見出し画像

執筆業の女

今、新型コロナワクチンの4回目の集団接種を待つ会場でこれを書いている。
前回の副反応がけっこうひどかったので、その前に書いてしまおうという魂胆なのだが、案外、順番が回ってくるのが早そうだ。最後まで書けるかな。

さて、私はバイク乗りだ。
この夏もずっと、バイクで海に通っていた。
敦賀に来て、もうすぐ2年、この間、無事故・無違反でやってきた。
が、それは私が安全運転だからというわけではない。
こちらでは、そもそも取り締まりの警官にお目にかかることが大変少ないのである。
というか、昨日までは、ゼロであった。
目撃数ゼロ。
なので、私は「敦賀では警察が人手不足なのか、荒っぽい運転をする人がいないのか、などの理由で取り締まりをしないのだろう」とたかを括り、すっかり油断していた。
ところが、である。
住宅街にかかる橋の手前で、ミニパトが現れ
「そこのバイク、止まってください」
と声をかけられてしまった。
いたんだ!?警官!

違反は「一旦停止違反」だった。
罰金6000円。

そこまではまあいい。
驚いたのは、この先のやりとりである。
嘘偽りなく、一言一句正確に記載する。

「すみません、免許証はお持ちですか?」
「はい」(と渡す)
「ご住所、こちらで間違いないですか?」
「はい」
「書類を作りますので、ちょっとお待ちくださいね」
「はい」
「お電話番号を伺ってもいいですか?」
「080-****-****です」
「ありがとうございます。ご職業は?」
「自営業です」
「自営業とは具体的に何をなさっていらっしゃいます?」
「ライターです」
「ライター? それは職業になるんですか?」
「へ?」
「ライターってこれですよね?」(と、親指でシュボッと火をつけるゼスチャーをする)
「違います。そっちじゃなくて、書く方のライターです」
「そんなお仕事があるんですか?」
「あるんですよ」
「困ったな」
「??」
「それって、漢字で言うとなんですかね?」
「え?」
「いや、書類は日本語で書くよう言われてまして」
「ライターって、もう日本語だと思ってました」
「や。カタカナだとまずいんですわ。ライターって、何する人ですかね?」
「…うーん、書く人ですねえ」
「書く人。作家さんですか?」
「恐れ多いです! 違います。もっとこう下っ端の……ネットの記事なんかを執筆したりする……」
「あ!執筆業ですね」
「しっ……ぴつ業ですか。じゃあ、もう、それで」
「はい、執筆業、と」

そんなわけで、公の書類に初めて「執筆業」という記録が残ってしまった。
私は今日から「執筆業の女」である。

ライターの諸先輩方は、こんな時、職業はなんと申請されているのだろう?

**連続投稿210日目**

(待機時間終了まであと2分。書けた!)

最後まで読んでくださって、本当にありがとうございます。 サポートは、お年玉みたいなものだと思ってますので、甘やかさず、年一くらいにしておいてください。精進します。