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#ときのそらMW ときのそら 5th Anniversary Live 宇宙と時空のミルキーウェイにありがとう 前編

『ときのそら 5th Anniversary Live 宇宙と時空のミルキーウェイ』昼夜二公演どちらも現地で楽しみ感動し、こうして感想を残しておこうと思ったので書き記しておく。

いわゆるライブレポートというものだが、あまり肩肘張って書くのはやめにする。「ときのそらは~」などと書いた方が読みやすいのだろうがそういうのはプロにお任せしたい。そらちゃんはそらちゃんなので。
また自分のライブ体験の記録でもあるので思いついたことを忘れる前にに書きまくり、さらに変な自分語りがだらけでますます読みにくいと思う。久しぶりのリアルライブ参戦を果たした後の熱量そのままと思ってご容赦願いたい。

えらい長くなってしまったので、説明ばかりで読み飛ばしても前後がつながりそうな部分はこのように引用の形で示す。

配信サイト(SPWN)はこちら

このライブのブルーレイが特典のEPの予約はこちら
アーカイブ期間終了後もこの伝説的ライブを楽しめるぞ!

後編はこちら

今度こそ

自分のリアルライブ現地会場参戦は昨年末のフェス、ブイアワ2021以来となる。フェス形式以外でとなるとなんと2020年2月の名古屋アニゲーフェス、そらちゃんのワンマンライブでは2019年10月のときのそら1stワンマン『Dream!』以来。それもライブビューイングだった。
2022年3月開催の3rdワンマン『Role:Play』は急速な感染者数の増加を鑑み断念した。直前まで現地へ行く準備をしていたし、それを見越しての換気の行き届いた映画館での開催だったはずだ。断腸の思いだった。「次は必ず行く」と誓い本当に泣いた。
そらちゃんが常々言っている「オンラインも大事な現地会場」という言葉、そして「こういうご時世だからみんなの応援しやすい場所から応援してほしい」という旨の言葉に救われた。

だが2022年11月は状況が違う。予想通り夏からの波がピークアウトしていた(実際には緩やかな再拡大が始まっていたが)。相変わらず後遺症はかなり怖いし絶対にかかりたくないが、この感染症は既に死亡率の高い病気ではなくなり、さらに新しい二価ワクチンも接種できた。Role:Playで使うはずだった医療用マスクを取り出し、常に持ち歩いている指定医薬部外品扱いの消毒液と消毒シートを買い替え、準備は万端。これで何かあればもう運の問題だというレベルで対策をして現地へ赴いた。

現地

ホロリーを使って撮った現地の外観。そらちゃんもウキウキ

会場のかつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホールには既に多くのそらともらしき人が集まっていた。人のこと言えないけど、オタク君たちみんな黒いな!今通っていった消防車に乗ってた消防士さんが身を乗り出す勢いで二度見してたぞ!
建物の中では開演1時間以上前から当日販売のグッズを求めて長蛇の列ができていた。その列がその後入場待機列を兼ねるようになり、さらに伸びていった。

久しぶり過ぎて人に話しかける方法を忘れてしまっていたのでツイッターを見ながらぶらぶらする。
デジタルチケットで席は指定されているので早い者勝ちじゃないはずだと思い並ばず待つ。ロビーで話しかけてくれたり、ツイッターで居場所を探してくれたそらともさん達としばし会話。彼らがいなければ僕はボッチのままだった可能性が高い。声をかけていただけたことに感謝…!みんなこれからのライブが楽しみでならない様子だった。海外からのそらとももおり行動力に感服。遠くに英語圏だろうという方も見えたが、話しかけることができなかった。英会話をもっとまじめにやっていればと最近思うことが多い…

自分は前から2列目というすごい位置の席だった。「今回はホールなので、ライブが始まったら前の方は積極的に立ってくださいね」と、あるそらともさんに言われた。全くその通りであり、以前のイベントでは起立OKなのに歌が始まっても誰も立たずなんか変な雰囲気でみんな座ったままだった…なんてことも実際にあった。気負いは全くないが前の方の人たちが積極的に応援するとライブ全体の盛り上がりが俄然変わるので頑張ろうと思った。
列に並び、進み、デジタルチケットでチェックイン。このSPWNのシステムも懐かしかった。


フラワースタンド

ホール前ロビーの入場列の横では巨大なフラワースタンドにそらともからの横断幕や寄せ書き、ファンアートの立体物が展示されていた。フラスタは「エルタマ」のお弁当&フラスタをファンのみんなでカンパして当日届けてくれるというサービスのもの。後日分かったが今回は過去最大のフラスタとなり、ゲネプロでそらちゃんがおいしいお弁当をたくさん食べていたとのことだった。気軽にライブを良くできるいいサービスだと思う。

横断幕の作成は1stワンマンからの伝統で、当時はサプライズで会場内に掲示していただいた。その後オンライン開催が続いたが旗自体は制作され、今回は正式に物理ファンアート展示の募集があり掲示が実現した。運営チームの方々に本当に感謝…!
こうした自発的な応援が活発なのもそらともやVTuberファンコミュニティの強みだと思う。

さらにアフタートーク付きチケット限定グッズの受け取り列に並ぶ。これがまた長い。終演後に受け取れるとのことだったので一緒にいたそらともさん達と共に列を離れ、各々席に急いだ。開演5分前だった。

前から2列目はなかなかの迫力だ。場所はカミテ側(ステージ向かって右)、巨大なスピーカーのすぐ近く。ステージ上にはバンドの楽器と透過スクリーン。ここが今回のライブ会場。
本来はクラシックコンサート用で、ライブハウスや大型展示会場に仮設されるステージとは大きく趣が異なっていた。当然、バーチャルアイドルのライブなんて想定されてはいないだろう。とても贅沢だ。
その上には左右に大きなスクリーンが設置され、SPWNのライブでは定番のデジタルフラワースタンドが表示されていた。自分がイラストを描いて贈ったものも掲示されていた。実際の花を贈るとなるとなかなか大変だし運営側への負担も増える。イベント配信プラットフォームならではのシステムで気に入っている。
ペンライトが光ることを確認して一息ついたところで、暗転と拍手とともにライブが始まった。

