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じぶんにとっての当たり前は、尊い。20代と30代の「無職」期間を経ておもうこと。

こんにちは。
転職活動を終えて退職も完了し、次の会社での初勤務まで1ヶ月、大人の夏休みを満喫しているもろちゃうです。

こないだ国民年金と国民健康保険を申請するために区役所に行った際、つい書類に「会社員」と記載して提出したのですが、職員さんに後からしっかり「無職ですよね?」と念押しされました。そうか、私はいま・・とその言葉の響きに若干胸がチクリとしたのです。・・と同時に、もっと胸が痛くて張り裂けそうだった、20代の頃の記憶が蘇ってきたのでした。

20代、1社目の会社を逃げるように辞めて転職活動をしていた頃も、私は「無職」でした。就活がうまくいかず、休学して就活浪人をしたにも関わらず、こんなに早く辞めてしまった。いよいよ「大学生」という肩書もなくなり、何ができるのかも分からず未来に絶望していました。
せっかく大学まで行かせてもらったのに、その先に敷かれているはずの「社会人」というレールに乗り移れないまま。そんな社会に適合できないじぶんを、「こんなはずじゃなかったのに・・。」と蔑み、自己肯定感のかけらもなくただ現状に打ちのめされていたのでした。

30代で同じ状況になった今、あの頃と比べれば断然心持ちが段違いです。なんなら絶望ではなく、未来への「なんとかなるさ」という楽観的な希望に溢れていたりします。それは、じぶんで自分のことを信じてあげられている状態。
無職を脱してからも幾度となく絶望は襲ってきたけれど、そこからなんとか乗り越えた経験を基にした自信も、じぶんの特性や不安の取り除き方も、ようやくわかり始めてきたからです。
あの頃の生きづらかったじぶんに贈りたいのが、『生き抜くためのごはんの作り方 悩みに効く16人のレシピ』という本です。

「14歳の世渡り術」という河出書房新社のシリーズ本で、22年2月に初版が発行されました。16人の料理のプロ達が、その年頃の悩みに寄り添いながら、解決するためのレシピとエッセイを寄稿してできた本。読めばきっと、よしじぶんで自分の料理を作ってみよう、と一歩踏み出せるんじゃないかな。

「食べることは生きること」。身体と心は食べたものでできている。もしひとりで料理ができたのならば、それはあなたの武器にも薬にもなる。簡単なことから始めてみよう。それはきっと「生き抜く力」になるから。

『生き抜くためのごはんの作り方 悩みに効く16人のレシピ』

わたし自身、7年前にひとり暮らしを始めると同時に自炊をするようになり、いまとなっては当たり前な行為。特に上手ってわけでもないし、周りに自炊している人なんて沢山いるし、なんなら自分以外の家族の分まで毎日3食作っている人もいるんだから、なんて。
だけどこの本を読めば、それは当たり前じゃなく「生き抜く力」であって、ひいては自己肯定感にも繋がるたいせつな行為なんだってわかる。
この本に寄稿した料理のプロ16人にとっても、その自己肯定感の恩恵はもたらされているのだとおもう。だって、この本が、一人ひとりの「生き抜く力」を後押しできる彼ら自身の仕事の尊さを、自ら語る構成になっているから。
寿木けいさん、山本ゆりさん、高山なおみさん、リュウジさんなど・・料理に関わる綺羅星のような人たちから生まれるほっこりレシピも、必見です。

20代の「無職」時代はひとり暮らしを中断して実家に戻り、ばあば(祖母)に毎日ごはんを作ってもらっていました。ばあばのご飯は愛情たっぷりで大好きだったけれど、じぶんで自分を慈しみ、根こそぎ無くなった自己肯定感のちいさな火種をつくるためにも、自炊しておけばよかったな、とおもいます。なんなら他の家族のためにも、じぶんの手料理を振舞うことで徐々に前向きになれたかもしれない。

恋人と過ごす時間も、気のおけない友人達といる時も、「食事の時間を共にする」以上に、「いっしょに料理して一緒に食べる」ことの方が私は好きです。ちょっとした失敗やハプニングも、ぜーんぶ幸せな思い出の程よいスパイスになっちゃう。
じぶんにとっての当たり前は、尊い。
これからも私は、「生き抜くためのごはん」を作り続けていきたい。そして、そんな自分をじぶんで思いっきり褒め、愛でてあげたいとおもいました。
ではでは。

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