狂う

まだ10代の名残に卒業出来ないままいた20歳を超えて、21歳と半年くらいが経った頃、もう自分は身を燃え尽くすような恋愛はこれからの人生でしないだろう、と何となく感じた。

恋人やセフレがいても自分はもう大人で、陳腐な熱情にうつつを抜かしながら日々を過ごせるほど社会は甘くないし、甘えさせてもくれないのだ。

24時間頭から離れない、そんな貴方を自分だけのものにしたい、なんて幻想を抱くのは子供のすることだ、と大人気取りをした。

会いたい人には会えないまま、夢は叶わぬまま、人生は終わる。これでいい。なんて自己暗示にも近いけれど、人間こんなもんなのだとまだ20数年しか生きてないちっぽけな身体で達観したような振りをした。

しかし、人と人は再会する。

私の青春の全て、私のはじめて全てを捧げた人に、約3年ぶりに対面した。

夜の仕事や、マッチングアプリで遊び呆けてきて、数えきれない男性とあれそれを交わした自分が、恥ずかしくて相手の目も見れないなんて、少しのキスだけで全てを欲してしまうなんて、この瞬間を永遠にしたいだなんて、この数年積み上げた大人としての自分が崩壊していく。押し殺したはずのどろどろでぐちゃぐちゃした歪んだ感情が蘇る。

1人になって、何もかも耐えられない。
貴方の腕の中が1番心地よくて、気持ちよくて、幸せだと、パンドラの箱を開いてしまった。

所詮私もまだ若くて年頃の女というだけだった話だろうか。
いや、彼の面影を感じて、私から関係を迫ろうとした男性に話をしたところ、「それはね、呪いだよ。多分一生解けない」と言われたことがある。
だとすればこの呪いはどうやって解くのか?



私はセックスでしか好きな人とひとつになって溶け合う方法を知らない。
こんな汚い心を埋めるには結局朝昼関係なく身体を重ねるしか出来ない。

今すぐ会って、私だけを見て、なんて言えない。
なのに貴方の1番にならないなら死んでしまいたいと本気で思う。

何度も貴方の言葉に生かされたから、最後は貴方を思って死ぬのが私の幸せ。

これは恋なんかじゃない。

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