勝手に芸人思い出note⑥畑英之
ヒデは「恋する哲学者たち。」というコンビでヒートに入ってきた。
元々中野のライブとかでよく一緒になっていたので面識はあったんだけどヒデは無口なタイプなので全然喋ったことがなかった。
ヒート入ってきた当初もそんなにすぐ仲良くなったって感じじゃなかったけどヒデは僕のどんなボケも受け入れてくれるし路上ライブ誘ったときも毎度来てくれたし見た目はとっつきにくいけど凄く心優しい男のイメージ。
ネタは主に漫才だったかな?
結構受けていて毎回上位だったんだけど事務所からは推してもらえず結局やめちゃったんだよな。
しかも相方にも逃げられてフリーのピン芸人という世の中で一番難しいポジションになった。
でもちゃんとネタ作ってライブ出て一生懸命努力して新しい事務所にも入って頑張って三木プロのエースにまでなったんだよな。
本当に凄いと思う。R-1でも一回戦落ちが何年も続いていたけどどんどん面白くなって去年は3回戦まで行ってツギクル芸人で決勝に進んだりネタパレに出たりと大活躍した。
僕は解散を機にとっくに芸人辞めちゃうんじゃないかなって思っていたけどヒデは心からお笑いが好きなんだろうなって感じた。
なぜならそもそもヒデは社会人として働きながらお笑いをやっている。
嘘じゃない。何故なら僕は一度弁当の配達でとある撮影現場に行ったらそこにいたスタッフがヒデだったことがある。
本当にちゃんと社会人として働いている。
収入も安定しているしそこそこ地位もあるだろうけどお笑いをやっているって本当に好きじゃなきゃできない。
昨年の春、僕はいつものように中野vスタジオでヒデと同じライブに出ていた。
僕は客席でヒデの後ろに立って暗転中だけヒデの髪の毛をくちゃくちゃにするっていう遊びをしていた。
もちろんただのパワハラだ。
しかしヒデはいつものように嫌な顔せず受け入れてくれた。
ただその帰り道。ヒデが僕に言ったのだ。
「MORIYAMAさん。お話があります。」
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