2024.6.16 新日本プロレス NEW JAPAN SOUL 2024 試合雑感

お久しぶりです。もるがなです。途中まで書いておいて上げるのを失念していたという体たらく……。そのせいで更新がかなり遅れてしまい申し訳ないです。もう旬は過ぎたかもしれませんが、読んでいただけるとありがたいです。ではでは、やっていきましょう。

◼️第5試合 60分1本勝負
NEVER無差別級6人タッグ選手権試合
辻陽太&BUSHI&高橋ヒロム vs ボルチン・オレッグ&矢野通&棚橋弘至

一週間での即リマッチに批判の声も多かった一戦ではあったのですが、試合内容としてはリマッチのほうが断然面白かったですね。

トオルとヒロシとボルチンというバンカラトリオに対して同じようにオラついて見せたヒロムが非常に面白く、ベルト奪取に対して素直に喜んでいたヒロムだけに、ここで王座に対しての拘りを全面に出してきたのは上手いと思います。辻はどちらかといえば棚橋とのシングル戦のための片道切符という印象が強かっただけに、辻個人は良くともチームとしてのネバ6王者としてはイマイチ乗り切れなかった部分もあっただけに、王者としての欲をヒロムが出すことでバランスが良くなったように思います。

そんな激しい攻防の中、試合はボルチンがBUSHIをカミカゼ葬してまさかの勝利。ロスインゴを短命政権に終わらせるという快挙を成し遂げました。これに対して微妙な反応を示す人はわりと多かったわけですが、前述の通りチームとして見るならロスインゴ側はやや急造タッグめいた印象もあり、また王座に対する欲もそれほど感じなかったので思いの強いほうが取るというのは望ましいことだと思います。棚橋vs辻のストーリーの間に割って入って強引に奪い取った気概や、YOSHI-HASHIがネバ6の奪取から格を上げたのと同様に、棚橋と矢野によるボルチン育成という風に王座戦の方向性も明確ですし、まあ移動も納得かなと。

ただ「これで取り返すならそもそもなんで取らせたんだ?」と疑問に思う気持ちも分からないではなく、これは以前の上村vsオーカーンのKOPWもそうなのですが、今の新日はかなり気軽に王座交代させすぎなんですよ。リマッチ批判の要因の一つは王座戦の軽さにあるとも思ってて、王座戦線の主流はある程度決まっているのに、リマッチありきで気軽に取らせていると王座の価値が下がるんですよね。僕は古い人間なので王座奪取=主役交代であるべきだと思いますし、短期的なリマッチを前提とした王者交代劇には基本的にノレないです。取って取り返しては単なる王座のキャッチボールなので。王者というものはやはり防衛を続けてこそなんですよ。

そういう意味ではやや肩透かしに終わったなという気持ちもありつつ、辻vs棚橋に縛られ過ぎず、しっかり存在感を示したボルチンは立派だなという結論に落ち着きました。複数の因縁や想いが絡むネバ6戦線は魅力的なだけに、もう少し純度を上げて欲しいですね。

◼️第6試合 60分1本勝負
IWGPジュニアタッグ選手権試合
藤田晃生&ロビー・イーグルス vs ドリラ・モロニー&クラーク・コナーズ

藤田の大躍進とモロニーのドリラ・キラの危険性が光った一戦でした。両方ともこのBOSJでさらに格を上げて観客への周知も終わったせいか、かなりヒリヒリしましたね。

あとロビーは本当にタッグ巧者というか、以前のロビ虎タッグといい、今回の藤田とのタッグといい、どのタッグもビジュアルがバシッとハマっているんですよね。藤田を主役として引き立たせつつの名アシストは素晴らしく、兄貴分のような感じで良かったですね。

そんな感じで大健闘した藤田でしたが、最後はドリラキラ、NO CHASER、そしてトドメの合体技であるFullclipのWARDOGSフルコースで藤田轟沈。ここまで出させた藤田が凄いのもありますが、それでいてオーバーキルによる制裁感もあったのがいいですね。いやあ……それにしても藤田はもう若手感は全然ないですね。来年にはBOSJ優勝か、IWGPJr.ヘビーを巻いててもおかしくないなと思います。

○G1参戦選手&ブロック分け発表○


さて……ここで一旦休憩して、G1のブロック分けと参戦選手が発表されましたね。今年は20名参加で、例年と比較するとかなり絞ったように思います。まさにグレード1に相応しい選ばれた人間の大会であり、お祭りだった昨年と比較するとより狭き門になったように思います。