プロローグ

オープニングは絵本をモチーフとした映像。
かわいい雰囲気でエモーショナルな語り。ミルキーウェイ、宇宙がモチーフとあってちょっぴりSFの香りもいい。
この間に生バンドのメンバーが席に着くのが見えた。本当に生バンドなんだと思うと武者震いのようなものを感じた。
こうした物語調のオープニングは生では初めてだったので期待が高まる。絵本の名は「宇宙と時空のミルキーウェイ」。ライブタイトルの表示と共に拍手が巻き起こった。

暗転したままそらちゃんがステージ上に現れ、数歩進んで位置につく。
これ!これなんですよ!バーチャルの存在が目の前にいる感覚!
少なくともそらちゃんのライブでは暗転は「バーチャルの電源オフ」ではない。幕間の区切りではける場合などを除いて「照明が当たっていない」状態だ。当然ステージに立っている。
そらちゃんがそこにいる。暗いがはっきりと見える。衣装はライブの時だけの通称「Dream!衣装」。それを見てそらともは両手のペンライトを点灯し一斉に立ち上がる!
ほんの数秒だが、何倍にも引き延ばされて感じた。一曲目は何だろう?何が来る?

ぐるぐる・ラブストーリー

耳をつんざく爆音!体が震え、脳が認識する前にぐるぐる・ラブストーリーのイントロを感じた。
一気に照明がつき、ライトの演出が動き出し、そらちゃんが踊りだす。久しぶりの「いつものライブの」そらちゃんだ!そらとももそれに応えペンライトを振り始める!そこに気持ちのいい高音の歌声が加わる!一撃目からのこの一体感、これが、これがライブですよ!
しばらく体験していなかった「音を浴びる」ということ。全身の神経が活性化していくのを感じ、嬉しさがこみあげてきた。

「みんな、お待たせー!ときのそらです!盛り上がっていくよー!」
この言葉で涙腺が緩んでしまった。そらちゃんは曲の合間に必ずアドリブで煽りや語りを入れる。
そらちゃんがそこで踊っている。自分がペンライトを持っている。このことに感動してしまい思わず涙がこぼれ、ペンライトの振り方を忘れて固まってしまった。
いや、ライブのたびに心動かされて(動揺して)ペンライトの振り方を忘れてしまうのだが…あとリズム感もないので一度止まると復帰が難しい。
周りがノリノリな中ひとり止まっているのは僕としても本意ではないのでどうにか腕を振ってついていく。
1列目にペンライトを持たずに腕を前に大きく振ってノっている人がいた。前の方にライブ慣れしている人がいると盛り上がりやすくて良い。この方はジャンプしたり左右に揺れたりといった不必要に大きな動きなどもなくマナーがよかったように思う。感謝である。

ここで透過スクリーン、いいよね…という話をしたい。
いや、そらちゃんはバーチャルであってバーチャルではなく、現実にそこにいるんだけど…というのは暗黙の了解でもはや誰もそれを説明などしないし、そらちゃんも決して話題に出さないというのもあって、あまり世界観から外れるメタな話は僕自身も避けたいのだが、技術的な話をここでだけ許してほしい。
ステージ上に設置された巨大な透過スクリーンは後ろから投影されたそらちゃんの姿の像をそこで結び、あたかもそこに立っているかのように見せる。今回のライブが「ARライブ」と称されていたのはこの技法を指している。(所謂XR技術のほうのARとはちょっと意味が違うのだが、こういう言い方をすることがある)
初音ミクなどのバーチャルキャラクターのライブで使われる技法だ。近年増えたLEDパネルより光量が低く少し透けて発色が悪いというデメリットはあるが、「映像」を見ている感じが強く素の状態が真っ黒なLEDパネルと違って、透過スクリーンは像が周囲に溶け込むうえ素材も一応透明なので「そこにいる感じ」は抜群だと思う。不思議な魅力のある技術だ。
配信にもバッチリ映っているが、この透過スクリーンに客席のペンライトがめちゃめちゃ反射する。「そこにいる感じ」を削ぐのでこれは本来であれば改善すべきことなのだが、そらともが周りを取り囲んでいるように見え、「青いペンライトの海の中にいるそらちゃん」を演出しているようで案外気に入ってしまっている。過去にはDream!でもこんな見え方をしていて、以前はどうにか改善できないのかと思っていたこともあったが、今は分厚い分厚いリアルとバーチャルの壁をほんのりぼかしているような、そんな一体感に寄与しているように感じる。透過スクリーン、いいよね…
技術が発展して透過スクリーンからそらちゃんまでの数々の壁が取り払われていくのを切に願う。何ならこちらからバーチャルへ行くのが一番手っ取り早いんだろうと思うんですけどね!観客みんなでHMDかぶってモーキャプスタジオでライブとかどうですか!カバーさんビクターさんバルスさん…!

ステージの使える範囲を全部使って左右に動くのがときのそら流のライブパフォーマンス。今回もいつも通り左右に歩き回り、歌いながら観客に手を振る。もちろん、目の前だけではなく遠くの二階席にも。それがはっきり見て取れるのがそらちゃんらしい愛にあふれたライブを形作っている。

目の前のライブという現象に圧倒されていたがサビの部分でアレンジにようやく気づいた、というか思い出した。
ぐるぐる・ラブストーリーはアルバム『ON STAGE!』収録の、今やそらちゃんを代表する定番曲。速くて高くてそらちゃん以外には歌えない曲とまで言われ、振り付けがないと本人でさえリズムを間違えるほどの難易度を情熱たっぷりに届けてくれる。
それも、ライブ用、しかも生バンドの今日だけのアレンジで!すごいのは音圧だけではない。歌も音楽も今までに聞いたことのないぐるぐる・ラブストーリーだ。

一曲目から圧倒されっぱなしだった。
曲が終わり暗転して軽い放心状態だった。目頭に涙が溜まっているのを感じた。照明が落ちてもそらちゃんは肩で息をしながら手を振り続けていた。

