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迷子になりそうな、不思議な本屋 ちえなみき

今日は、午後から人に会うことになっていた。
その待ち合わせ場所が「ちえなみき」という、敦賀駅のすぐそばにできた本屋さんだった。

「本屋で待ち合わせ? 立ち読みして待っていればいいのかな?」
と思いながら、約束の時間に行く。
入ってびっくり、ちえなみきは、単なる本屋ではなく「カフェ×本屋×図書館×ワークショップスペース」という、敦賀の「知」を一手に引き受ける新しい場所だった。

特徴的なのは、そこかしこに作られた読書スペースだ。

ここでは「立ち読み」をする必要がない。読みたい本を見つけたら、近くの読書スペースで、ゆっくり座って読める。

今日、面会させていただいたのは、敦賀のハーバーステーションというコミュニティFMのキャスター星出恵美さん。
敦賀生まれ、敦賀育ちの彼女は、結婚を機に、全国を転々とし、数年前に敦賀に戻ってきた。
そこで改めて、自然に囲まれた故郷の素晴らしさに気づく。
地元の皆さんにもそれを再認識して欲しいという思いで、キャスターをされている。
実は、今日、面会した場所「ちえなみき」は、行政と市民が知恵を出し合って作った施設であり、星出さんも市民の立場でちえなみきのオープンまで関わってきたメンバーのお一人だ。

ちえなみきは、全国でも珍しい「公設書店」である。運営は、大手書店の丸善雄松堂と編集工学研究所といった、本の目利き、ナビゲーター、コンシェルジュ、なんと呼んでも構わないが、とにかく本のプロが担当している。

星出さんによると、
「ちえなみきでは、気に入った本をまるまる一冊読んで、買わずに帰っても構わない」
のだそうだ。
公設書店であるがゆえ、採算を度外視した、こんな運営が可能らしい。

迷路のように入り組んだ書棚の配置には、本との偶然の出会いから、知的好奇心を広げ、知の冒険にダイブしていけるよう工夫が施されている。

それに何より魅力なのは、ここである。

PRTIMESより

「絶版本」「大都市の書店でもなかなか会えない良書」などの単語に、ワクワクしない本好きはいないだろう。

欲しい本を求めて目的を持って本屋を訪れるタイプには、ちえなみきは向かない。
それならば、Amazonで充分だ。
いつのまにか、未知の世界へと繋がる書棚の並びにときめく人こそ、ちえなみきを訪れて欲しい。

知の迷路を彷徨っていると、時々、懐かしいイラストが飛び込んできたり、最先端の科学への扉が開かれたり、心にグッサリ刺さるコピーがどーん!と展示されているのに出会う。

じっくり「座り読み」して、気に入れば買えばいい。
喉が渇けば、一階のカフェでお茶も飲める。
時折ひらかれるワークショップは、ちえなみきに集う人たちをつなげる場所だ。

とても面白い。
しばらく入り浸ろうと思う。

**連続投稿242日目**

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