他に実費がかかります。


これはほんのほんのひとつの例でしかありません。
事務所によって設定金額やパーセンテージは異なりますし、相談内容で金額も異なります。
あくまでもこんな流れなのかと覚えておくとイメージがつきやすいでしょう。

〜司法書士〜

流れは弁護士と似たようなものになります。

相談料は30分〜60分5,000円前後が相場ですが、初回は無料のところもあります。

着手金がかかる司法書士もあり、相場は20,000円〜50,000円程度です。

例えば、不動産の名義変更(相続登記)であれば、依頼費用は30,000円〜100,000円程度が相場です。
165,000円かかるところでは、戸籍の代行取得、遺産分割協議書作成、相続関係説明図作成も行なってくれます。

この依頼費用とは別に、登録免許税(固定資産税評価額の0.4%)や戸籍謄本、固定資産評価証明書などの必要書類の手数料が必要です。

〜税理士〜

相続税の申告は税理士のみにしか依頼できません。

相談料は、初回無料のところが多いようです。

相続税申告の依頼の場合、簡単に言えば遺産額によって報酬が変わります。
「330,000円〜」、「440,000円〜」、「遺産総資産額の0.77%」、「遺産総資産額5,000万円未満は220,000円」など設定はさまざまですが、ほとんどが「〜」と記載されており、遺産によって報酬は多くなっていきます。

〜行政書士〜

もめ事がある場合は行政書士では対応できません。

相続人や相続財産の調査、遺産分割協議書の作成、車の名義変更など、報酬相場は約30,000円〜となっています。
相続財産や相続人が多いとさらに高くなる場合もあります。

行政書士が扱える書類は10,000種類以上と言われています。
相続に強い行政書士を探し、どの部分の相続手続きを依頼したいのかよく検討してみましょう。


自力手続き費用

自力で相続手続きを進めてもよいケースがあります。
・相続人が配偶者と子供だけ
・時間に余裕があり、根気強く進めていける

以下の場合は専門家に依頼する方がよいです。
・相続人の仲が悪い
・兄弟姉妹の相続がある
・代襲相続が発生する
・相続登記を放置していた不動産がある
・遠方の不動産を相続する
など・・・

面倒な場合、面倒になりそうな場合は多少費用がかかっても専門家にお願いするほうがよいでしょう。

相続手続きにかかる費用

相続手続きに必要な書類は以下のとおりです。
被相続人の戸籍謄本:1通450円
被相続人の除籍謄本:1通750円
被相続人の戸籍の附票:1通300円
被相続人の住民票の除票:1通350円
相続人全員の戸籍謄本:1通450円
相続人全員の住民票:1通300円
相続人全員の印鑑証明書:1通300円
ここまでで2,900円
※地域によって金額が異なる場合がありますのでご注意ください。

土地建物がある場合
固定資産評価証明書:1通300円
登記事項証明書:1通600円
収入印紙:登録免許税(固定資産税評価額の0.4%)
相続登記申請書:無料(法務局ホームページで入手)

自動車がある場合
移転登録手数料:500円
車庫証明取得費用:2,700円前後
※地域によって金額が異なる場合がありますのでご注意ください。
ナンバープレート代:1,500円(管轄が変わる場合)

以下は自分で作成できるので無料です。
相続関係説明図:無料(自分で作成し、法務局で認証してもらう)
遺産分割協議書:無料(自分で作成)

さいごに

いかがでしたでしょうか。

相続人の人数や、土地建物の大きさ、車の種類などで費用は変わりますが、
ザックリこんなイメージです。
自分でできるのであれば、専門家に依頼するよりはるかに安く済むことがわかりました。

専門家にお願いするのか自分でできるのか、今から検討しておけば、いざというときに慌てなくて済むでしょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。
苔いろlife🌱

<参考資料>
・SC相続手続カウンセラー®資料
・国の機関ホームページ
・公的機関ホームページ
・各士業ホームページ
・その他(Webサイト、書籍等)

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