ロゴバッジ

正直ぐるラブにやられて放心状態のまま二曲目。最新アルバム『Sign』から『ロゴバッジ』。
放心していたとはいえ当然盛り上がるに決まっている。またペンライトの振り方を忘れていたが周りに合わせて懸命に振る。この曲はライブ映えするノリやすい曲だ。
それにそらちゃんも手の振り方やクラップを都度煽ってくれる。
先ほど左右にたくさん動くのがそらちゃんのステージと書いたが、今回は常に動き回って踊るのではなく、観客の盛り上がりを誘導し煽っていくような雰囲気だ。
実際これは意識していたようで、のちのアフタートークなどで語られた。
「一階席ー!二階席ー!コメントー!」と煽る煽る!発生禁止の会場は拍手で応えるしかないのがもどかしい。それに両手にペンライトを持っていたので単純に難易度が高かったが、なんとか音の鳴る持ち方をして手を叩いた。

MC1

「目をパッと開いて楽しんで!」と言われても僕はもう泣いたのでだいぶダメです。Dream!の時はオープニングから2時間泣きっぱなしだったことを思うとまだ涙ぐむだけで済んだので成長?したかもしれない。
バンドメンバーに「よろしくお願いします!」とお辞儀をするのは実にそらちゃんらしかった。今回はバンドもステージ上で照明が当たっている。彼らも同様にパフォーマーなのだ。
配信だと暗くて見づらいが、バンドメンバーは楽しそうに手を振っていた。
この後もギターの音での合いの手が入るなどの時にそらちゃんは毎回バンドにお辞儀をしてありがとうございますと言い続けていた。後から聞くと毎回言わなくていいと言われてしまったそうだ。そらちゃんらしい。

MCではそらちゃんは必ず観客に話しかける。Tシャツやぬいぐるみ、もちろん二階席も見えてるよ!と。
バーチャルだからリアルのこちらが見えないと思ったら大間違いだ。当然コメントも見えているし、むしろ発生禁止なので言葉を伝えられるオンライン会場でのコメントはより重要度が高まっている。みんながいないと、そらちゃんのライブは完成しない。そらちゃんが常々言っているように「ライブはみんなで作るもの」だから。

そして初のゲストの広瀬香美さんの紹介!「せーの!」で「広瀬香美さん!」と名前を叫びたかったが我慢。ここは先述の通りコメントに任せた。

ここで「YouTubeでの無料配信はここまで」、というアナウンスを忘れて次の曲「空の空」を始めようとしてしまったそらちゃん。久しぶりのライブで緊張しているのが見て取れる。意外と緊張しいで恥ずかしがり屋なそらちゃんのボルテージがだんだん限界以上に上がっていくのも、ライブの醍醐味だ。

空の空

さっきは緊張で噛んでしまったが曲が始まるとキリッと!
バンドのアレンジはベースとギターがとにかくかっこいい!間奏がヤバすぎる。
クールで美しい高音、でも屈指の激しい曲。
そらちゃんのオリ曲としては珍しく歌詞がネガティブなイメージを思わせる曲だ。
VTuber、アイドル、アーティストという業界の難しさ。当初は今とは全く違う役割の存在として、VTuberという言葉が生まれる前に活動を開始したときのそら。「歌を歌いたい」「ライブをしてみたい」と語っていたが先行きの見えなさは正直誰の目にも明らかだったと思う。そういう色々な事情を想像してしまう。
5年でこういう曲・歌詞を歌っても説得力が出るようになった。バーチャルアイドルの苦しさも楽しさも多くのことを経験してきた足跡が歌に力を持たせている。
だがそれ以上にこの曲とこの日のパフォーマンスは高くて速くて激しくて爽快だった。

メアリースイート

ペンライトが真っ赤に!ダークでかっこいい曲が続く!
一音目からアルバムと全く違うのがわかる。生演奏の迫力、アレンジ、何より重低音がヤバい!
そらちゃんの曲は比較的高音に寄っていることもあり、このホールの重低音はとてつもない体験となった。
この曲はSignの12曲で最も苦戦した曲だったという。生で歌えるか心配と語っていたが、ライブ前の放送では自宅環境で本気の歌唱ではないとはいえとても仕上がっているようだった。
そらちゃんは「ホーホーホー」の歌詞の部分で手をこちらに向ける仕草を繰り返す。本来であればここでコールだが、心のなかで叫んで、始まって間もなくまだ縮こまっている腕をどうにか伸ばしてペンライトを振った。
現地で聴いたメアリースイートはアルバムに収録されたものより遥かにクールでダークでパワフルだった。多くの曲がそうであるように今後ライブで歌われるたびに育っていくこの曲が楽しみだ。

エゴナデ・ラビリンス

ペンライトがピンクに!ダークでかっこいい曲が続きますね!
そして明確に歌い方をアルバムから変えている!配信でちょっとだけ可愛い雰囲気で歌っていたが、これはライブへ向けてブラッシュアップしたというレベルではない。曲のイメージに合わせて、どろどろに甘いかわいさとキリリとしたクールさを反復横とびするように演じている。3rdワンマン『Role:Play』で見せた七変化する声と仕草が一曲の中で目まぐるしく変わっていく!
左右に大きく動き回りながらのかわいい動きと激しい煽り!「あは!」の笑い声と「もっとちょうだい」の無茶苦茶なぶりっ子感がかわいすぎる!なかなかこういうのは聞けないので貴重だ。

MC2

観客が見えること、一緒の時間を共有できることに再度、そらちゃんからのありがとうと感謝の言葉。こちらこそありがとう…

「どんな環境でもわたしにとっては、どこでも現地だから。コメント会場の皆さんと、葛飾の会場の皆さんですよ!全員で素敵なステージを作っていきましょう!よろしくお願いします」

