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海がきれいで夏が好きになれる町

敦賀に住み始めて、次の秋で2年になろうとしている。

私がここにやってきたのは11月で、寒くなりかけの頃だった。

日本海側の初めての冬を経験した時には、雪が「私の知っている雪」ではないことに驚いた。
結晶構造が見えそうな薄いフレーク状の雪ではなく、固まった粒状の、顔に当たると痛い雪が降ってくるのが北陸なのだ。
ちょっと降ると止み、またすぐ降る。
小さな氷の粒が、まだ積雪のない道路を跳ね回る。
こちらの雪はよく弾む。
小さめのBB弾のようだ。

面白いなあ、と思ったけれど、それだけだった。
雪は大人ひとりでは楽しめない。
あれは、犬や子どもがいるから楽しいのだ。
とんでもないところに来てしまった、と思った。

けれど、昨年、初めての夏を敦賀で経験し、一気に北陸最高!日本海最高!に変わった。
それくらい、ここは夏がイイのだ。

感染症のために、どこのビーチにも人がいなかったことも大きい。
が、それよりなにより、海の透明度と生き物の多さがたまらない。
暑くて湿度が高くて不快でしかなかった夏が、海のおかげで大好きになった。
釣りもいいけれど、思い立って、ふらりと泳ぎに行くのが最高だ。
家から、すぐ海に入れる格好でバイクに乗り、海水浴場に向かう。
好きなだけ泳いで、またバイクで帰ってくるころには、風で全部乾いている。

誰にも会わない。
海の生き物と私だけがいる。
光の加減で七色に輝く海藻や、
発色が美しい小さなウミウシたちや、
岩に擬態するタコや、
怖いくらいの大群でぐるぐる回っているイワシの群れや、
死んで魚に食べられているクラゲや、
いろんなものを初めてみた。
半世紀生きていても、見たことのないものがたくさんあることに感動した。
誰もいなくても、誰かに見守られている気がした。
海ってそういうところだった。

今年も大好きなシーズンがやってきた。
今晩中に仕事が終わったら、明日は私の海開きをしようと思っている。
うれしいなったら、うれしいな。
さて、もうちょっとだけ頑張ろう。

**連続投稿148日目**


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