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ボツになるレベルの、できすぎた現実

すこし暑さが和らぎはじめて、私は焦った。今までは、「赤ちゃんを連れて、こんなに暑い中外に出るのもね…」と(自分に)言い訳していたけれど、こうも涼しくなると、生後4か月のわが子をどこにも連れていけてないのも、当たり前にママ友がいないのも、ただの自分の怠惰のせいになってしまう。

支援センターとか、ママが集まるであろう場所に顔をだしたことはないけれど、本当はちょっとママ友がほしい。みんなが働いている平日の日中、仕事で使っていたチャットアプリの通知件数がどんどん増えていくのを見ると、自分だけ時が止まっているようでやりきれない。そんな中、同じように育児に奮闘している友だちとお茶でもできれば、人生で何度とない育休という時間が素晴らしいものになる気がする…!いや、そうに違いない!!

思い込みの激しい私は、急にママ友に対する熱量が上がり、即座にママ友アプリをインストールした。そこで一番はじめにメッセージをくれた近所に住んでいるママと、とんとん拍子でお茶をすることになった。

はじめての待ち合わせの前、ふと、ただ月齢の近い子どもがいるだけで、お互いの顔も趣味嗜好も知らない人と会うなんて大丈夫なのか…。
めちゃくちゃにギャルとかだったらどうしよう…と突然冷静になり、不安に襲われた。そして、自分が準備をしているときも、「もしかして、このスカート派手かな!?逆にギャルだと思われたらどうしよう…」と、気をもんだ。

「約束してしまったから今回は行くけど、柄にもないことするのはもうやめよう。今回だけね!」と言い聞かせ、「エイヤ!」と、待ち合わせ先に向かってみると、たとえ”子ども”という共通点がなかったとしてもふつうに友だちになりたい素敵なひとだった。「楽しかった、次も会おうね!」なんて言って、平日に会える友だちが近所にできてうれしかった。

その後も何度かお茶をしたり遊んだり。そんなとき、私が引っ越しをすることになった。やっと条件に合うマンションが見つかったことはうれしかったけど、せっかく近所に友だちができたのにな~とうっすら頭をかすめた。
彼女に「やっとマンションが決まってさ~。○○区だから、会おうと思えば会えるけど近所じゃなくなるとさみしいな~。また近所に友だちできるかな~。」というと、彼女は「へ~!○○区!?今月、友だちが引っ越すよ!近いかな?」とスマホでぽちぽちと調べてくれた。

結果、同じマンションだった。
(その後、彼女が引き合わせてくれて同じマンションに引っ越す方と友だちになれた。)

”事実は小説より奇なり”という言葉があるけれど、30年以上生きていると「いやいや、さすがにそれはできすぎでしょ~!?ドラマだったら、ご都合主義でボツになるレベルだよ!」ということが稀に起きる。

後から振り返ってみると、「いや~、なんか柄にもないことをしたな~!」ということが、できすぎた偶然を連れてきてくれたような気もする。

たまにはやっとかないとね、柄にもないこと。


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