拍手が巻き起こる。VTuberのライブというものは当初からどういう方式が良いのか様々な試行錯誤が行われ、その中でリアル会場と配信のノウハウが蓄積されていった。自分はライブを見るようになったのはだいぶ経ってからなのであまり偉そうなことは言えないのだが…
ともかく、バーチャルのライブはする側にとっては実質の無観客だったり、観客側も声援が十分に届けられなかったり、普通のアーティストより相当きつい環境が多かっただろう。後述するが、これらに加えて機材トラブルもつきものだった。これは相当心理的に負担になっただろう。
それゆえそらちゃんもそらともも随分と鍛えられたと思う。こうして客席を煽りコメントを読むそらちゃん、できる限りの熱狂とペンライトの一体感を届ける観客、言葉と絵文字で世界中どこからでも声援を届けるコメントが、できる限りの力を出し合いライブを作り上げるスタイルが今は確立している。
これがそらちゃんの言う「ライブはみんなで作るもの」だ。

以前Vではないリアルのアーティストたちと併催となった配信のみのフェスでは我々のコメントの熱気に主催側が驚くという一幕もあった(というか、他が1公演につき十数個しかコメントされなかったというのは文化が違うというレベルではない…ファンは何をやっていたんだ?)。そらともとして、バーチャルアイドル・Vsingerのファンとしてライブの一部を形作れることを誇りに思う。

ここで一瞬お水タイム。Vのライブでは給水は一大コンテンツだ。「お水助かる!」が本来なら巻き起こるが今回は例によって拍手で。以降ずっとMCでの給水のたびにお水助かってしまっているので、毎回書きたいが省略することにする。
なぜ我々はお水で助かるのか、なぜ我々にお水は見えないのか、5年経っても謎である…

デジタリックリリック

MC明けの1音目からこの高さ!このタイプの曲を「高くて速くてすごーい」とそらちゃんは表現する事があるが、まさにそれ。超高音の歌声に脳を貫かれる感じ、いいよね…
黄色のペンライトをぶんぶん振って乗るのが楽しい!ギターもかっこいい!「1010…」ではコールできない代わりにそらちゃんがどうにか腕で0と1を表現しようとしていた。かわいい。
Sign収録曲として『そらのとき』や『ピッとして!マーマレード』が公開されたときもまた高い曲を歌ってる!と話題になったが、まさかそれより遥かに高い曲がゴロゴロしてるとは思わないでしょう普通。
「(ウチのときのそらの歌声が)高くないと悔しいじゃないですか」とビクターのスタッフに言われたことがあるそうだが、これにはビクターさんもニッコリご満悦だろう。Signの最高は人類最高と言われるhihiAを超える音域だそう。これをライブで歌う前提で制作するのも実際に歌うのも双方ヤバい。
金切り声ではなくちゃんと生で歌声になっているのだからこれがまた気持ちがいい。これがときのそらなんだよねぇ。
「第二形態になっちゃって」でさらにまたガツンと高くなる!ホロスターズ・UPROAR!の水無世燐央くんが昼公演の同時視聴配信をしておりアーカイブで見たが、「ここから上がるのか!」ともはや笑ってしまっていたのが印象深い。この同時視聴は後輩で同業者ではなくただのファン目線での感想を沢山聴けるのでおすすめです。

ところで、僕は「ライブは暑い」というあまりにも初歩的な事を忘れていた。これがブランク…!すべての準備をしたはずだったのに現地での行動まで思い出せていない…!
厚手の長袖ワイシャツをTシャツの上に着たままで汗がすごいことになっていた。歌の最中はもちろん歌と歌の間はほんの数秒しかないので脱ぐのは無理だ。曲終わりに素早く足元のショルダーバッグに入れたももはす(桃味のいろはす、そらともにはお馴染み)を口に含んで水分を失いつつある喉を湿らせつつ、次のMCでどうにかせねば…と若干焦る。

そらを超えて

まさかの選曲!Sign以外からの曲も多数歌われると予告されていはいたし今年リリースなので比較的新しい曲だが、セットリストが読めなくなってきた。
この曲もめちゃくちゃに高い曲!これを普通に生でやっちゃうんだからやはりすごい。
高さはもちろん歌詞もまさに「ときのそら専用」といった感じの曲。こういうテイスト、過去・現在・未来が交錯し、時間と空間を超越した在りし日の夢、約束、希望を歌う、ときのそらという存在そのものを描いた曲を「そら時空」の曲と勝手に一人で呼んでいるのだが…それについてはまた今度書こうと思う。

こういった曲はそらちゃんも煽りやすいのだろう。こちらに向く腕の動きと客席のペンライトの動きが自然と一体になる!
曲の終わりで光に包まれて消えるそらちゃん。コールありなら「いかないで」と声が出ていたことだろう。

幕間

ここで絵本に戻る。映像を見つつ服を脱ぎ、背後の椅子の上に。だいぶ涼しくなった。
星を通して見える世界の一つに恐竜が!最近新しく登場したマスコット(?)そらザウルスを嫌が応にも連想してしまう…!

コトバカゼ

再び光と共に現れたそらちゃんはドレス姿!今年の5月の誕生日でお披露目となった白と紺のゴージャスな姿だ。
同時に聞こえるイントロはアレンジが効いていて、確実に聴いたことがある曲なのに脳がうまく処理できなかった。ゆったりと優しく愛おしい感覚…すぐにコトバカゼだと気付いたが、この曲は最初のアルバム『Dreaming!』の収録曲。ほぼ毎回ライブで歌われ、アコースティックバージョンなどもリリースされた名曲だが、新しめで激しめの曲が多かったこれまでを思うと異色だ。いよいよセットリストの予想が全くできない。
ピアノとストリングスの音色が響き、どんどん音が増えていく。
コトバカゼはDreaming!でもプッシュされていた曲であり、過去にはライブ以外でもいろいろな場所で聴くことができたし、何度かアレンジバージョンが公開された。しかし、生の楽器の音、今日だけのアレンジ、それを響かせるホール、ゆったりと揺れるそらちゃんの声、合わせて揺れるペンライト。これは今までで一番美しいコトバカゼだった。

ちなみにコトバカゼはペンライトカラーを緑にする説が存在しており過去にはその色を使った人たちもいたようなのだが、今回はほとんどの人が青のままだった。諸説あり。要出展。実際今までのライブやフェスでも青だったはずなので緑にする人は少数派ではないかとは思う。

