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【そして思い出し笑い〜こんな子、育てましたけど】 #29 芸能人になりたい…!?

短大に通っている間に
もうひとつ
大事件が起こりました。

私の知らないうちに…

雑誌の広告を見て
芸能事務所に応募していました(;_;)

中学生の頃、
クイズヘキサゴンに出ていた
おバカタレントさんたちに
大いに勇気づけられ

おバカでも堂々と生きたらええねん♪

なんなら、
アホなこと言うて笑われるのって
おいしいやん♪

という立ち位置を
見出してしまった長女。

アホなこと言うて
笑われるタレントなら
私にもなれるかも…

そんなふうに
思ってしまったのかもしれません。
(真意のほどはわかりませんが)

勝手に応募して
勝手に面接に行き、

「受かったから事務所に入る。
登録料がいるから
私のお年玉の入ってる通帳、返して」
と言ってきました。

わが家は子どもが3人。

家計としては
育てるだけで精一杯です。

将来の結婚資金などは
自分で調達してもらわなくてはなりません。

その時に、少しでも足しになれば…と
出産祝いやお年玉の一部を貯めた
子ども名義の通帳がありました。

それを、返してほしい、と。

はい。またまた大げんかです。

「あのな。芸能事務所に入ったら
その日から芸能人です…ってことじゃないよ。

芸能事務所に入ったら
まず、レッスンするねん。

だから、登録料とか
レッスン料とかがいるわけ。

つまり、
芸能事務所に入るってことは
習い事するのと一緒や。

習い事がしたければ、
もう大学生やねんから
自分でバイトしてお金を出して

ボイトレでも、ダンス教室でも
ちゃんとした教室に習いに行きなさい。

芸能事務所って
きちんとしてるとこもあるけど
そうじゃないところもある。

実際、
ヤクザみたいなとこもあるねん。

とにかく、わが家の方針として、
芸能事務所は許しません。
通帳も、返しません」。

ガツンと言ったつもりでしたが
長女には通じず。

「なんで私のお年玉やのに
私が使ったらアカンの?

お母さんは、いつでも
やりたいことやったらエエって言うてるくせに
結局は否定するやん!」

「だから、
ダンス教室でもボーカル教室でも、
行ったらエエって言うてるやん!!!
ただ漫然と『芸能人になりたい』言うて
なれる世界とちゃうねん!!!」

てな感じで、大げんか。

妙なところで
大胆というか、
怖いもの知らずというか…

あれだけ、絶対にアカンと
言ってきかせたのに

親の言うことはまったく聞かず、
勝手に登録してしまいました。

そして、お金もないのに
登録料の10万円は分割で払う、と
契約してしまったらしい。

いろんなことを
鋭く観察している次女(当時は高校生)が
こっそりと私に教えてくれました。

「お母さんが仕事に行ってる時に
お姉ちゃん、例の芸能事務所に
契約書のFAX送ってたみたいやで…」と。

はああ。
やっちまいましたか。

通帳は勝手に持ち出されましたが
暗証番号は教えなかったので
お金は引き出せず。

バイトもしていないので
払えるお金はゼロ。

そうこうしているうちに
入金の期限が過ぎ、
芸能事務所から、長女の携帯に
電話がかかってくる。

しばらくほったらかして
様子を見ていましたが

何度もかかってくる電話に
さすがの長女もビビり始め、

最後には、私が
代わりに電話に出ることになりました。

「娘が勝手に契約してしまったようで
ご迷惑をおかけしました。
こちらとしては、
登録させるつもりはありませんので
契約は解除していただけますでしょうか」

「いやいや、すでに契約してますんで、
ちゃんと登録料は払ってもらいますから」。

まじか。
まあまあヤクザな事務所やん…

それからも、数回の電話があり
(長女には、出ないように言っておきました)

ついに私は、長女の目の前で
警察に電話をかけることにしました。
(もちろん、長女をビビらせるため)

こうこう、こういう事態になっているんですけど
どうしたらいいですか?

「警察としては
事件性があれば動きますが
今のところ、事件性はないようですね。

消費者センターに
相談されてはどうでしょうか?」
というのが警察の回答でした。

ほほー、なるほどー、
こういう時は消費者センターなんやね。

さっそく電話して
契約解除の方法を教えてもらいました。

長女が勝手に契約したのが、12月。
1月生まれの長女、
もう少しで20歳、というところでした。

これ、
20歳を過ぎていたら
契約解除はむつかしかったらしい。

契約時に未成年だったので
ギリギリセーフ!!!

契約の取り消し通知の
はがきのフォーマットをダウンロードして
芸能事務所に送りました。

その後も、何度か
電話がかかってきたので

「契約取り消しの通知を
送らせていただいたのですが」と話したら

「受け取っていません。
そちらがそう出るなら
こちらも法的手段をとらせてもらいます」と
脅されました。

ま、脅されただけで
その後は何も言ってこなかったので
助かりましたけれども。

こうやって事態は終息を迎え、

長女は、またひとつ
社会を知ったのでありました。

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