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2022.8.13 新日本プロレスSTRONG SPIRITS Presents G1 CLIMAX 32 DAY16 試合雑感

◼️ 第5試合 30分1本勝負 
『G1 CLIMAX 32』Cブロック公式戦
アーロン・ヘナーレ vs  KENTA

分かりやすいストライカー同士のマッチアップですね。両者構えてからのバチバチな攻防。しかしながらここはヘナーレに軍配が上がり、KENTAはすかさずラフに走りますが、ここもヘナーレが一枚上手です。しかしキックの鉄柱誤爆を誘い込み、ペースを握り返すと時折強烈な蹴りを差し込みながら、ジワジワとラフファイトで攻めます。このスタイルは今のKENTAならではのオリジナリティがありますよね。とはいえ若さによる爆発力があるのはヘナーレであり、打撃でやられまくるKENTAというのもかなりレアですよね。

虎の子のアルティマはレフェリーへのボディシザースで無理やり逃れると、散々やられたヘナーレの打撃に合わせてのクロスカウンター。Streets of Rageは顔面引っ掻きで外したり、ヘナーレが外したGAME OVERからすかさず三角に移行したりと、この辺りの経験値はやはりKENTAが圧倒的です。

最後は走り込んでのランペイジを切り返すとそのままGAME OVERで切り返すと KENTAのタップアウト勝ち。 KENTAとだいぶ調子を取り戻してきましたね。

◼️ 第6試合 30分1本勝負 
『G1 CLIMAX 32』Aブロック公式戦
矢野通 vs ジェフ・コブ

コブの矢野パロはめちゃくちゃ笑いましたw矢野のネタは個人的には若干食傷気味ではあるのですが、定着したからこそ、こういう風に意外性のある選手に乗っかってこられると弱いですね。

矢野は姿を現さず、時間のみが経過します。不意に現れての押さえ込みやスプレー目潰しもやりましたが、いずれの策も不発に終わります。こうした定着による文脈の積み重ねによって観客に周知できていることこそが矢野の最大の強みですね。エプロンを剥がしての「コブ巻き」で動きを封じるも、解いたコブが逆に矢野にTシャツを被せ、そのまま走らせてのツアーオブジアイランド。正直、走れて受けられただけでも立派なものですよ。笑っちゃったので今回はこっちの負けですw

◼️ 第7試合 30分1本勝負 
『G1 CLIMAX 32』Dブロック公式戦
鷹木信悟 vs 高橋裕二郎

一気に距離を詰めて裕二郎に間を取らせない鷹木はちゃんと相手を見てますよね。格でもスペックでもはるか上をいく相手をどうにかこうにか裕二郎沼へと引き摺り込みますが、試合全体の設計ではやはり鷹木に軍配が上がる結果となり、焦ったい試合運びなのに後半は手詰まりになるというアンバランスさが見えたのは痛かったです。

対裕二郎相手でも鷹木は一切手を緩めず、スライディングDに場外デスバレーの大盤振る舞い。最後は椅子ごとパンピングボンバーで吹き飛ばしてラストオブザドラゴンで叩きつけて勝利。意図的とはいえ、やや失速気味だった試合を爆発力で強引に持っていきました。安易に「持たざる者」の哀愁に頼らず、ヒール道を貫く裕二郎は偉いなと思う反面、その戦法は現状だとどうしても差別化が難しく、シングルプレイヤーとして戦う機会が多いなら、やはり何かしらの進化は見たいなと思いました。とりあえずは何にせよ機会が与えられていることだけは一安心なので、ちょこちょこでいいので裕二郎のシングルは見たいですね。

◼️ 第8試合 30分1本勝負 
『G1 CLIMAX 32』Dブロック公式戦
YOSHI-HASHI vs ウィル・オスプレイ 

両者のスペックを比較するなら原付とF1マシンぐらいの差がありますが、それを埋めるだけの可能性をYOSHI-HASHIには感じますよね。とはいえこのリーグ戦わ通じて負傷した古傷の肩はハンデとしてはかなり厳しく、試合序盤からそこを徹底的に狙われます。こういう局面ではオスプレイの武闘派ヒールぶりが光りますし、飛ぶだけじゃなく本当に何でもできますよね。

とはいえ格上相手こそ真価を発揮するYOSHI-HASHIで押されはしつつも食い下がる姿だけで支持率を伸ばしていくあたりは凄いですね。両者ともに手を繋いでの壮絶な打撃戦から、相手のハイキックをスカしてカルマに繋いだのには驚きました。鷹木がやった切り返しではあるのですが、鷹木との対戦経験や事前の研究もあったのですかね?自分と同型の技から攻略のヒントを探す貪欲さは素晴らしいと思います。

YOSHI-HASHIのオスカッターの受けっぷりもよかったですし、ここ一番でのカナディアンデストロイヤーと、攻守に応じてかなり高いレベルで張り合えていたのですが、最後はそれら全てを受け止めて希望を断ち切るヒドゥンブレード。振り返るとオスプレイの横綱相撲という印象もあり、こうしたベルトの有無に関わらない王者然とした佇まいこそが、YOSHI-HASHIが次に手に入れるものですかね。かなりの好勝負でした。

◼️ 第9試合 30分1本勝負 
『G1 CLIMAX 32』Bブロック公式戦
タイチ vs ジェイ・ホワイト

ヒール同士の対決でありながら、こうしたシチュエーションだとタイチの哀愁が光りますね。しかしながらヒールぶりではジェイが上であり、フォールに行きつつタイチの得意とするチョークを挟むなど極悪ぶりが光ります。タイチもカバーを返すと同時にチョークをやり返すなど、ベビー側に傾き過ぎることなくヒール同士らしい危険な香りが漂ってきましたね。

蹴りの乱打から試合が徐々に激しさを増していき、タイチも全日の系譜であるバックドロップホールドなどを繰り出します。こうした終盤戦の熱量は凄まじく、タイチには情念があるんですよね。ジェイも変幻自在の体勢からブレードランナーを放ちますがカバーにいけず、クライマックスの数分の勝敗の天秤の揺れ具合がとてもよかったです。しかしながら最後はリング中央へと引き摺り込むようなブレードランナー。いやはや……ブレードランナーは入り方の面白さもさることながら、仕掛けながらベストポジションへの移動と、技としての完成度が高く奥深さがあります。そしてジェイの類い稀なる傑出した才能。誰がこの男を止めるんでしょうかね。







最終戦に向けての消化試合のような興行ではありましたが、それでも熱量はG-1のそれです。とはいえ、あともう少し望んでしまうのは贅沢でしょうかね。今日はここまで。