ダナエと黄金の雨の香り
ティツィアーノ・ヴェチェッリオが描いた「ダナエ」という絵画がある
ギリシャ神話を元に作成された作品だ
ダナエはティツィアーノ自身と彼の工房で5パターンほど描かれており
スペインのプラド美術館やロシアのエルミタージュ美術館などに展示してあるそうだ
ダナエはそのくらい人を魅了するモチーフで
数々の芸術家によって描かれている
もしかしたら、グスタフ・クリムトの「ダナエ」ほうが知っている人が多いかもしれない
この物語は簡単にいうと、
とある国の王様が、王様の娘が産む子供
つまり孫に自分が殺されるという予言をうけて
ダナエという美しい娘を青銅の塔に幽閉した
青銅の塔に幽閉されている事で男性と関わる事がないので、
王様は安心していたが、ある時ギリシャ神話の神であるゼウスは美しいダナエをみそめて
黄金の雨となり、青銅の塔の小窓からダナエのものへ訪れる
黄金の雨になったゼウスとダナエは愛を結び
子供を授かるという
ロマンチックというか、かなりセクシーな話だ
さまざまな絵画を見ても、そのセクシーさスキャンダラスさは飛び抜けているのでは?と私は思っている
中世〜近世ヨーロッパのキリスト教では、快楽的な事は基本悪いことだという概念があり
教会から発刊された本には今の人間から見ると「本当かよ!」と失笑してしまうような描写も多い
そんな、ダナエの絵画はおそらく神話というベールをまとった
芸術家の実験というか、絵画を発注した貴族(好色家)の言い訳みたいなもんだとも思う
「これは神話なので、いかがわしいものではありません!」と言われたら
「はぁ、そうですか、、、」としか言い返せないだろう
でも、多くの人を魅了してきた絵画や題材なだけあって
私も結構ダナエが題材になった作品が好き
絵画だけではなく、香りでもダナエにインスピレーションを受けたものがある
ゲランの「IDYLLE /イディール」という香水が
ダナエからインスピレーションを受けているらしい
この、イディールはゲランのシプレー調の香水の中でも、結構使いやすい分類だと思う
2009年発売の香りなので、もうすでに15年も発売から立っているが
そこまで、爆発的に流行ったとかは無いからか
今使っても誰かと被ったり、懐かしのあの香りとはなりにくい
もちろん、発売時に「ダナエの絵画モチーフの香りとな?」と思い背伸びして購入した記憶がある。
まぁ当時は似合わなかった。ちょっと背伸びしすぎた。
でも、いい香りだな〜と思うことが多い香水
まだ、自分に似合っている気はしないけど
時々纏わせてみたりして、ひっそりと楽しんでいるからか地味に減るのでリピートはしている
基本的に一貫してトップからベースまでローズとパチョリが香っているのは変わりないが
最初に、抱きしめたくなるようなライチやベリーのジューシーさと
ピリッとした少し癖のあるスパイシーさ
あとから、さまざまなお花がまざったブーケ、
そして最後にあたたかな肌の匂いに変わっていく
特に、冬の寒い時期の雪や雨が降っている、少し空気に湿度を感じるとき
ウェストあたりの肌にのせると
じんわりとした、人肌から出てきた温もりのような香りがする
それがもしかしたら、ダナエの物語の香りを表現しているのかも
今は逆さハートのボトルだが
最初は金色の雫のような形状の香水瓶がとても綺麗だった
ところで、最近は「概念香水」なんてものがあるけど
特にゲランは物語性のある香水が多く
物語や絵画の概念で香水を選んでみても楽しいかもしれない
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