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日本共産党はどこへ行く?

初出:2024年2月11日
本年1月、日本共産党が党大会を開いた。

 そこで共産党にしては極めて珍しい、とはいえ極めて穏当な批判「的」な意見が出された。
 昨年2月に除名され大きな話題となった松竹氏の除名について、その処分の速さと重さについてだ。しかもそれは彼女が共産党の活動をし、人民と対話をすすめる中で感じた結論でもあった。

 これに代議員3名がかみついた。多くの代議員が発言を求めて大会運営に通告を行っているとのこと。なのに反対意見が3人も。しかも地区委員長(*)に加えてトリは赤旗の政治部長までお出ましだ。
 ま、組織された反論なんでしょうね。これって。
*新宿地区委員長の中野顕氏は松竹氏のせいで「新宿では2千~3千票減ったという実感」と発言したが、あれれ?党の公式発表では松竹氏除名の影響はなかったんじゃないの?

 実は大山氏は松竹氏を除名をするなと言っているのではない。拙速な判断をせず松竹氏から出されている除名処分再審査請求を適切に行えとの意見だ。これは手続き論であって批判ですらない。

 しかも大会最後の「結語」で新しく委員長になる(「結語」の時点では副委員長)の田村智子氏が、この大山県議団長の発言をことさらにとらえて過剰な非難をしたものだから、これが各所で「パワハラ」と指摘されて大騒ぎ。

日本共産党大会結語での田村智子氏発言はパワハラではないのか?

*討論のまとめを共産党は「結語」と表現する。これは党大会など共産党中央が関わる会議で使われる「共産党語」でもある

 この一連の顛末はマスコミでも報道された。とはいえ共産党のニュースバリューはここ数年で極めて低下したため、それほど衆目を集めてはいないが。

 大山氏は大会後、ショックで精神状態が悪くなっていたようだ。また最近明らかになったところでは、党大会以前からTwitterやFacebookなどをチェックされていて、党中央から指導されていたらしい。
 彼女の党大会での発言と過剰な-おそらくは-組織された批判は、そして「結語」でのパワハラ発言は、準備されたものだったということだ。

大山奈々子 日本共産党神奈川県議団長のTwitter(*)
*私は「X」とは表現しません

 何と驚くべき組織になったのだろう。かつてはこうしたことは隠されていたと思うのだが、こうして表に出てしまうことに何の抵抗もなくなっている。そこがこの党の劣化を象徴しているように私は思うのだ。

 さて「何の抵抗もなくなっている」と私は評した。

 その証明がこの間共産党の「しんぶん赤旗」で公然と出されている論評だ。そして新たに書記局長となった小池晃氏の記者会見の内容だ。そこでは結語をパワハラと指摘する人に、あれは反論であってパワハラではないと居直る姿勢だ。
 そしてその尻馬に乗って、共産党関係や支持者(*)がTwitterやFacebookでもっとあからさまな目を覆いたくなる意見をまきちらす。
*共産党員ではないと公言して支持者を名乗る、共産党中央の意見を垂れ流すTwitterアカウントってめちゃくちゃ多いんすよマジで。そんなレアキャラ現実世界のどこにいるっての

 これに違和感を持たない人がいようか。案の定多くの人が批判している。それもネトウヨ系ではなく、これまで明らかに共産党を支持し期待してきた人たちが、だ。

 そりゃそうだ。ジェンダー平等、ハラスメント撲滅とかで共産党に接近した人は、最近特に多いだろう。それらの人々から見たら、現在の共産党内は古くてカビの生えた旧態依然とした組織だった。
期待した分、失望はより大きい。これらの人々を裏切ったツケは早晩共産党に降りかかる。そして共産党はこのまま崩壊してしまうのだろうか。

いや。

 さて今日は2月11日。ちょうど一か月前に、これまた前代未聞の記者会見が東京都内で行われた。

日本共産党の全国大会へ 全党員と市民の注目を党員・有志から求める会

 相当数のマスコミ・ジャーナリストが参加したようだ。一部では報道もされた。

共産党員が異例の集団会見 執行部に除名撤回やハラスメント対策を要求(産経新聞2024/1/11)

松竹伸幸氏除名は「スターリンと同じと言われても仕方ない」 共産党員ら「党中央批判」の異例会見(j-castニュース)

*私が産経やJ-CASTニュースを引用するなんてなあ...

 現役党員が、匿名とはいえ揃って7人も同時に記者会見を行うなんてことがあっただろうか。穏当ながら除名批判の意見や共産党による市民団体の過剰介入問題や党内でのハラスメント問題など、様々な意見が出されているが、全体として共産党がこのままではいけないという危機感からの会見のように見える。

 共産党は様々な社会問題にコミットしてきた。そしてそれは確実に社会をより良い方向に動かしてもいた。そして共産党自身が問題を抱えている現状に、耐えられなくなっている共産党員もいるということだろう。

 共産党はこのまま崩壊するのだろうか。いやこのような人々がいるからこそ、そうはならないだろう。ただしこれらの懸念の声や批判「的」意見に対してすら排除の姿勢で臨むのなら、共産党の崩壊はあと数年以内に来るだろう。

 100年続いた老舗は、今が最大の正念場だ。
 このままではダメだ。ではどうしたらよいか。そこを考えられる人々がどれだけいるかどうかにかかっている。

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