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【物理】1-1.速さと速度

1.平均の速さ

物体の運動について考える際、速さというのは大切な要素となります。

この速さというのは、ある物体がある場所からある場所へ動いた「単位時間あたりの変化量」を表したものです。

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ドローンがあったとして、X軸上のX(T)地点から⊿T秒間だけまっすぐ移動してX(T+⊿T)地点まで動いたときのことを考えてみましょう。
(注:⊿(デルタ)という記号は変化量を表すときによく登場するので慣れておきましょう)

この時の移動距離は、
X(T+⊿T) - X(T)
ということになります。


そして、移動時間⊿Tは、
(T+⊿T) - T
と表すことができますので、このドローンの平均の速さは次のようになります。

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速さは、単位時間当たりの移動距離ですので、移動距離をかかった時間で割れば求められます。

難しく考えなくても、10秒間で20m移動したなら、1秒あたりの平均の速さは 20÷10=秒速2m であるというのは分かるかと思います。

よって、平均の速さというのは

平均の速さ=物体の位置の変化量(移動距離)÷時間の変化量(移動時間)

ですから、1-1の分子が位置の変化量(移動距離)で、分母が時間の変化量(移動時間)ということになります。

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ところでドローンですが、私もドローンをプログラミングで飛ばしてみたりしたことがあるのですが、安定飛行のためには、ドローン自身が空中で姿勢を制御しながら飛行する必要があり、意外と一定の速度では飛べていないと感じました。

しかも、ずっと動いている場合のワンシーンを切り取るならまだしも、X(T)地点では止まっていたドローンが⊿T秒後にはX(T+⊿T)地点に移動しました、という場合であったなら、その速さは0から始まって増えていったことになります。

要は速さが⊿T秒間の間でどのように変わったのか、ということについては一切触れられておらず、単にドローンが⊿T秒間の間にX(T)地点からX(T+⊿T)地点へと移動したということだけしか分からないのです。

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話を戻しましょう。

T=0で、⊿T=10秒 とします。
そして、Xについては
X(T)=0 で X(T+⊿T)=20m と設定しましょう。

そのとき、2つのケースを設定して比べてみます。

①T=0のとき静止(秒速0m)していて、T=10秒のときに秒速5mまで増加していった場合

②T=0のときからT=10秒まで秒速2mで一定の速さで移動している場合

①と②のいずれの場合でも、結局、10秒間で20m移動したという事実は変わりません。
②のケースでT=10秒の瞬間を切り取れば秒速5mかも知れませんが、T=0のときには秒速0mでしたので、移動距離とかかった時間から考えて、平均の速さは結局、秒速2mという結果になるのです。

このとき、あれ?秒速0mと秒速5mの平均だから(0+5)÷2=秒速2.5mじゃないの?という人がいるかも知れません。しかし、2種類の数字が出てきたから2で割れば良いというのは間違いです。

秒速0mから秒速5mまで一定の割合で増加したとは限らず、もしかすると、一気に秒速10mまで加速し、その後秒速5mまでスピードが落ちていたかも知れません。あくまでも①のケースでは最初と最後の速さが秒速0mと秒速5mというだけで、物体の運動として得られている結果は10秒間で20m移動したということだけなのです。

ですから、平均の速さは、もしかすると①のように速さが変化しながら移動したかも知れませんが、②のように一定の速さで移動したとするとどれくらいの速さで移動してきたと考えれば良いか、ということを求めたもの、というイメージでいると良いかも知れません。

2.速さと速度

これまで速さについて扱ってきましたが、似た言葉で「速度」という表現もありますよね。では「速度」とは何でしょうか。

普段の生活の中では「速さ」と「速度」の違いを考えることはまずないと思いますが、物理の中では異なります。

どちらも単位時間当たりの移動距離ということには変わらないのですが・・・

結論から言えば、速さは大きさのみで方向を持たない量であるスカラー量で、速度は大きさと方向を持つベクトル量であるということです。

簡単にするなら、速さは速度の大きさのみを表したもので、速度は方向まで含めた量ということになります。先ほどまで登場していたドローンで考えるなら・・・

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X軸上の運動で考えた場合に、+方向へ20m移動したのか、-方向へ20m移動したのか、ということまで考えたものが速度ということになるので、仮にー方向に20m移動した場合は、

 速度は秒速ー20m
 速さは秒速20m

ということになります。

物体Mが速度vで斜めに移動する場合で考えてみると

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このようにx軸とy軸上に速度を分解することができます。
x軸は右方向を正、y軸は上方向を正として考えます。

そうするとx軸方向の速度は+になりますが、y軸方向の速度はーということになるのが分かると思います。

よって、速度というのは、x軸方向の速度とy軸方向の速度とz軸方向の速度を合わせたもの(合わせたらどの方向にいくのかも含めたもの)で、速さはその大きさだけを表したものということなのです。

では、速さと速度に関してのお話はここまでにしておきます。

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