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2023.01.18 富山のパワースポット、弓の清水

ちょっとここ数週のエッセイは重い話が続きましたね。お口直しに、日本名水百選シリーズをお届け。


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年末に内定式のついでに実家に帰り、3年弱ぶりの帰省で家族に喜ばれた。そして先週、新居の内見のついでにまた帰省した。年はまたいだが、2週間ぶり今シーズン2度目の帰省だ。母さんからは「なんかこないだも見たな」と言われた。

用事を済ませて京都に帰る時に、朝早めの時間帯に実家を出ることによって時間を作り、富山の名水百選に寄ってきた。高岡市にある「弓の清水」という名水。

源平合戦の時代、武士も馬も喉が渇いてて、でも水が無く、この土地に弓を射ったら水が湧き出て、みんな喉を潤して士気が高まったとのこと。例に漏れずこんな伝説ウソだと思う。

環境省のホームページの地図はあたかも最寄り駅が高岡駅であるように描いてあったが、国道や河川など地理的特徴から考えるに、戸出駅が本当の最寄り駅だと判明した。事前に判明したからいいものの、やはり日本名水百選のホームページは信用ならん。

駅から1時間かけて歩いて向かった。デカいトラックがビュンビュン通る癖に歩道が無く、細~い路側帯しかなかったから危なかった。朝だからまだ霜が溶け切らず、濡れた塀や用水路から水蒸気が立ち昇っていた。

真っすぐ延々と歩いてようやく地図アプリが指し示す位置に着いたが、目の前にあるのは一軒家。人んちの敷地内にある名水なのかと思ったが、急いで検索したらもうちょっと離れた場所にあると出た。iPhoneの地図アプリもやっぱり信用ならん。

実際の場所は大通りから少し入った場所の、林の窪みにひっそりとあった。苔むした石段や竹筒から湧き水が流れてる様子はやはり名水と言うだけのことはあるし、引き続き水蒸気も立ち昇っていた。

でもやっぱり煮沸が必要な生水だった。実家から持参した水道水が十分にあったし、そもそも冬だからあまり喉は渇いてなかったが、やはり飲めないとなるとなんだか腹が立つ。

せめて冷たさだけ感じておこうと思って触れてみたら、別にそんなに冷たくなかった。冬なワケだしあかぎれになってしまうくらいキンキンかと思ってたが、長めに触れていたくらいには冷たくなかった。

帰り道、大通り沿いにある中華料理店に入った。工業団地がすぐ近くにあるから、12時のピークを避けてご飯にした。マーボー丼と醤油ラーメンが、あっという間に胃に入っていった。

謎だったのが、入ってから出るまでずーっとメガネが曇りっぱなしだった。入った瞬間に曇るのは分かるが、次第にメガネが温まって曇りが消えていくもんではないのだろうか。メシが見えないからメガネを外して食べてた。




弓を撃って水が湧き出て、それを長方形のコンクリで囲んで、中心に窪みのある石を置くって、どういう名水なの?とは思う。コンクリで囲むって、ゴリゴリに人の手を加えてるじゃんか。

それでも林の中の開けた空間にあるというのは、なんだかパワースポットのような凛とした空気感がある。こういった空間ではコンクリに苔むしてるのも、不衛生と言うよりかは秘境感が漂って良い。

水は飲めない、煮沸が必要。今まで35か所くらいの名水をめぐってきたが、そのうち半分以上が生水だったと思う。そもそも一級河川だって認定されているわけだからね。デカい川の水をすくって直で飲むなんて危ない危ない。

一度、ええいままよと思って生水をグビグビいってやったことがあるが、その夜に軽くお腹を壊した。生水のせいなのか、それとも晩飯を食いすぎたからなのか。

皆さんもぜひ訪れてほしいが、アクセスがそこそこ悪い。俺は駅から1時間かけて歩いて向かった。車で行くにしても、駐車場はあったのかなぁ。そんなスペース、整備されてなかったと思うんだよな。せめて原付かバイクで行った方がいい。

ただ駅から歩いて1時間は、名水の中でもまぁまぁアクセスいい方だけどね。絶対に車じゃないといけないような山の中に位置する名水だってあるし。比較的訪れやすいスポットではある。あとマーボー丼がうまかった。