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中村桂子さん基調講演を聞いて

森林と市民を結ぶ全国の集い2024「人も生き物たちも喜ぶ森をつくるには?~地域の自然との共生をめざして~」基調講演の一つ、生命誌研究者・中村桂子さんの基調講演を聞きました。
動画公開中に書ければ良かったのですが、6月2日までの公開でした。

印象に残ったのが、生命誌絵巻。詳しくはリンク先を見ていただければと思いますが、生命の歴史と多様性を分かりやすくあらわしています。

この説明のなかで、「生物多様性」の話をするとき人は扇の外から話をしてしまっていないか、中から目線で考えるべきではないかという旨を述べておられました。
この「中から目線」は、田舎で暮らしていると自然ともたらされるような気がします。
時折、出張で東京や大阪といった都会に出ますが、所謂人工物と自然の割合は真逆な感じです。8:2ぐらい。職業柄、航空写真をよく見るのでその印象もあるかもしれないけど、実際に出会う植物や虫の数が全然違うんですよね。
これを書いている今もカエルの大合唱が聞こえ、田んぼの草刈をすれば隠れていた虫が慌てて逃げ出し、水のなかにはオタマジャクシやイモリがたくさんいる。
講演のなかで、種数を大きさに投影した図も出されていたのですが、田舎暮らしではヒト以外の生き物が本当にたくさんいることを感じます。タヌキやアナグマ、キツネ、イノシシなどの動物や鳥なんかもたくさんいますが、虫の数は圧倒的です。今の時期は、水路の辺りでホタルが飛んでいます。
過疎という言葉は人口密度の低さをあらわした言葉ですが、生き物の密度はとても高いと感じます。

生物多様性や環境問題を本当に考えたい大企業の方などには、都会のビルの中でパソコンを操作しながら集めた情報で考えるだけでなく、是非ワーケーションなどで農村に中長期滞在して生き物に囲まれた場所で生活し、できれば野菜を育てたり川で魚を釣ったり生き物と直接かかわりながら、感性を活かした取り組みを進めてほしいなと思いました。
自然の大きさを感じ、逆に、絶滅危惧種ってホント?とか思うかもしれませんが、年々変化する気候とそれに対する動植物の反応には危機感を持つと思いますし、開発などの行為がこれだけの生き物の住処を奪っていることを実感を伴って理解できると思います。再生可能エネルギーの議論なども、すぐに数字にあらわれないであろう自然の営みやエネルギー、水への影響も感じられると思います。

ちなみに中村さんは自然あふれる場所に行かずとも、身の回りを見渡せば植物も虫も鳥もいますよ、と仰っていました。これもまた真実で、どこでも逞しく生きる虫とか草とかが、隙間からどんどん侵入してきますよね。

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