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電動車椅子を利用するようになった理由

「脳性麻痺って進行しない」は本当?

何回か前の記事で「脳性麻痺は進行しない」と言われていると書きました。

だけども、子供の頃は走ることができていたけども、今は走れない。外を歩けていたけども、それも大変になっています。
それを自覚し始めたのは、25歳頃のことです。就職を機に、地元から遠い場所で暮らし始めたので、子供の頃から診てもらっていた主治医とも会わなくなって数年が経ったころでした。
最後の診察で、主治医は
「もう、リハビリとかも必要ないだろうし、通院の必要もないね。何かあったら紹介状書くから、言ってね」
と言ってくださいました。
私も「もう、通院の必要もないんだ。健常者と同じとはいかないまでも普通に生活できる」
と思っていました。
しかし、身体がなんかおかしい。なにがって、はじめは今までに感じたことがないような身体のかたさが出てきたのです。そして、筋肉のこわばりも出てきました。
筋肉のこわばりがどんどん強くなってきて、知らない土地でとても不安な気持ちになりました。
だけど、どこの病院に行ったらいいか分からなかった私は、いくつも病院を回りました。病院探しの件は、また機会があれば書きたいと思います。
さて、この「筋肉のこわばり」の正体が何だったかというと、その正解は今でもわかりませんが、恐らく、正常な身体の動きができない身体を酷使した代償であったのだろうと思います。簡単に言うと、これが脳性麻痺の世界でいわれている二次障害というものです。

二次障害って何?

皆さん、子供の頃から「食べるときはよく噛んで食べましょうね」と言われてきたと思います。これはなぜでしょうか?
味わうのはもちろんのこと、しっかりと咀嚼しないで胃に食べ物を入れてしまうと胃の負担が大きくなってしまいますよね。
よく噛まずに飲み込んで胃もたれになったことはありませんか?私はよくあります(笑)
これを毎食していたら、いくら丈夫な胃でも、負担がかかって悪くなってしまうかもしれません。
これは口の機能をしっかりと働かせていないから、胃に負担がでるという極端な例ですが、これが二次障害の考え方のひとつ(代償)です。


私の場合、左足よりも右足の障害が重いのです。
そうなってくると、左足のほうが頑張ります。脳内ではこんな感じのやり取りがされていると思います。
右足「うまく動かせないから、左足がフォローしてくれよ~」
左足「よっしゃ。フォローしてやるぞ。ついてこい」
右足「よろしく~」

ただ、それが長期間続くと今度は、
左足「俺も疲れてきたよ~。腰や背中も手伝ってくれよ~」
腰・背中「よっしゃ。手伝ってやる。」

そして次は、腰や背中が疲れて、肩や首という感じで、身体の一部分が動かしにくい症状がいろんな部位に連鎖してしまうのです。そして、使わなかった右足はさらに悪くなり。というような循環で。
歩いていたころ、歩くと首が痛くなるというような不可思議な症状も出ましたが、それもこの理論で説明はできそうです。

ただ、これは特別なことではなく、健常者の方も老化とともに訪れる症状だと思います。一方で、違うのは現れる年齢が異なっていること。
私は、30歳を過ぎたあたりから、歩くのが少し大変だな~と思うようになっていました。そこから2年くらいは、外出も億劫になっていったり、スーパーで転んだりしていました。
スーパーで一度転んでしまったら、今度はそのスーパーへ行くことも怖くなり、怖くなると筋肉がこわばる、さらに怖くなるという負のループに入り始めました。
そして、周囲の方にも色々と教えていただいて、電動車椅子を利用することになりました。
そのときの諸々もまた今後。

電動車椅子を利用するようになって

電動車椅子を利用することになって、一番怖かったのは、このまま動けなくなることでした。
だけど、それ以上に
・今までは行けなかった遠いところに遊びに行ける
ということなど、生活の質が一段と良くなりました。
例えば、私は自然を見るのが好きで、桜や紅葉が大好きですが、歩いていた時は、「歩くのが大変だしな」と諦めていました。
しかし、電動車椅子を利用するようになって、初めての秋、紅葉を見に行って嬉しくて写真をたくさん撮りました。
歩いているときには、バランスを崩してしまうので、写真なんて取れませんでした。
電動車椅子を利用して、不便なこともたくさんあるけども、生活の質が上がったことも確かです。

そして現在

最初は近辺は歩行で、遠出は電動車椅子と思っていましたが、さらに歩行が難しくなり、今は外に出るときは全て電動車椅子です。
先ほど、二次障害と老化を似たものであるというように説明しました。そうなんです。この二次障害というやつは、私に付きまとったストーカー的なやつで、老化と一緒で止まることはないのです。
あとは、それをいかに遅らせるかだけ。
それが、今の私の課題です。


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