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ダブル依存から抜け出すために

夫が禁煙外来に行き出してから今日で、2週間、断酒を始めてから一か月が経過した。
ニコチン中毒の方は、禁煙パッチの絶大なパワーのおかげで、無事に何とかなりそうで、よかったよかったと思っている。

それでも、食後など「手持無沙汰さ」を感じると、まだ喫いたくなるのだそうだ。
喫煙は、依存性の問題と、定着してしまった強い習慣から自分を引きはがすという問題の二つと闘わなくてはいけないようだ。
ニコチンに対する依存性の方は薬で解決できても、日常の一部になった習慣を捨てろというのは、かなり難しいのだろう。
仮に誰かが私に「今日から一生、米を食べてはいけません」と言ったとしたら、主食の代用品は、小麦も芋も何でもあるというのに、やはり寂しさを感じるだろう。
慣れ親しんだものを手放すのは、相応の辛さを伴うのだろうなと想像する。

それにしても、煙草に関しては、歯周病との関連から、やめるのはむつかしくないだろうなと思っていたが、断酒が続いていることに驚いている。
アルコール依存については、医師や薬を頼ることもせず、今のところ独力でなんとかしている。
地域の断酒会なども調べていたようだが、そこに参加する方法は選ばなかった。
その理由を夫が先日語ってくれたのだが、断酒会というのは「みんなでお酒を辞める会」ではなく、基本は、そこで1対1の深い絆を作る場なのだそうだ。

メンター、というか、師弟関係というか、断酒歴の長い先輩のもとについて、断酒の苦しみを分かち合い、過去の失敗を語り合い、あの人が頑張っているのだから、自分も頑張ろうと思えるような、人間関係の構築を行うところに意味があるのだそうだ。
上記は夫の理解なので、実態は違うのかもしれないが、「他者と深い絆を結ぶことが下手で、孤独を深め、アルコールに依存してきた」という典型的な依存症に至るストーリーから考えると、似たような経験を分かち合える他者と関係作りの練習をする場所だと説明されれば、なるほどとも思う。
うまく気の合う人が見つけられなかった時のために、断酒会を掛け持ちし、一週間毎日、会をはしごする人もいるのだという。

夫はそれを踏まえて考えた。
「つまり、『あの人が頑張っているから、俺も頑張ろう』という対象さえ見つけられれば、わざわざ貴重な時間を割いて、集会に出向く必要はないな」
と。
そこで、夫がとった対策が、断酒している人のブログを読み漁ることであった。
今、夫は、20年近く断酒を続けている人のブログと、もう少し断酒歴の短い人のブログを追いかけている。
この二人には、会ったこともないのにかなりの親近感を抱いているらしい。
しかも二人が、毎日ブログを更新してくれているおかげで、夫も
「あの人たちが頑張っているんだから、俺も頑張ろう」
と思えているようなのだ。

過去のブログ記事には、赤裸々に失敗のあれこれが書かれている。
次こそちゃんと働こうと思うものの、毎朝、会社に行く前に一杯、仕事中にも一杯ひっかけるという会社員生活を続けていて、あっさりクビになった話だとか、家族に見放されても、それが自分の飲酒のせいだとは思っていなかった話だとか、夫は読むたびに「自分はここまで酷くはないな」と思って安心するのだそうだ。

なんとなく、このままダブル依存から抜け出せそうではあるが、心配なのは、ブロガーのお二人のうち、どちらか一人でも転んだ(断酒している人が飲酒してしまうことを、「転ぶ」とか「スリップする」と表現するらしい)場合だ。
夫の心の支えがぽっきり折れて、自棄にならないだろうか。

まあ、今はそんなことを心配しても仕方ない。
夫の経済力をあてにしなくても生きていけるよう、今のうちにちゃんと働いて収入を確保しようと思う。

**連続投稿665日目**

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