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弟なんだから

転校してすぐの小学校低学年の頃の話。

ほんの些細なことで、兄と喧嘩になった。

確か、おはぎを出されて、きなことあんこがあって、自分はきなこを選んで、兄もきなこを選んで、それに対して自分が真似をするなと怒ったような気がする。

理不尽だ。

でも、真似されるのが嫌だったんだと思う、それは覚えている。

今考えると自分が理不尽だった。

ただ、そこで喧嘩になったとき、母親に言われた一言が心に残っている。

あなたは弟なんだから、我慢しなさい!

と。我慢しなさいという言葉だったかどうかは定かではないんだけど、

弟なんだから…

と言われたのははっきり覚えている。

それに対して、

なんで弟だってだけで、後から生まれたというだけで、そのことで我慢したり自分を抑えたりしなくちゃいけないんだ!

と、すごく理不尽と反発心を感じたのは覚えている。

よく話を聞いてもらい、それは、あなたの理不尽でしょ。とか、公平にじゃんけんで分ければいいでしょ。とか、冷静で公平なジャッジをされたのならわかるんだけど、歳の大小とか、兄弟の差を理由に叱られたり注意されたのは我慢ならなくて、今でもおかしいと思う。

そして、このときも父は登場しない。

このことで、兄に対抗心とか負けないぞという競争心も芽生えた気がする。

この理不尽な裁きの影響は、兄弟や歳の差を意識する、意外と自分の根深いところに影響しているかもしれない。

とにかく歳の差で差別されたのがすごい嫌だった。

うちの母親は、揉め事を捌くのがとても下手で苦手だったような気がする。

そして、それをフォローできるような大人、祖父母や父は、全くこういうときに登場しない、存在感がなかった。

そもそもこんなことがあったのを知らなかっただろう。

自分も理不尽だったけど、大人からの理不尽で抑えつけられたことに反発だけを覚え、納得したり、ちゃんと解決することを学ぶ機会を失った、そんな事件だったように思う。

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