見出し画像

地震

日課となったご近所散歩をしていると、ブロック塀に囲まれた狭い路地でスマホからあの嫌なアラーム音が聞こえた。
続いて
「緊急地震速報、地震発生、強い揺れに備えてください」
というアナウンスが流れる。
(え?! せっかく越してきたばかりなのに、もう南海トラフが動いちゃったの?)
と心臓が跳ね上がる。
何をどう備えたらいいのか、とりあえずブロック塀から離れた方がいいのだろうと、慌てて近くのコインパーキングに駆け込んだ。

よしここだ、とエリア中央に座り込み、備えたつもりで揺れを待っていたのだが、一向にその気配がない。
そこらじゅうの玄関から、思い思いの格好で飛び出してきた数名の人たちが(あれ?)という顔をしている。
そうだよね、街なかのスピーカーからも緊急速報が流れていたし、みな南海トラフを警戒していたのだろうに、慌てて飛び出して揺れていなかったら、そりゃ肩透かしを食らった顔にもなるよね。

続報が流れなかったので、Twitterに地震情報を見に行くと、震源が近く松山でも震度4の揺れがあったと表示されている。
外で地震に遭遇すると揺れがわからないことがあるが、私の場合、今日がまさにそれだった。

帰宅後、夫が「かなり揺れた」と言っていたし、JRの列車も運休していたのでこのあたりにしては相当な地震だったようだ。
1人だけビッグウエイブに乗り損ねたような物足りない気分になった。
不謹慎を承知で言うが、人間の心の中には確実に「怖いもの見たさ」が潜んでいて、自然の強大なパワーを間近で見たいと望んでいる。
鳴門の渦潮が観光名所になっているのは、動きが予測できて、かつ災害につながらないとわかっている自然のパワーを、近くで見ることができるからだろう。
滝もそう。
台風が近づいてくると、ワクワクするのもそう。
圧倒的パワーに、圧倒されてみたいのだと思う。

日本に住んでいる以上、どこにいても確実に地震は起きる。
これまで大きな地震に遭わずに済んだのは、幸運以外の何物でもない。
今日の地震が引き金になって、南海トラフ大地震が起こらないとも限らない。

好奇心と命を天秤にはかけられないが、それでも、やはり一度は圧倒されてみたいと思ってしまうのだ。

**連続投稿758日目**

最後まで読んでくださって、本当にありがとうございます。 サポートは、お年玉みたいなものだと思ってますので、甘やかさず、年一くらいにしておいてください。精進します。