ただ、少し引っかかるのは決勝トーナメントであり、AブロックとBブロックは決勝まで当たらないんですね。決勝トーナメントは今まで当たってこなかった相手との邂逅を楽しみにしていただけにここは少しだけ残念で、カードの新鮮味という意味ではブロック2位を入れ替えるのが一番いいかと思うのですが……各ブロックの勝ち上がりを重視した結果なのですかね?ただ、今まではリーグ戦で負けても決勝でリベンジの機会があったのが、今回は勝ち上がれば決勝前にリベンジの可能性が生まれるわけで、それを踏まえた展開が予想されますね。3位突破から一気に捲っての決勝戦進出もかなり可能性が高いと思われます。

今年のゲスト外敵はジェイク・リーと竹下幸之介。前者は噂されただけにやはりか!という印象がありますし、どうにも盛り上がりそうで盛り上がらなかったオールトゥギャザーの内藤戦でしたが、理由の一つはやはり「ゲスト」に留まっていたからで、G1への本格参戦となると注目度は俄然変わりますよ。三冠、GHCに続いてのIWGP世界ヘビーはグランドスラム王手であり、満を持しての新日本プロレス本格参戦の気配もあって凄く楽しみですね。NOAHで見れない可能性があるのは非常に心苦しい所ではあるのですが……。

もう一人のゲストである竹下幸之介に関してはとにかく驚きました。いやはや……竹下のG1参戦って凄くAO入試感ありますよね(笑)輝かしい実績を引っ提げての新世代No.1の呼び声高い怪物の参戦。これは期待大です。昨年の清宮海斗参戦もヤバかったですが、今年もまた新世代にとっては外との力の差を知る試練の夏になりそうです。

いい機会なので、ついでに今年のG1優勝予想も書いておきましょう。こういうのは書くだけで楽しく、当たるかどうかは見てみないと分からない。毎回そのズレを楽しいんですよね。僕の予想は……

本命:SANADA
対抗:辻陽太
大穴:ザック・セイバーJr.

です。新世代のことを思うと30代半ばの壁役の格上げは急務であり、加えてIWGP戦線に絡んでいる選手となるとSANADAとEVILで、今年はこのどちらかかなとは思うんですよね。特にSANADAは王座経験を一度経たのもあってか、以前と違って憑き物が落ちたような感じもあり、あとはG1さえ制することができればエースになれるでしょう。対抗の辻はSANADAとの関係性を考慮すると同時に、やはり今一番IWGPに近い新世代であると思いますし、NJC優勝に続いての春夏連覇は時代を作るきっかけになり得るでしょう。かつて二度の苦汁を舐めさせられたSANADAとの再会が決勝戦になるというのも、それはそれでドラマティックだなと思いますよ。

大穴はザック・セイバーJr.ですが、大穴というか一番の希望はザックです。欲しいのはIWGP世界ヘビーとG1優勝のみであり、これを取れるか否かで新日本プロレスNo.1外国人選手になるとも思ってますので。そろそろザックでもいいんじゃないですか?実績もクオリティも文句はないでしょう!

ちなみにG1出場者決定トーナメントはYOSHI-HASHIとTJPでファイナルアンサーで。これは結構カタい予想だと思うのですがどうでしょう?ここも気になりますね。

◼️第7試合 60分1本勝負
NEVER無差別級選手権試合
鷹木信悟 vs HENARE

今大会のベストバウトの一つです。前回は惜しくも両者KOという結果に終わりましたが、HENAREの闘魂はいまだ死なず。再び巡ってきた決着戦です。

試合は前回と同様にハードな死闘となり、やはりHENAREの蹴りの重さは目を引きます。そして前回も書きましたが、頭部裂傷、さらにはKOというリスクもあってか、ヘッドバットがより危険性を増して神通力を纏っているのを感じます。蹴りとヘッドバット。もうこの二つだけでHENAREは銭が取れますよ。

鷹木はパンピングボンバーでの真っ向勝負で強引な突破を図りますがHENAREは屈さず。Streets of Rageでも崩れない鷹木を、かんぬき状態からのヘッドバットという荒技「UENUKU」で勝利。マオリの言葉で「虹」を意味するそれは栄光の架け橋にピッタリであると同時に、価値の上がったヘッドバット系フィニッシャーであるのがいいですね。

初戴冠が嘘のような堂々たる新王者の誕生。石井や鷹木が作り上げたゴツゴツ路線とも言われる今のNEVERに最も相応しい後継者の誕生には祝福しかないですね。奇跡の復活もあってか近年で最も感動した王者交代劇でした。相手は他にはまだゲイブがいますし、リミッターの外れた死闘はまだまだ続きそうですね。楽しみです。

