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瀬戸内のウミウシ、どこだ?

水が冷たいだの、流れが読めないだのと理由をつけて、せっかくの海を遠ざけていたのだが、快晴が続き、珍しく早起きもできたので興居島に渡ることにした。

最寄りの島までフェリーで20分、充分に恵まれた環境だと思う。
ウミウシが見られなくても、人のいないビーチで遊べるなら、それでいいじゃないかと割り切る。

フェリーの後ろには、見事な夏の雲。
知らぬ間に世間は夏休みだ。

島の道は、山を走っていて急に視界が開けたと思うと眼下に海が見える。
風が気持ちいい。
来てよかった。

秋に来た時に、「だいたいこの辺で遊べそう」と当たりをつけていたポイントがいくつかあり、そこを目指してバイクを走らせる。

しかし、昨年の私はどうやってそこまで辿り着いたのか、海岸までの道がない。藪漕ぎしたり、他人様のみかん畑のモノレール伝いに歩いたりしながら、なんとか海に出る。

1箇所目。

漂着物が多すぎて、危険。
透明度も低い。
諦める。

2箇所目。

見事に人のいないプライベートビーチ。

波も穏やかだし、仮に離岸流があったとしても、瀬戸内なら、どこかで船に拾ってもらえるだろう。
実際、沖を何隻も船が通る。
見つけてもらうのは容易そうだ。
ちょうど満潮を過ぎたばかりで、荷物を浜に置きっぱなしにしても、攫われることはなさそう。
もろもろ安心して、海に入る。

冷たい。
まもなく8月だというのに、水温24〜5度といったところか。
川遊びしているような感覚だ。
ここでも透明度は低く、5メートル先はもう見えない。

知らない海なので、用心して岸の近くを何度か往復してみる。
強い流れはなさそうだ。
岩場に移動し、少しずつ沖に出る。

わずか数メートル先に、見事な海藻の森が現れ、生まれて間もない小魚の群れが数千匹群れていた。

海底の岩から垂直に2メートルも伸びたホンダワラの仲間が、何百本もゆらゆらしている。
そこだけ光が届かず、暗い。
なかなか不気味な光景にも見えるが、これがあるから子魚たちは安心して大きくなれる。
海藻に守られているのだ。

小魚たちと一緒に海藻の間でじっとしていると、すぐに体が冷えてくる。
こんな冷たい海は、石狩浜以来ではないだろうか。
動き回ってウミウシのいそうなところを探すが、見あたらない。

場所を変え、集落の前のテトラポットで囲われた小さな漁港に行ってみた。

テトラの周りは、そこそこ魚影が濃い。
手のひらサイズのススメダイ9とウリクラゲが1、たまにボラという感じ。
ミルという海藻が生えていたのでヒラミルミドリガイがいるはずだと、粘って観察してみたが、それらしきものは見当たらず。
対岸の広島では、ウミウシが見られるところがあるそうなので、絶対に松山近辺にもいるはずだと思うのだが。

水の冷たさに慣れることがなく、諦めて帰宅。
今回の敗因は、ウエットスーツとウエイトを忘れたこと。
寒さ対策と潜るためのオモリがあれば、もう少し丁寧に観察もできたはず。
次回は、どちらも忘れないようにしよう。

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