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まとめⅫ「どうしたって伝えられないから(前編)」

いよいよ発売!

3月3日、華やぐ桃の節句に合わせて発売、ストリーミング解禁となった自身14枚となるaikoのニューアルバム『どうしたって伝えられないから』。

興奮冷めやらぬ状態で、昨夜もApple Musicと格闘してしまい、加えてSpotifyでは「ライナーボイス」も公開とくりゃ再契約、と寝不足、頭ガンガンで今に至るわけだ。

「ばいばーーい」から「いつもいる」まで

全体の印象としては、アルバムでしか言えない事をライブのセトリみたいに詰め込んだみたいな曲たちで、aikoの中ではLLRが終わってないんだなって素直に思った。
別枠ちゃんの第3弾っていうか、曲の近くにライヴハウスに詰め込まれたジャンキーたちがいる感じ。

Instagramで投稿してから、今もその印象は変わっていないが、何気ない1日を綴った日記のようにも感じている。

M1.ばいばーーい

どこか冷たさを感じるタイトル。「ばいばい」でも「バイバイ」でもなく、あっけらかんと相手への未練を振り払っているようだ。

最初の印象は、朝。起き抜けに、恋していた相手のことをふと思い出してしまい、今まで感じていた苛立ちが俯瞰で見えた瞬間を切り取っているように感じた。

M2.メロンソーダ

この「メロンソーダ」は、FM802キャンペーン曲の時とはまた違うアダルトな印象。
色んな気持ちを振り払うためにも、外をあてもなく散歩しているよう。

思ったよりメロディーワークは不安定で、ピッチをあまりいじっていない(?)のか、ライヴ感あふれる仕上がり。アウトロに今までなかったギターのカッティングが挟まるが、これが粋。

M3.シャワーとコンセント

aiko&Oster節が炸裂。奔放な譜割と、細かいリズムワークでバンドも歌い手も大変だろうが、ライヴで手拍子を煽るaikoの姿が目に浮かぶロックチューン。
お互いに自分のことをうまく伝えられなくなった恋人への一方通行の想いをぶつけたいけど、もうあきらめそうで、それに相手に気付いてほしい自分もいる。
まじりあわない水と油ではなく、絶対に触れ合えない「シャワーとコンセント」に二人の心の距離を表すというのは意図的ではなくとも妙技だなと。

なぜか「咳が出る」、「熱がある」というと過敏に反応してしまった〈コロナ病〉な自分に少し辟易とした。。

M4.愛で僕は

エレピとストリングス、ウェットなドラムのリズムに心を委ねるボーカルが心地よい。

aikoの中の恋愛観に変化が見えたような一曲。人それぞれに幸せの形はあり、「あなたはあたしの全てなの(何処へでも行く)」のような自己犠牲に近い恋愛から、「雨が降ったなら部屋で抱き合っていよう」と何気ない日常を尊びたい自我が芽生えたような印象を受けた。
「僕」目線だから見え方が変わっただけなのかもしれないが、私自身としてはそれぞれの生き方を尊重したうえで寄り添いあえるような間柄を映した歌詞が魅力的だった。(この考察は私の気持ちが反映されすぎて、歌詞そのものとはかけ離れているか……。)

M5.ハニーメモリー

自身40作目となるシングル『ハニーメモリー』のタイトル曲。こちらも「僕」目線であり、男性目線がはっきりしている歌詞。
aikoなりの男性像、「最低でも男子にはこう思っておいてくれていたら」という理想も投影されているように思える。実際は、なかなかここまで反省してくれる男は少ないものだ(悲)。
しかし、このラブソングの女王が代弁することによって、打ちひしがれていた心の拠り所が出来る人、思い留まり愛を再確認する人へ、リアルに届く歌であってほしいとも思う。
なかなか上手く伝えられないから、せめてもの抵抗でやる「洗面所だけ電気」作戦はaikoらしいリアルな描写。

本曲は一曲を通して、声で始まり、声で終わる。まさに一人の心の声を複雑で不安定なメロディーワークが彩り、それを音楽が支える最大限の等身大を表しているようだ。

残るは7曲。これは長くなるぞ。

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