◼️第8試合 60分1本勝負
IWGP GLOBALヘビー級選手権試合
デビッド・フィンレー vs SANADA

復帰していきなりのフィンレー戦は過酷でありながらも、いい具合に肩の力が抜けているせいか、以前のNJC決勝戦よりこちらのほうが試合のクオリティは高かったですね。SANADAはかなり伸び伸びと戦っており、IWGP王座経験者らしい風格が備わってきた気がします。何よりもコンディションの高さが目を引きますし、河津落としや場外パイルドライバーなどの小技が光ってましたし、色々言われがちなスカルエンドもオコーナー切り返しを逆に自分がやられてる切り返しのパターンを流用して仕掛けたりなど、業師としての側面がいかんなく発揮されたと思います。ただ、あれだけクオリティが高かったのに終盤の延髄斬りだけはびっくりするぐらい下手で、あれはまあ愛嬌……ですかね(笑)

試合全体のコントロール含めてSANADA優勢だった気もしましたが、最後は前述の延髄斬りからのシャイニングをキャッチされ、投げ捨てパワーボムからオーバーキルでフィンレーの勝利。病み上がりは負けるわけにはいかず、それでいてリベンジも達成しましたね。

GLOBALヘビー、SANADAが巻いて色を付けるのも面白いなと思う反面、これでG1優勝の可能性が高まったと思えば今回の負けも納得です。フィンレーは着実にステップアップをしている反面、過去のバレットクラブリーダーと比較してIWGP世界ヘビーを巻いていないことが唯一の難点で、その「格」の部分が足踏みになっている気がしますね。個人的にはモクスリーに挑んで欲しかった気もしますが、ドルフ・ジグラーへの勝利はかなり大きかったですし、これからの「成り上がり」に期待したいですね。

◼️第9試合 時間無制限1本勝負
IWGPジュニアヘビー級選手権試合 金網マッチ
SHO vs エル・デスペラード

丁々発止のやり取りから実現した金網でのIWGPJr.ヘビー級王座戦。ヘタレヒールのように振る舞いつつも、介入なしでもSHOのダーティーファイトは板についており、Jr.戦線でのHOTとしての窓口だけでなく立派なヒールチャンピオンになったと思います。当初デスペにとっては下からの跳ねっ返りに過ぎなかったSHOですが、デスペを倒して戴冠しBOSJ決勝後の乱入もあってか、格は迫る勢いになっており完全に向こうを張れるようになりましたね。裏テーマとして見るならSHOの暗黒成長物語としての側面もあったように思います。

試合内容は金網戦というのもあってか決着戦らしい重さのあるスローテンポであり、前は特別感のあった金網戦ではあったのですが、今回のこの試合でようやく新日に金網戦が定着したような気もします。皮切りになったのはオスプレイでしたが、馴染ませたのはSHOとデスペだな、と。

そして金網戦における椅子を放り投げるシーンは一つのハイライトで、前のオスプレイラストマッチもそうですが、これはやはり光景として圧巻ですね。最後はデュードバスター、リバースタイガードライバー、ピンチェ・ロコのフルコースで王座奪還。名実ともにデスペラードが新日Jr.の頂点となりました。ここに至るまで長かったですね。

試合後はDOUKIを呼び込んでの挑戦者に逆指名。普通に考えるなら負けたTJPを指名するのがスジですが、G1出場者決定トーナメントのことを思うと納得で、そう考えるとTJPも忙しいですね(笑)そのことに対する理由を述べつつも、BOSJで勝ったDOUKIを指名するのは個人的な欲求というのも実にデスペらしいです。デスペは良くも悪くもファンの視点を持っているせいか、たまに出てくるであろう反応を想定して先回りで言い訳をする悪癖があるのですが、こんな感じで独善的に決めちゃっていいんですよ。まあそれでも言葉にしてくれるのがデスペの長所ではあるので難しい所ではあるのですけど。

しかしながらDOUKI挑戦への祝福を見ると、やはり機会を与えることは大事であるなと思うと同時に、それはやはり王者の務めでもあるのでしょう。新日Jr.の底上げと発展。ヒロムと抱く思いは同じでありながらアプローチの違いを如実に感じますし、このままドームまでデスペ政権を続けて欲しいですね。





遅くなりましたが今日はここまで。次に書くのはG1開幕戦になりますかね。ここからは例年通りなら地獄の連日更新が始まります。今年はやれんのか……おい!というところで筆を置きたいと思います。がんばります。またお会いしましょう。ではでは。

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