Wonderland

ミニアルバム「My Loving」より、かわいくて元気の出る一曲。
これはそらちゃんとそらともの思い出の曲。いや、断言するには若干主観的な印象に近いのだが…

Wonderlandはこのコロナ禍前最後となったライブイベント、名古屋アニゲーフェス2020でフルバージョンが初披露された曲だ。同じくその日お披露目となった『刹那ティックコード』を共に歌ったAZKiと二人(ユニット「SorAZ」)でのステージだった。
数曲披露したところで機材トラブルが起き、映像が出ない、つまり声と音のみとなる事態に。

それでもそらちゃんは声を震わせながら「好き、泣いちゃいそうだ」を最後まで歌いきった。
完全アウェーの会場。それでも、いや、だからこそ、そらともと開拓者(AZKiのファンネーム)は一層声を張り上げ応援した。復旧まで何分かかるか、そもそも復旧可能かすらわからない。しかし無音の中で自然と「ぬんぬんコール」が巻き起こっていた。
今でこそVTuberのライブは方法が確立し、関連技術の需要の高まりとともに成熟してきたが、当時はまだトラブルが起きるのは当たり前だった。2020年1月の『hololive 1st Fes ノンストップストーリー』でもMC中に機材トラブルが発生し、復旧を待つ間「YAGOOコール」が自然発生していた(後にリリースされ現在も流通しているブルーレイでは違和感なくカットされている…)。
ファンに何ができるかといえば、熱狂し続けることだ。ステージを温め続け、必ず帰ってくるそらちゃんが全力を出せるようにすることだ。バックステージに、観客は待っていると伝え続けることだ。「だからVは」などという声を跳ね除け、居場所を守ることだ。
その日初めてVTuberを見たという観客も多かったようだが、彼らも全員巻き込んでのコール。時間は押しに押し会場自体の閉会が迫っていた。ステージブースの中でも明らかに周囲の催しが終了していくのがわかり、だんだん喧噪が減っていく中で、叫びペンライトを振り続けた。

この致命的な状況を乗り切れたのは間違いなく、そらちゃんが戻ってくれることを信じる観客の応援の力だった。
何もないステージに向けた大コール。自惚れかもしれないが、当日の全プログラムで一番の熱気だっただろう。
その後復旧を果たし初披露されたのがこのWonderlandだった。颯爽とステージに姿を現したそらちゃんはトラブルを思わせない歌唱とパフォーマンスを披露した。
客席からもステージからも感謝と愛が飛び交っていた。先述した「ライブはみんなで作るもの」をまさに体現したライブだった。

そういう体験をしてしまったのが、3年半前。
魂を当時の名古屋に置いてきたまま、僕の時間は止まっていたような感覚だった。

「さあここで素敵な、『愉快なそらバンドたち』を紹介するよ!」

ここでバンドメンバーの紹介!
曲中での思いがけない演出だった。バンドメンバーはすばらしい演奏はもちろん、配信では暗くて見えづらいが、服や譜面台に星の飾りをつけ、自分のパートがない時でさえずっと笑顔で体を動かしたりペンライトを振ったりして常にライブを盛り上げ続けてくれていた。そしてとても楽しそうだった。彼らもステージの上でパフォーマンスするまさに出演者だった。
涙でまつげが濡れてステージはキラキラと輝いて見えた。ペンライトの振り方をまた忘れていたが、ありったけの感謝を伝えたくて全力で拍手を贈った。ステージから少しでも見えるようにペンライト両手持ちで激しい拍手した。これは結構難しく明らかにプラスチックで指を叩いていた感覚があったが、この感情を伝えるにはこれしかなかったし、そうしたいと心から思った。

そしてそらちゃんは会場にいる多くのスタッフ(僕のすぐ近くにも撮影スタッフがいた)、そしてコメントと会場のそらともにも感謝を述べた。
「みんなのこと、大好きだよー!」
腕がちぎれんばかりの拍手をしながら、また涙があふれてしまった。「今ファンタスティック 奇跡ロマンティック」、この歌詞を噛みしめながらクラップする。今ここでこの全員が揃って一つのライブを作れることが心の底から嬉しかった。1000人超えのホール、そらとも、バンド、多くのスタッフ、そして5周年を迎え笑いながら煽るそらちゃん。

あの名古屋の仮設会場から、何もかもが大きくなっていた。時間が動き始めた。

MC3

お水助かるの拍手の後、もう後半とのアナウンス…もう後半!?

書きながらでさえ感動して先ほど書き忘れたけれど、Wonderlandの「ジャーンプ!」で実際にジャンプすることがいまだ果たせていない。ジャンプ可の会場で、ぜひジャンプしたい…

羽を手にして

ペンライトは白。羽のイメージと白いドレスがよく似合う!
そしてリズミカルなストリングスがいい!
かわいくて明るい曲で、こういう優しくあたたかくほっと息をつける曲が時々あるのがそらちゃんらしい。「高くて速くてすごーい」だけではない、まったりとした癒しの面。
今回のアルバムSignはこの点が1stアルバムのDreaming!とよく似ている。曲調もテーマも色々で、例えるなら料理のバイキング。そらちゃんの歌声と粒揃いのバリエーション豊かな楽曲がいろいろな世界観を形作る。もちろん今回は信じられないほどにパワーアップしているのは言うまでもない。
そらちゃんの振る手に合わせて会場のペンライトも左右に揺れる。とても心地よい空間を堪能した。

ロマンスの神様

聞き覚えのあるイントロ!カバーアルバム『Re:Play』に収録されていたあの曲!「来た!」と思った…!

「みんな!お待たせしました!本日のスペシャルゲスト!広瀬香美さんです!」

ゲストの広瀬香美さんが颯爽と登場!ステージに見えた瞬間からオーラが違う。ホール全体の空気が変わるのを感じた。明らかにまとっているエネルギー量が桁違いだ。言葉で形容しがたいが…これが「冬の女王」か…!
そもそも第一に声量がすごい。高い歌声のためにはもっと体を鍛えないと、というようなことを配信で仰っていた。まさにエネルギッシュでアグレッシブ!初っ端からゲレンデ溶けそう!

