G1 CLIMAX 31 優勝予想

また今年もこの時期がやって参りました。今年は例年に比べるとややカードの訴求力が弱い代わりに、一つ一つのカードの文脈の濃さは素晴らしく、今の時期に当たることの必然性を予感させるカードが勢揃いしているんですよね。それではブロック分けを確認しつつ、例年通り優勝予想をしていきましょう。

◼️Aブロック
○飯伏幸太
○石井智宏
○矢野通
○鷹木信悟
○内藤哲也
○ザック・サイバーJr.
○グレート-O-カーン
○KENTA
○タンガ・ロア
○高橋裕二郎

◼️Bブロック
○棚橋弘至
○オカダ・カズチカ
○後藤洋央紀
○YOSHI-HASHI
○SANADA
○タイチ
○ジェフ・コブ
○"キング・オブ・ダークネス"EVIL
○タマ・トンガ
○チェーズ・オーエンズ


本命:飯伏幸太

昨年連覇を予想しましたし、ここまで来たら一気に3連覇まで駆け上って欲しいので分の悪い賭けでも全ツッパしましょう。と、言いつつ意外と飯伏3連覇の声は多く、無人島かと思いきや仲間がいました(笑)

気になる点があるとするなら、3連覇を推す理由であり、それは前人未到の記録を打ち立てることで"真の飯伏幸太時代"の到来を見たいからなのですが、でもそれって、昨年と推す理由も優勝を望むモチベーションも変わっていないんですよね……。他の人はどうか知りませんが、少なくとも僕はそれですし、一年経ってもまだ飯伏はこの立ち位置なのか……ということに暗澹とする気持ちもあります。

しかしながら、苦悩とともに駆け抜けて一度は「壊れて」しまった今年上半期の飯伏幸太を見ていると、とてもそうは言えないんですよね。棚橋弘至の手による9.4でのREBORN……その試合で流した涙と激情……決死のバミューダ・トライアングルに見た破天荒な過去とエモーショナルな現在の「接続」……あれを見せられては期待するしかないんですよ。

3歩進んで2歩下がる、とは警句であり、思ったように物事が進まないのは人生の常です。スターとして扱われてもそれが成功を確約しないのがプロレスであり、だからこそ「リアル」なんですよね。棚橋戦は敗北に終わりましたが、あれは「遠回りの肯定」だったように思います。そこに自身の責任もあれば、環境要因もあったわけで、完全に周りのせいにできるならまだしも、自分の問題も含まれるなら、それを不要なものまで抱え込んでしまうのが人間で、一概に切り分けることは中々できないんですよね。そんな中で「上手くいかなかったこと」を全てひとまず受け入れて、再び前に進むことができる。それが本当の意味での「強さ」であり、それが今の時代に一番必要なことだと思います。3連覇という偉業と後がないことはバーターでありながら、その実、このG-1で飯伏幸太ここに在りを見せつけることができたならば、結果してついてくるのが3連覇である。僕はそう捉えています。

決勝戦の相手は、やはり棚橋弘至がいいんじゃないですかね。9.4での再生物語のリフレインでありつつ、2018年に涙を飲んだ決勝戦の再演でもあり、飯伏幸太のG-1ヒストリーは、棚橋に始まって棚橋で終わるのが一番美しいなと思います。ベタな予想で申し訳ないのですが、個人的にはこのカードを推したいですね。

それ以外だと、再起を賭けるオカダとの決勝戦もいいかもしれません。前述の棚橋戦より単純な勝負論は強まりますし、互いに復活を賭けた一戦というのも文脈の統一感があっていいでしょう。あとは意外性ならEVILですかね。もうEVILは結構だ、という声も多いですし、またEVILかよ……という嘆きも聞こえてきそうですが、G-1決勝戦に進出したことない選手で、対角線に立つとなるとEVILぐらいしか残されておらず、また3連覇というのは他者の夢を摘むものである以上、決勝進出した時点で批判が出そうな気もするのです。そんな中で観客の感情をヘイトコントロールし、避雷針となって勧善懲悪にできるのはEVILが適任かつ、飯伏vEVILはカードとしてはフレッシュさがまだ残っているんですよね。これらはややメタな読みになってしまいますが、一応可能性としては十分にあり得ると思います。


対抗:オカダ・カズチカ

単発の名勝負は残しつつも、やはり低迷やスランプの印象の強いオカダが復活するとしたらG-1の大舞台での優勝が相応しいと思います。オカダの不調に合わせるかのように新日の低迷も囁かれてますし、ここはやはりアイコンとしてオカダの、ひいては新日の復活をブチ上げるのも悪くはないと思います。また、現状のIWGP世界ヘビー級戦線での鷹木vsオスプレイの完成度に、試合内容でも因縁でも割って入れるのはオカダぐらいしかいないんですよ。今までの立場と違って、今年は久しぶりに純粋なチャレンジャーとして挑むことになるG-1ですし、そうした中での復活は期待したいですね。

その場合の決勝カード予想なのですが、ここはやはりvs内藤戦を挙げたい所です。IWGP世界ヘビー級になってからというもの、この二人は半強制的に"旧世代"に押し込まれてしまったんですよね。鷹木、飯伏、オスプレイが目立つ世界標準の「新時代」に対して「俺たちの時代」として逆襲できるのは、オカダと内藤の両雄でしょう。今年こそはオカダと内藤は同ブロックになるだろうという予想があったわけですが、それが外れたのでならば決勝戦で再会というのも面白そうかもしれません。オカダvs内藤の新日覇権争いは、まだG-1の決勝ではやってないですし、それは2015年の棚橋vs中邑を想起させるマッチアップでもあります。どちらが勝とうが、このタイミングで組まれるのは運命的だと思うんですよね。IWGPを本当の意味で「取り戻す」のはこの二人しかいないと思っております。


大穴:内藤哲也

決勝カード予想は同じくオカダ相手となりますが、優勝予想の多いオカダに対して、内藤の立場からするとダークホース的な意味合いが強くなるため、今回は大穴とさせていただきました。9.5でのIWGPタッグの戴冠ならずとなったのはシングル戦回帰の伏線のような気もしますし、vs鷹木はロスインゴ頂上決戦でありつつ、外様の王者に対しての生え抜きという構図も成り立つんですよね。また内藤vsオスプレイ戦はまだ新日が温存している好カードの一つであり、ドームから逆算して考えるなら内藤優勝も十分視野に入ると思います。今の立ち位置は非常に動きやすく、また現状のIWGP世界ヘビーに「圧」をかけられるのも内藤ぐらいなんですよね。彼が語った「ジンクス」は彼のこだわりの裏返しでありつつ、統一騒動を止められなかった内藤がどうIWGP世界ヘビーと向かい合うのかも興味がありますね。決勝戦はオカダを除けばタイチでもいいのではないでしょうか。因縁もありつつ、タイチ決勝進出という意外性も強いですし、タイチのセコンドにつくザックを見ただけで涙腺が決壊しそうですね。内藤優勝なら、オカダ以外だとタイチを強く推したいです。





こんな感じになりました。あまり面白みのない予想ではあるのですが、ギリギリ滑り込むことができてホッとしてます。本当は注目カードとかも書きたかったのですが、残念ながら時間が取れず申し訳ないです。明日の開幕戦も頑張って更新しなきゃですし、また忙しく熱い日々が続きそうですね。ではでは、今日はここまで。