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ゲシュタルト崩壊
私はもともと小説書きで、といってもオリジナル小説より二次創作の小説を書くのが趣味だった。
お陰様で薄い本と呼ばれるものを販売したり、ネットの小説サイトで連載をしたりもした。
でも、ライターになって小説を書く機会は減り、今はまったく書かなくなってしまった。
いや、書かないのではなく、書けないのかもしれない。
文字を商売とするからには、毎日何千文字と書き続ける。休日もほとんどない。
そんななかで趣味の小説を書く気力はなく、いざ書こうにも文字が出てこない。1文字も、だ。
文字を書こうとするほどに文字がなんなのかわからなくなる。まるで文字のゲシュタルト崩壊だ。
物書きに憧れた少女は、物書きにはなれなかった。
ライターだって一種の物書きではあるが、小説家とは違うのだ。
どれくらい違うかというと、ジュースとアルコールくらいには違う。飲料という同じカテゴリーには分類されるが別物だ。まったく違う。
というわけで、物書きになれなかった少女は、ここでリハビリをすることにした。
なんかこう、気軽に書ける場所が欲しかったのだ。140文字の小さな世界や、1万字を超える小説の新人賞ではなく。
そして、文末表現やら句読点の数やら、表記ゆれから解放されたかったのだ。息苦しい世界から。
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