広瀬さんが持っていたペンライトが緑だったのでみんな両手に持っているペンライトの片方を緑に変えていた。ただ途中でボタンに指が触れたのか別の色に変わっていたので、曲やご自身のペンライトカラーだというわけでもなかったようだ。多分。

間奏でそらちゃんと広瀬さんが話す。そらちゃんはバーチャル側に居るのに対面するとちゃんと目が合うことで有名だ。アルバム発売時のショップでのリリースイベントでも、リアル世界の次元にいるこちらにちゃんと体の角度を合わせ、目を合わせて話をしてくれると多くのそらともが言う。実際自分も体験した。バーチャルだけどその場にいるはず…というようなことを考える必要はなかった。実際にそこにいる。デビュー当初からの全身を使った生放送の経験の長さが生きている。
配信では客席前方のカメラからの角度の問題で二人はすれ違って見えてしまっているが、ほとんどの客席からは二人が向き合って手を振りあい会話していたのが見えていたはずだ。

ふと気づく。
こんなすごい人がそらちゃんと歌っている…? 夢か…???
座席2列目、ほんの5メートル先に広瀬香美…? 夢か…??????

そらちゃんの高音と広瀬さんのエネルギーがぶつかる!艶やかで伸びやかな歌声がホールを包み、客席もそれに応え爆発的な熱気となっている!溶けたゲレンデがエメラルドグリーンの海になっている!!
そこに投げ入れられたサインボール!うーん、うらやましい!キャッチできた方おめでとうございます!
そして大サビ、広瀬さんがジャンプし始める!これ以上盛り上がってしまうのか!?というか跳びながらその声量で歌えるの…!?30周年を迎えた今むしろ最高に元気な広瀬香美さんのパフォーマンスをしかと目に焼き付けた。すごい、すごすぎる。発声禁止なのにわけのわからない程の熱狂ぶり!クラップと拍手と笑顔のあふれるステージとなった。

MC4

「お忙しい中ご出演くださりありがとうございます」に「そこそこ忙しい!そこそこ忙しい冬の女王様でございます!」と返すなどMCでも広瀬さんはキレッキレだった。アニバーサリーのお祝いメッセージで「季節労働者」なんてワードも出ていたので、これからの季節は特に忙しいのだろう。多分。
冗談めかして提案された早朝・午前・午後・5時・9時の一日5公演、全然行くのでご出演お待ちしております…!ビクターエンタテイメントさん、企画実現どうかお願いいたします…!(夜公演の話になりますが、コラボ新曲もどうかよろしくお願いします…!)

広瀬香美さんはツイッターでバズりティックトックでバズりVRCでバズり、ファンクラブはラインと正直僕よりITに詳しいのではないかと思えるレベルでネット活用に積極的だ。そして所属レーベル・ビクターエンタテイメントのご縁でそらちゃんとのコラボ動画、楽曲提供、そしてライブ出演が実現した。
今思えばRe:Playでのロマンスの神様のカバーは伏線だったのかもしれない。
広瀬さんご自身もVRCでアバターを持ち「VTuber化」に積極的で目が離せない。笑い話かのように交わされたが、今後も接点があるととても嬉しい。

去り際も飛び跳ねながら颯爽と。なんてカッコいい人なんだ…本当に光栄なコラボステージだった。
本人(たち)がどう思っているかは知らないが、高音を得意とし全身を使ったパフォーマンスのエネルギッシュさは、そらちゃんのスタイルのライブの名実ともに大先輩にあたるのだろう。いずれそらちゃんもこんな風に誰もの想像をはるかに超えるライブをする日が来るかもしれない。5周年ライブのはずが、30周年のライブを想像せずにいられない。このご縁に、広瀬香美さんとビクターさんに感謝。

ユメゾラ☆ファンファーレ

そらちゃん一番のお気に入りの曲、本人も一番歌いやすいとのこと。
そしてまさにこれも「そら時空」の曲。夢、過去と今と未来、ときのそら、そらとも、奇跡、約束…空へ向かって羽ばたいていくようなザ・ときのそらと言える一曲。
まさにそらちゃんのこれまでとこれからを描く歌詞にまた涙があふれ、視界に映るステージとそらちゃんは照明でキラキラと輝いている。背景には星空のような光が現れていた。

MC5

5年後、10年後が視野に入っている、その気持ちを込めて次の曲を歌う、と語ったそらちゃん。先のユメゾラ☆ファンファーレもだが、何年かかっても夢を叶え、長く長く活動を続けてくれるだろうという希望が明確に確信になっていくのをこのライブで感じた。

ピッとして!マーマレード

ペンライトはマーマレードの黄色!
高くて元気な、そらちゃんらしい曲。アルバム1曲目を最後に持ってくるのがまだまだこれからという感じがして、最後なのにまだまだこのライブが続いていくような感覚があった。いや、アンコールも夜公演もあるのを忘れてたわけではないけれど。
この曲ではバンドの中でもホーンの元気な音が印象的だった。

「みんなー!ありがとー!大好きー!」でまた涙が…
アルバムで何度も聴いた歌詞の「一緒に一緒に」の景色が、今まさに見えている
「ほんとありがとう」

最後の語りのパートもアドリブで。そらちゃんはいつもライブで歌う時に間奏や曲の終わりに客席へ向けたメッセージがある。事前に考えてはいるそうだが、基本的にアドリブでその時に言いたくなったことを言っているそうだ。(盛り上がりすぎて何を言おうかわからなくなっちゃったこともあった。かわいい。)
ピッとして!マーマレードではアルバムの時点でとても心に来る語りが入っていた。泣いちゃう。
そして生での感動は当然、その比ではなかった。

「みんなとここで出会えて、ほんとによかった!」

アンコール

感動しきっていたが、当然、ライブはここで終わりではない!
拍手が手拍子になり、さらに加速していく!そらともはアンコールが本当に下手!!なんで!?
1stワンマンの時からあっという間に加速したり「いっかないで!」「ぬんぬん!」とコールが混在したり…今回は若干ましだったが例にもれず遅めの拍手くらいの速度まで加速していた。
舞台袖にはけていたバンドが戻ってくる。アンコールは成功か!?そう思っていると、ストリングスとホーンの8人が虹色のペンライトを振り始め、なんと音頭を取ってくれている!(角度的に見えなかったがマニュピレーターさんも振っていたのかもしれないと今になって思う)
これで加速しきった拍手がちゃんと一定のリズムの手拍子に戻った。虹色に光るペンライトもアンコールの特別な期待感を増す!本当にバンドの方々には頭が上がらない。彼らがいなければ豪雨みたいな拍手でアンコールを迎えていたはずだ。本当にありがとうございます!!

