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眠いのに眠れない。寝るのが下手くそな人の話。

世の中というのは、矛盾で溢れている。
好きだけど嫌いとか、
幸せになりたいはずなのに、誰かの悪口を言っているとか
お金を貯めたいはずなのに、散財することでストレスを発散したり、
僕たちはなんと不恰好で不完全な生命体なのだろう。

僕は、うまく眠れない。
くたくたになって疲れているはずなのに
さっきまであんなに眠たかったのに
布団に入ろうとすると、なぜか目が冴えてくる。

もうそれに慣れっこになってしまったので、
布団から出て、夜の町を散歩する。
今帰ってきたところだ。少し疲れたので眠れるかもしれない。

明日のことを考えることがこんなにも苦痛だなんて
誰も教えてくれなかった。

そういうもんだよ、と誰かが言う。
そうか、そういうものなのかと、自分に言いきかせる。

でもうまくいかないことの方が多い。
健康なことだけが取り柄だった僕は
大人になってそれすら失ってしまった。

真っ暗な海をたゆたう
ふるびたボートに乗って
どこに進んでいるのかさえわからない。
どこに進めば良いのかもわからない。
だれもあかりを灯してくれないのだ。
月が見えればよかったのに。

そんなことを考えていると、
気がつくと空は明るくなり始めている。
僕の体が光にさらされる。
まだ肉体が残っていたことに安堵する。

それでも僕は今どこにいるのだろう。
わからない。




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