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知らなかったYO!!「ふるさと納税」は税金じゃないんだってSA!!<後編>

なんとなんと、「ふるさと納税」という名前でありながら、厳密には「税金」ではなく「寄付金」であった事実が判明した前回。

どうしたって、大都市に集中してしまう「住民税」を、納税者が自分の意思で、地方自治体に分配できる良い制度だと思った。

さて話は、ここから寄付に対するお返し、つまり「返礼品」のことに移る。

人気のある返礼品のヒミツ

今回の、ふるさと納税学習会の目的は「カニや牛肉やブランド米だけが返礼品じゃないよ、アイデア次第で、誰でも返礼品事業者になれるんだよ」ということを伝えるために開催されたものである。

ここから、敦賀の幸せのために、ふるさと納税について学んできた前川さんの解説が本格的にスタートする。

「ふるさと納税を実際にやってみた方は、いらっしゃいますか? ああ、いらっしゃいますねえ。みなさん、どうやってふるさと納税制度を使いましたか?」

①「楽天のふるさと納税制度サイトから」
②「ふるナビから」
③「さとふるから」
(口々にサイト名が上がる)

「そうですよね。だいたいの人は、ネットのサイトから、どんな返礼品が欲しいか、選んで申し込んでますよね。人気がある返礼品としては、魚介類や牛肉なんかが上位に上がってます」

本当だ。
1〜4位は全て海産物だし、そのうち、3位と4位には敦賀のカニとエビがランクインしている。

「もともと敦賀は、楽天に海産物のネットショップを持っている事業者さんが多かったし、越前ガニというブランドも全国的に有名だったので、その分、アドバンテージがあったんですよ」

なるほど。
だから、こんな上位に。
たぶん知名度だけなら、福井県は日本で最もマイナーな県だと思うし、首都圏の人間は、福井県がどこにあるのか、正確に知らない人も多いと思う。
なのに、この奮闘ぶりには、そういう事情があったのか。

「でも、それだけではありません。敦賀市は、全国でも先駆けて、ふるさと納税制度の活用に力を入れてきた自治体なんです」

というと?

「先程も言いましたが、ふるさと納税は、ネットからの申し込みがほとんどです。そして、だいたいの人は、サイトのランキング上位に登場するものから返礼品を選んでいます。ということは、このランキングに入るような工夫をして、注目を集めればいいんです」

そう言って、前川さんは用意したスライドを繰り、ランクインするための秘訣をいくつか教えてくださった。
(ここはおそらく、公開したくないところだと思うので、割愛する。知りたい方は、前川さんが主催される学習会へどうぞ)

会場は、敦賀市が誇る駅前公設書店「ちえなみき」だ。

返礼品は食べ物でないとダメ?

ここで、前川さんが変なものをプロジェクターに写した。

「僕はふるさと納税の研究をしていて、どんな返礼品があるのか、日夜面白そうなものを探しているのですが、これ、すごいと思いませんか? ホタテの貝殻ビキニ。捨てればただのゴミなのに、ここでは6000円の値段がついています」

「どこ見てんのよっ?!」と、青木さやかごっこができる。

「これも、面白いと思ったので、ちょっと見てください。なかなか実家に帰れない若い世代の人のために、お墓掃除の代行や、老いたご両親のゴミ捨て代行を返礼品にしてるんです」

こちらは、ユニークな子育て支援政策で、子育て世帯人口を増やし続けている、あの明石市の返礼品。
目の付け所が違う。

「ランキング上位しか見てないと、返礼品は高級食材しか出せないのかと思ってしまいがちですが、そんなことはありません。アイデア次第で、誰でも返礼品事業者になれるのです」

返礼品事業者になるには?

「てことは、例えば、私が『夜泣きのひどい赤ちゃんを、一晩中抱っこします』ってサービスを返礼品に出したっていいんですね?」

「可能だと思います」

「それって、厳しい審査があったり、書類を何枚も書いたり、大変な作業が発生するのではないですか?」

「いえ。敦賀市なら、提出する書類は、この2枚。それ以外に『市税完納証明書』を添付して貰えば大丈夫です」

「そんなに簡単なんですか?!」

「ハイ!」

前川さんは、今日一番の笑顔で大きく頷いた。

返礼品事業者になったら?

と言っても、まだ不安はある。
例えば、私が返礼品事業者になったとして。
自分のサービス内容が一目でわかるような、サムネイル画像を作れない。

「それは、大丈夫! そんな時のために、中間事業者さんがいらっしゃるんです。中間事業者さんは、商品の発送を請け負ってくれますし、サイトに載せるための、写真や文言を作ってもらうこともできるんです。価格設定なんかも、相談に乗ってくれるので、一人で悩まなくてもいいんです」

至れり尽くせり!

「それはそうですよ。だって、ふるさと納税って、市への寄付じゃないですか。そのお礼の品を出してくださる返礼品事業者さんに協力するのは、市としては当たり前ですよね」

なるほど、ここで「そもそもふるさと納税とは?」という、基本理念が生きてくるわけだ。
プラットフォームが「楽天」だったりすると、なんだか、自分で頑張ってネットショップの運営をしなくちゃいけないような気がしてくるが、実際はそうではないのである。

「返礼品は、受注してからの生産でいいので、在庫を抱えることもありません。普通に商売するより、リスクは少ないですよね」

たしかに、その通りだ。
でも待って。
返礼品事業者には、メリットだらけだけれど、それ、市にメリットは何かあるんだろうか?

「市としては、さまざまな返礼品が用意できれば、それだけ、受け皿が広がるというメリットがありますよね。自分の故郷の敦賀に寄付したいけど、アレルギーがあってカニは困るという人には、ありがたいはず。それに、返礼品事業者さんの販売窓口が増えれば、売り上げが上がるでしょう? そうすれば、市への税収も増えるし、いいことだらけなんです」

三方にとって得しかないなんて、こりゃもう、絶対やったほうがいいじゃないか。

「そうなんですよ。アイデア次第で、なんでも出品できると思うので、是非考えてみてください」

前川さんは、白い歯をキラリンと光らせて、爽やかにそう言った。

帰宅する道すがら、出品できそうなものを真剣に考えている自分が、ちょっとおかしかった。
うーん。
ライティングスキルは、返礼品にならないかな。

前川さんに相談してみよう!

**連続投稿300日目**

《注》
上記は、便宜上、前川さんと私の会話のように書いているところがあるけれど、前川さんが実際、これらのすべてを語られたわけではない。
後から調べて、膨らませているところもたくさんある。
間違っているところがあったら、それはひとえに私の責任である。
勘違いや、明らかなミスがあったら教えてほしい。

最後まで読んでくださって、本当にありがとうございます。 サポートは、お年玉みたいなものだと思ってますので、甘やかさず、年一くらいにしておいてください。精進します。