ケ・セラ・ソラ

虹色のペンライトが客席の半分ほどにまで増え、アンコールが続き…
馴染みがないが聞き覚えのあるイントロと共に光に包まれてそらちゃんが登場!

「せーの!ケ・セラ・ソラ!」
ケ・セラ・ソラだ!ショートバージョンが以前お誕生日ライブで歌われた新曲!
まさかのフルバージョンお披露目にテンションも上がる!

この曲はそらともから募集した曲が実際にビクターからオリジナル曲としてリリースされる「soraSongグランプリ」の優勝作品

そらちゃんの活動初期、当時は歌を今ほど自由に歌うことができなかった。そのためクラシック曲を数曲とか、自分でピアノを弾いて弾き語りの形式にするとか、特技を生かして解決を図っていた。同時に音楽分野への強さや憧れとその歌声のアピールにはつながっていたように思うが、満足のいく配信とはいかなかったはずだ。soraSongとはそういう状況の中で提供された「そらとも制作のオリジナル曲」たち。その内の何曲かは実際にそらちゃんによって歌われたりMVが制作されたりした。
今となっては当たり前だが、歌を歌うVTuberはまだ少なく比較的新しい試みだった時代。Vの「歌ってみた」が人気になり始めていた時代。それすらも手探りで、スタジオを借りて使うのも初めてだったという時代…
初の「ときのそらオリジナル曲」であり、僕が知る限りで最初の「VTuberオリジナル曲」である『木の芽時の空』、『夢色アスタリスク』の二曲もsoraSongだった(あくまで僕が知る限りでは。MVと共に発表され後にアルバムに収録されたものともなると確実に初だろう。調査求む)。
そんなsoraSongが今回オフィシャルに、しかもビクターエンタテイメント主催のコンペとして募集された。

そらちゃんとそらともが互いに支え合いながら歌を歌いステージを形作る、その原初となる企画がsoraSongといえる。ファンメイドの新曲がこのライブで!なんといってもそらちゃんの魅力を知り尽くしたそらともが作った曲である。こんなに盛り上がることはない!企画してくださったビクターさん、本当にありがとうございます…!
過去リリースされたsoraSongといえば「そら時空」なエモさを重視した曲が多めな印象があるが、ケ・セラ・ソラは完全にそらちゃんの今の活動そのものを切り取ったテンションアゲアゲな曲で、ケ・セラ・セラと今を楽しみ明日からの活力を養う、ライブにはうってつけの曲に感じた。13曲歌った後のアンコールだというのに、いやだからこそそらちゃんもそらともも疲れ知らずに楽しさが広がっていく。

以前のショートバージョンの通り早くてハイテンションで、そらちゃんに関連する要素が所狭しと敷き詰められていて楽しい曲。ツイッターや配信で見たようなそらちゃんの姿がありありと見えてくる歌詞に、そらちゃんの振り付けが見事にリンク!動きまくり煽りまくり、こちらはペンライト振りまくり。
1番ではリリース前の聞きなれない新曲に戸惑いが見えたペンライトも2番に入る前にはもう完璧に統率が取れていた。これがそらともクオリティ。さっきのアンコールは何だった!?

MC6

そらちゃんもこの盛り上がりには驚きを隠せなかった様子。
みんなを見てたら緊張がほぐれて走り回ったとのこと。

「またきっと言われてるんだろうな、目が追い付かないって」「でも私らしいなって思ってます」

そらちゃんがライブで歌うと、配信で残像がついてスクリーンショットがキレイに取れないとか、そもそもカメラマンが追い付かないとか、そういうことがほぼ毎回起こるのが特徴だ。某テレビ局主催のフェスでは熟練のカメラマンが追いきれないという一幕もあったほどだ。
全身を使い動き、ステージの左右も全部使って走り回り、その全力を全ての客席に届けてくれようとするそらちゃんのパフォーマンスはとても好きで、大量の失敗したスクリーンショットを見ては誇りに思う。

ここでケ・セラ・ソラの配信リリースとEPリリースについて正式発表前の告知!
5周年を超えて、さらにその先へ進んでいくのがとても嬉しい。
ちなみに、このライブではケ・セラ・ソラで少し極端な(スピーカーが近かったせいかもしれない)ケロケロエフェクトがかかっていたのだが、実際にリリースされたものはそうでもなかった。ライブ用の演出だったのか、ともかく特別な演出ではあった。

そして、最後の曲。
「まだまだ続く未来への道を、みんなと一緒に歩いていきたいです。これからもよろしくね」

ポラリス・ソラリス

背景に星空、バンドも星のペンライト。
そして美しいアレンジ。アルバムで聴いたのとは全く違う、ぴかぴか、きらきら、まさに光り輝く星を聴いたらこんな音楽だろう。
歌声は美しく、エモーショナル。15曲歌った最後とは思えないほど絶好調だ。心地よく感情を揺さぶる高音が響く。それに合わせ、ペンライトが揺れる。
この曲に、このライブに込めた思いがそらちゃんの動きとなって現われている。歌詞の「ありがとう」で、お辞儀。その後の大サビでの「ありがとう」では客席を右から左に見渡して。

