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ヘイトフル・エイト タランティーノ夢の結晶

タランティーノの映画オタク炸裂

この映画は単純にストーリーを楽しみたい人には向かないのかもしれない。
しかし、映画を映像の総合芸術として鑑賞したい人にとってこんなにも魅力的な作品は近年稀だ。
タランティーノの映画オタク、特にマカロニウエスタン好きは有名な話だが、ここまでマニアックな夢を実現したのは奇跡的だったのではないか。
まず、よくぞやってくれたのが、ウルトラパナビジョン70という70ミリフィルムで撮影したということ。
デジタルカメラ撮影がスタンダードの今の時代によくも許してもらえたものだと、天晴れです。

画面いっぱいに連なる馬車

70ミリに耐えられる舞台のデザインは日本人!

ウエスタン好きなタランティーノは荒涼とした雪景色の山々、画面いっぱいに広がる長〜い幌馬車。こういうシーンが撮りたかったんだろうな。そして、中盤からの舞台は紳士洋品店の密室。
この舞台作りは日本人美術監督の種田陽平だ。この舞台、70ミリ横長スクリーンのために作られている。
荒野の洋品店なのに巨大なロッジのように、だだっ広いワンルーム。この店の中に8人のならず者が点在しているわけだが、ワンシーンで画面の隅々に映るように出来ている。そして、70ミリの画像に耐えられるよう、この舞台は細部まで精巧に作りこまれている。

種田陽平氏のデザインによる荒野の洋品店

音楽は巨匠エンリオ・モリコーネ

音楽はなんと巨匠エンニオ・モリコーネ。
荒野の用心棒などマカロニウェスタンの音楽を担当したハリウッドの重鎮だから、どうしても一緒にやりたかったんですね。
そして、なんとこの作品で初のアカデミー賞受賞!と、映画界の巨匠や重鎮が参加した映画ながら、内容はというと、いつものタランティーノ調。
残酷、お下劣オンパレードの残酷すぎてスプラッターコメディかというような内容。
ある意味初心貫徹。
という訳でやりたいことをついに実現した今作品。タランティーノファンには大満足の作品と言っていいのではないだろうか。
しかし、ここまで夢を実現してしまうと、次はどうするのだろう。タランティーノは10作作ると言っているので、後2作あります。

ウルトラパナビジョン70カメラで演出する監督



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