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どこまでも「オルタナティブ」なスプラトゥーン音楽史その3

みなさん、こんにちは。
もそししです。

この記事は3本立ての内、最後の記事です。
興味を持っていただいた方はぜひ「その1」から読んでいただけると嬉しいです。

あのバンドが帰ってきた!?

スプラトゥーン2の数々のBGMは1のイメージを根本から覆す、「洗練」「都会的」「実験的」な作品でした。
イカ達をそして、プレイヤー達を湧かせた2の発売から早まもなく4年が経とうとする頃、再び衝撃が走ります。

期待に胸を膨らますプレイヤー達を驚かせたのは、新たなブキやステージの情報だけではありません。
なんとPVで流れたBGMは「Splattack!」
まさかの「Squid Squad」活動再開か?と思いきやどうやらそうではないようです。

期待外れとは言わせない生意気な奴ら

C-Sideはあまり行儀がよくないので、「オレたちなら『Splattack!』をこんなにかっこよくできるぜ?」という挑発の意味合いで、無許可のままカバーしています。  『Now or Never!』にいたっては、「自分たちがオリジナルだ」と主張している始末です。サウンドトラックのブックレットでは、ボーカルがそのあたりについて言及しているので、気になる方は見ていただければと!

上記インタビューより

Splatoon3の「Splattack!」を演奏するのは新バンド「C-side」
前作のバンド達がポスト「Squid Squad」と、ある種のリスペクトの元に発生したムーブメントだったのに対して
なんとC-sideはまさかの挑発。
洗練されたハイカラさ、よりも混沌なバンカラさを好む新たなイカ達の流行を体現したかのようなバンドです。

混沌の坩堝

さらに我々を驚かせたのは3の舞台バンカラ街のご当地アイドル(アイドル………?)「すりみ連合」です。
ビジュアルもさることながらその音楽性はまさに混沌。
代表曲「蛮殻ミックスモダン」については語り始めると記事一本分になってしまったので、気になる方は

こちらをぜひ読んでみてください。

「すりみ連合」の音楽性

「蛮殻ミックスモダン」の記事内でも触れていますが、彼らの音楽はまさに混沌。
エキゾチック・オリエンタル・アラビアン・アジアン特定のジャンルに縛られない彼らの音楽を一つの形に繋ぎ止めるのは「祭囃子」のリズムとソウル

「祭り」

ここまで記事を続けて読んでくださった方ならなにか引っ掛かる言葉かもしれません。

それもそのはず。

イカ達の魂に刻み込まれている「シオカラ節」の原型はまさに「祭り」そのもの、「Squid Squad」以前のイカ界音楽シーンの中心であったアイドルと歌謡曲のさらに遡った原点の原点にイカ達は魅力を感じていると考えられます。

スプラトゥーン3の音楽とは

3の音楽を表すとすれば一つはテーマでもある「混沌」そして「原点回帰」そして「挑戦」です。
2によって洗練されたハイカラな音楽と対比的なバンカラで荒々しい音楽、「Squid Squad」に真っ向から「挑戦」する「C-side」であったり、「Squid Squad」以前の音楽をも取り込んで真の意味での「混沌」と「原点回帰」を成立させる「すりみ連合」の姿からも伺えます。

しかし、そんな新しいバンカラの風に全てを掻っ攫われる「Squid Squad」ではありません。

あのバンドが帰ってきた!!

合食禁として活動中のIKKANを除いて(というのは少し物悲しいですが)バンカラ地方で名前を新たに、そして顔すらも隠し、トップチャートにいきなり躍り出たのがメンバーのほとんどが「Squid Squad」で構成される「Front Roe」です。

少なくとも7年のキャリアを持つ彼らが裸一貫でバンカラ地方に「挑戦」し、バンド名「Front Roe(Row)」の通り、シーンの最前列で「Sea(See) Me Now」今すぐ会おうと呼びかけてくるのは1を遊んだプレイヤー達へのメッセージに感じられますし、バンカラな新しい世代への最高のカウンターを決めています。

1の頃と変わらず聴く人をワクワクさせる彼らの音楽ですが、変わらない中にも確かな進化と7年のキャリアとストーリーを感じることが出来ます。

初期のSplattack!では基本的にボーカルパートに入ってからはギターのパートはリズムを刻むものか、歌のメロディと同じ音とリズムで弾くボーカル・ギターとしてプレイし易いフレーズが使われていますが、See Me NowではAメロやサビの途中のギターで歌と異なるリズム、そして異なるメロディを奏でています。

超絶技巧かと聞かれるとそういう訳ではないですが、ギターを弾いたことがない方でも想像できるように歌と違うリズムやメロディを奏でればどちらかに意識が引っ張られてしまいます。
曲中の奏法のバリエーションも増えており、確かな7年の彼らの研鑽をこの曲から垣間見ることができます。

3を盛り上げるのは…

彼らだけではない

ビジー・バケーション feat. テンタクルズ

前作2のアイドルとしてフェスを盛り上げた「テンタクルズ」は無名ながらも確かな腕を持つメンバーをスカウトし、代名詞であったEDMのサウンドを排して「ビジー・バケーション feat. テンタクルズ」として新たな音楽に「挑戦」しています。

テンタクルズがプロデュースしたバンド「ビジー・バケーション」の名前はシオカラーズが1の後から2での事件後しばらくまで”充電期間”を設けたことと対比しているんでしょうか?
新しい音楽への挑戦を「忙しい休暇」と称するのは、音楽に貪欲な彼女たちらしさなのかもしれません。

YOKO HORNS & FRIENDS

バージョン4から登場した「YOKO HORNS & FRIENDS」は前作活躍したカレントリップのトランペット担当ヨーコが"腕試しに飛び込んだバンカラ街のセッション"で出会ったメンバーと新たに結成した「挑戦」が切っ掛けで生まれたバンドです。

動画の曲、ジェリーロール・ツイスターではロックンロールやロカビリーの要素を、ツートン・テリトリーではスカの要素をふんだんに盛り込み。
現実世界でのバンド音楽の原典を忠実になぞるかのような「原点回帰」を感じることが出来ます。

カレントリップはピアノのカレンがHightide Eraのタカの音楽に衝撃を受け結成したという逸話がありますが、街で演奏していたタカとメンバーの出会いから始まったHightide Eraと同様に、ヨーコの唐突な出会いから結成された「YOKO HORNS & FRIENDS」のエピソードにも「原点回帰」を感じることが出来ます。

まとめ

如何でしたでしょうか?

チープさとシンプルさを活かしたストレートな初期衝動を感じる1の音楽。
そこから洗練され、都会的な雰囲気や実験的な試みが感じる2の音楽。
原点回帰しながらも数々の挑戦や、全てを巻き込む混沌を感じる3の音楽。


タイトルそれぞれの音楽に魅力があり、ゲーム中で言及されていないにも関わらず、確かな歴史とストーリー、そして「オルタナティブさ」を感じます。
バトルに挑むイカ達と我々のように、シーンを塗り替えながらよりよい音楽を奏でる彼らに、そして作曲者の方々に敬意を表して、この記事を締めたいと思います。

本当に素敵な音楽の数々をありがとうございます。

そして、この記事を見てくださった皆様もありがとうございます。

では、また次の記事でお会いしましょう。


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