そらちゃんのライブではダンスや振付が決まっていないことが多い。もちろん振付け師さんへ依頼したりダンスレッスンでしっかり練習して踊ることもあり、一部のみ振付けが決まっている場合も多いが、大部分がその場の雰囲気で動きを変える通称「本能ダンス」だ。観客に向けたかわいい動き、きれいな動き、コールの煽りなどが適宜その場の雰囲気で組み合わされる、ステージと客席・そらちゃんとそらともがいて初めて成立するパフォーマンスだ。今回のライブも大部分がそうだったようだ。

今回のポラリス・ソラリスの本能ダンスの動きは特にすごかった。白いドレスで左右に揺れるのは美しく、視線と腕の動きで歌詞を表現し、客席とコミュニケーションする。一見難しい動きではないが、すべてが完璧に、心を打つ動き。正直言語化しづらい。
本能ダンスは元々踊りが苦手という自虐からのネーミングだったが、慣れやトレーニングを経て今やスタイルになっている。僕たちへライブを届けようとしてくれる動き、踊り、振付け。生のライブの中で生まれるそのすべてが愛おしく、そして効果的。

手を上に掲げた時にステージの上の前側にも星の光が瞬いていることに気づいた。背景だけだった星空のような光が増えてステージを包んでいた。点滅などはしていないはずだが、涙でまつげが濡れてまたステージはきらきらと輝いていた。

この曲が、このライブが、そらちゃんから見た、あるいはそらともから見たポラリスとなってずっと心に残りますように。

エンディング

再びバンドメンバーの登場、そして何度目かわからない感謝の言葉。
本当にすごい演奏だった。生バンド、それもストリングスとホーンもある豪華な編成、何という贅沢だっただろう。
再三になるが演奏はもちろん、曲中ずっと動いたりペンライトを振ったり笑顔で楽しそうにライブを盛り上げていた。まさにプロ中のプロ、すごい人たちに恵まれて、その演奏を聴けて嬉しかった。
全員が退場し見えなくなるまで拍手が続く!今の感謝の気持ちをどうにか伝えたいと手が痛いのも構わず、腕を持ち上げて叩いた。
そのあとはスタッフとそらともに、再び深いお辞儀と感謝の言葉。

自分を水に例え無個性に悩んだ日々は有名だが、ずっと一貫して優しく素直で真摯。それが今やときのそらという人の唯一無二の立派な個性になっている。

そんな子が5周年ライブ。ステージで見せてくれた輝きの素晴らしさは、どんな言葉でも言い表せない。自慢の推し。そらちゃんが好きで、このライブを体験できてよかった。こちらこそ、ありがとう。

「わたしをここに立たせてくれて、わたしをアイドルにしてくれてありがとうございます」
「これからも一生懸命頑張るので、どうぞどうぞ、よろしくお願いします」
「本当に本当にありがとうございました!」

万雷の拍手が巻き起こる。光に包まれてそらちゃんが消える。
絵本の物語もエンディング。星々の拍手のくだりで、客席からも再び拍手があがる。ステージへお返しできるのは今は拍手以外にないので、もういくらでも拍手をする。
エンドロールで再び拍手。すぐに手拍子に切り替わり、出演者とすべてのスタッフの名前を見送る。
名前を見たからといって覚えるというわけではないけれど、やはりプロダクションにかかわった人全員に拍手を贈りたい。
どの制作物でも、もっと言えばどの業界でも表に出ない仕事というのはある。でも、こうしてクレジットがあるのは幸いだ。クリエイティブを仕事にする者にとってはクレジットだけが心のよりどころのような面が確かにある。(それでも記載されない場合もあるとはいえ。)
警備や物販のスタッフの名前もあり、本当にこんなにたくさんの人が関わっていたのかと思うとひたすら、ひたすら感謝だ。
最後にエルタマのお弁当・フラスタ企画のクレジットに自分の名前が入っているのを確認した。素敵な企画ありがとうございました。

5周年記念ロゴで再び拍手が起こる。最高の5周年をありがとう。
VTuberの5年は長い。本当に長い。それを越えて、さらに5年後や10年後の展望を最近は語ってくれる。「歌を歌いたい」「ライブをしてみたい」と語って5年。夢物語ではない。今は何もかも実現できるかもしれないという確信がある。行くぞ、横浜アリーナ。

会場アナウンスの「本日はお越しくださり誠にありがとうございました」で再びの拍手。
整列退場とアフタートーク参加のリストバンド確認が始まった。自分はほぼ最前だったので随分後だった。その間ずっと放心状態だった。とてつもない歌と音の力を浴びた余韻に浸っていた…

手を見るとまぁまぁボロボロになっていた。ペンライトを2本持って無理にクラップや拍手を繰り返していたらこうもなる。最終的に、左手は親指以外の4本で普通の棒状のペンライトを持ち手のひらを空け、右手は板型のペンライトを親指で手のひらに押さえつけて余った指4本で叩いていた。上手くいかない時は手首なども叩いていたが、いろんなところにプラスチックが当たっていたようだ。少々痛むが全く後悔はなかった。

アフタートーク

アフタートークは和やかな雰囲気で色々と語ってくれた。ライブの思い出も、今後の楽しみも知れてとてもいい時間だった。
えーちゃんがツイッターで写真をアップしていたが、ペンライトで遊ぶコーナーではウェーブか星を作るかで迷わず難しい方を選んだのがそらともらしかった。自分たちからはさっぱり全体図が見えなかったが、実際は想像よりうまく星の形になっていたようだ。
アフタートークでまでいい一体感を楽しむことができた。

ちなみにだが、実際の肉眼での見え方はこのえーちゃんがアップした写真が一番近い。見栄えだけならプロのカメラよりスマホのカメラが最強…
ペンライトはまばゆく激しく、客席もステージもバンドメンバーの表情が見えるくらいには明るく見えた。配信は暗すぎる…

いやーよかったよかった…最高だった…
久しぶりのライブ。満足、大満足です。
え!?こんなに最高だったのに夜の部もあるんですか!?
これ書くのに夜なべしまくって2週間もかかっちゃったんですけど!?ていうか読み返したらめっちゃ長…
後編に続く…のか!?

後編も時間かかっちゃったけど書きました。

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