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大人の読書感想文 【教養科目・社会学①】

『時間の比較社会学』 真木悠介著

社会学で時間について学んでいます。それまで、そもそも時間について深く考えたこともなかったですし、当たり前に時間は流れてゆくものだと考えてました。社会学とは、「自明を問う」学問だそうです。社会学を学び始めてから、世の中の様々な「当たり前」に疑問をなげかけるようになりました。

いま私たちが当たり前に使っている「時間」。この概念が導入されたのはたかだか150年前。明治時代のことです。それまでは、時間は結構アバウトなものでした。

時間の観念は、大きく「不定時法」「定時法」の2つです。

「不定時法」は、太陽の動きに合わせて時刻を計ります。あくまで、基準が太陽なので、季節によって、1時間の長さが変わります。

「定時法」は、人為的に時間のルールを決めて1分60秒とするなど、1日を均等に分割する方法です。これによって、全ての人に同じ時間の観念が共有されるようになりました。

この本の中では、世界では時間はどのように捉えられてきたか?日本では?キリスト教では? などと、国や文化ごとに取り上げています。

アフリカの原住民には、「未来」という概念がなかった。とか、放牧民が使っていた「牛時計」など、自分の頭の中にある時間の観念ではとても理解できない(ものごとの捉え方が違いすぎて、理解したくてもできない)そんなもどかしい気持ちになりつつ、面白く読みました。

さて、日本はというと、日本で初めて「時計」が作られたのは660年。中大兄皇子によって作られたという文献が残っているそうです。この時計は「漏刻」という水時計で、古くは古代エジプトによって作られたようです。しかし民間人には広がらなかったようで、日本は「不定時法」「定時法」を時代によってまちまちに使っていました。

奈良・平安時代: 一部定時法

鎌倉・室町時代: 不定時法

江戸時代: 定時法 & 不定時法

明治6年~: 定時法 (太陰暦→太陽歴への変更と同じくして)

奈良・平安時代で政治的に使われていたと思われる定時法が、鎌倉・室町時代で使われなくなったあたり、皇族権力の衰退とのリンクを感じます。改めて、日本史を深堀りしたくなりました。

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