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ChatGPTを通して見えた今後の本の姿

はじめに

本記事では、ChatGPT(特にGPT-4)の登場により、私が本を読む習慣が急激に減少した経緯とその原因について語りたいと思います。この記事を通して、ChatGPTの影響がどのように私の読書習慣に変化をもたらしたか、そして今後の本の在り方についての予測を共有できればと思います。

導入

まずはじめに、GPT-4として知られるChatGPTが今年3月に公開されてから約1ヶ月半が経過しました。その間に、私は本を読む習慣が急激に減少したことに気付きました。私はもともと多くの本を読んでおり、スマホやパソコンのテキスト読み上げ機能(TTS)を利用して、作業しながら聞く形で書籍を楽しむ「ながら読み」を行っていました。このスタイルで、私は気分に合わせて400冊ほどの積読本から読みたいものを選び、まず流し読みを行い、その後で精読するという読書スタイルを維持していました。

しかし、ChatGPTの登場以降、私はこの読書習慣が失われてしまったことに気づきました。最初は、ChatGPTが新しく楽しくて使い始めたことが影響しているのかと考えましたが、最近は熱が落ち着いてきても、読書習慣が戻ってこないことに疑問を感じました。そこで、今回はその原因について考えてみようと思います。

本を読む気が起きない理由

ここでは、私がなぜ本を読む気が起きなくなったのか、特に「ながら読み」と精読の両方の側面から考察したいと思います。

「ながら読み」で読む気が起きない理由

まず、「ながら読み」について説明します。ながら読みとは、何かをしながら耳で本文を聞くスタイルで、作業中に耳に入る情報が主なものであり、細かい部分までは理解できないのが特徴です。ながら読みの目的は、本全体の大まかな内容を把握することであり、彫刻で言えば削り始めの状態のようなもので、例えば人を彫っていることはわかるけど指や顔など細かい部分がどうなっているのかは分からないといった程度のイメージです。これは、言い換えれば要約に近いものだと考えられます。

そして、要約はChatGPTの得意なタスクのひとつです。多くの人がChatGPTを使って長いテキストを要約させています。そのため、長い時間をかけてながら読みをしていたのに、GPTが要約を簡単にできることが分かると、ながら読みに対するやる気が失われたと考えられます。一応、書籍の本文をまるごとChatGPTに入れることはできないため、ながら読みには一定の意味があるとはいえ、将来的には直接GPTに聞けば良いという世界が訪れるだろうと考えると、ながら読みに対するモチベーションが低下してしまうのです。

「精読」で読む気が起きない理由

精読においても、モチベーションが低下している理由について詳しく検討していきましょう。精読を行う際には、細かい部分まで理解しようとするため、知らない概念や単語が出てくることがよくあります。そのため、随時調べたり、他の本で補完したりする必要がありますが、これがストレスの要因となっています。なぜストレスになっているかを順を追って説明したいと思います。

まず、理想的な読書体験とはどのようなものでしょうか。個人的な意見として、理想的な読書体験は、わからない概念が出てきたら、すぐにChatGPTに聞いて、簡単に理解できる形で説明してもらい、どんどん読み進めていくスタイルです。このような読書体験は、古く有名な本では実現可能です。なぜなら、ChatGPTは2年以上前のWebでオープンになっている情報を大抵把握しており、古くて有名な本はその内容がインターネット上に大量に存在しているため、学習も十分に行われています。これにより、このような本について質問しても的確な回答が得られる可能性が高くなり理想に近い読書体験が得られるわけです。このような本の具体的な例としては「デザインパターン」などが挙げられます。(余談ですが、これを利用して入門書を1冊ChatGPTに作ってもらいました

しかしながら、一般的には新しい本を読むことが多いため、ChatGPTが2021年9月までの情報しか持っていないことが問題となります。新刊の最新情報をカバーしていないため、わからないことがあってもChatGPTに聞いても正確な回答が得られなかったり嘘をつかれる可能性が高くなります。これは、読書中に出てくる概念や単語の調査が非常にストレスになる原因となります。

また、新刊でなくても、あまりメジャーでない本についても同様の問題が発生します。つまり、ChatGPTが十分に学習していないため、聞いても的外れな回答が得られてしまうことがあります。これにより、理想的な読書体験からはほど遠い状況となってしまいます。

このため、古くて有名な本以外では、わからない概念や単語の調査が非常にストレスになってしまいます。もちろん、従来通りインターネットで調べることもできますが、古くて有名な本において理想的な読書体験を経験しまったため、従来型の読書方法に戻るのが億劫になってしまったというわけです。このことが、精読の際にモチベーションが下がる大きな要因となっていると考えられます。

今後変わっていくであろう本の形

私は個人的に、今後本自体のあり方が変わっていくと予測しています。具体的には、理想的な読書体験を実現できるような形態で本が提供されることになる可能性があると考えられます。つまり、わからないことがあった場合に、その場で即回答を得られるような本の提供です。
この予測は私の単なる妄想ではなく、実際にプログラミング分野において、ドキュメントの提供方法が進化していることが根拠となっています。具体的にはプログラマーの方ならおなじみの、ChatGPTのプログラミング版ともいえるGitHub Copilotというサービスがあります。このサービスでは、GPT-4対応と並行して、いくつかのすごい機能が実装されています。その中の一つが「Copilot for Docs」という機能で、プログラミングに関するドキュメントの作成を支援しています。

Copilot for Docsは、プロジェクトのドキュメントを学習させたモデルによって、プロジェクトに関する質問に答えるチャットボットのようなものを提供します。これにより、通常のGPTに質問する際のように、プロジェクトのドキュメントに関する質問をチャット形式で行うことができます。例えば、「この関数の引数の使い方がわからないんですが教えてください」や「自作コンポーネントのリロードが頻繁に発生してしまうんだけど」といった質問が可能です。

このようなドキュメントに対するチャット形式での質問が可能になることで、読者はより理解しやすい形で情報を得ることができます。そして、このCopilot for Docsを書籍に適用することも、技術的には十分に可能です。もし、書籍に対してもCopilot for Docsのような機能が提供されれば、読者はChatGPT感覚で本の内容に関する質問ができるようになるわけです。
私は、このようなCopilot for Docsの書籍版のようなChatモデルが、書籍データと一緒に提供される未来はそこまで遠くないと予測しています(というか早く来てほしい🙏)。

ちなみに、このような書籍を学習するモデルを提供するスタイルは書籍のサブスクサービス(オライリーサブスク,Kindle Unlimited,
Amazon Audibleなど)こそが最適と考えています。大量の書籍を学習しているため、書籍横断的に知識を扱うことができるからです。また提供するモデルも最新のものを1個だけメンテナンスすればいいというメリットもあります。書籍サブスクサービスはポテンシャルが大きく伸びるため遅かれ早かれこのような機能が登場すると予測しています(というかほんとうに早く提供してほしい🙏)。

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