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ChatGPTが作った文章をChatGPTが読む世界

「記事をChatGPTで書いてみた」系の話がnoteでも目立ってきた。今は「執筆省力化に成功!ウェーイ」(←そこまで軽薄なのはないw)が目を引くが、ちょっと気になることがある。

MicrosoftがBing検索にOpenAIが提供するGPT-4エンジンを搭載することは、すでに周知の通りだ。こいつはかなり高性能らしい。従来の検索の概念を変えてしまう可能性がある。Googleも「Bard」なるAIを用意しており、近日中に内容が公開されるだろう。

検索行動が根本から変わる

こいつらの登場により、私たちの検索行動はかなり変わってくる。これまでは、

  1. キーワードを入力する

  2. 検索結果のリストが表示される

  3. いちいち各サイトにアクセスし、該当部分を読む

  4. 頭の中で要約する

という手順を踏んでいた。しかし、これからは、

  1. キーワードを入力する

  2. 要約が表示される

  3. 要約を読む

というステップになる。つまり、検索サイトから先にユーザーが出ていかなくなり、各サイトへのアクセスが省略されるケースが増えてくるだろう。

もちろん、サイトにアクセスしないとわからない情報も多いので、完全にそんな状況になってしまう、ということではない。あるいは、要約しては意味がない記事も少なくない。例えば、日記や詩、小説、随筆、紀行文の類は要約から、ある程度は逃れるだろう。

一方で、「いかがでしたか」系の情報提供記事や製品レビューは、真っ先に要約対象となる。ちょっといいことを言うインフルエンサーも同じで、時間をかけて全部細かくチェックするのではなく、「◯◯さんの今週の投稿をまとめて知らせて」と依頼すれば、サクッと適切にまとめてくれる時代がすぐに訪れる。となると、個々の投稿に残るのは、どんな意味だろうか。

さらに言うと、そのインフルエンサーの投稿もAIが執筆していたとしたら、私たちは一体何をしているのだろうか

情報量の再現なき増加という現状に対して、「もっと楽に教えてくれ」という潜在的・顕在的な欲求はかなり大きい。だから、上で挙げたようなAIの使い方は、急激に拡大するに違いない。

AIが書いた文章をAIが読む時代へ

次に生じてくる問題は、要約される元記事が今後はAIが作ったものに入れ替わってくる可能性が高いことから生じる。つまり、私たちは、AIに記事を作らせ、それをAIが要約した文章を読む、となる。

結局、AIが情報を要約した文章を読むなら、記事制作に時間をかけるのは基本的に無駄だ。無駄になる工夫の一つがデザインだ。今はデザインの良し悪しが検索順位に影響を与えるから意味があるが、全く意味を与えなくなったら、デザインの必要性は極端に減る。

さらに、記事の構成や細かい文言のブラッシュアップに時間をかけることも意味が薄くなる。AIに理解できないような支離滅裂な記事はダメだろうが、多少ごちゃごちゃしていても、AIが必要な情報をピックアップして、よしなにまとめてくれるとしたら、あまり時間をかける必要はなくなる。細かい文言を磨き上げる必要もない。要約には含められないかもしれないから。

必要なのは正確な情報をまとめることであって、あとはAIに任せてしまい、適当なデザインのサイトにテキストと画像だけ置いとけばいい、クローラーが拾ってAIが要約を作ってくれるから、となってしまう。

先のことはわからん

いろいろわからないことだらけだが(未来のことなので、わからないのが当たり前ではある)、一つわかっているのは、このAIは人類の大半がほぼ無料で使えるようになる道具であり、今後はそれを使うことが前提になることだ。AIを使うにせよ、使わないにせよ、そこは自覚して行動する必要があるだろう。

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