【1分小説】運命の転校生【300字小説】

お題：運命
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　僕は一生、冴えない男として生きていくのだろう。中二の春までそう思っていたけれど……。

　貧相な体と血色の悪い肌。あの頃の僕は、教室の窓に映る自分を見てはうんざりしていた。

「今日は転校生を紹介します」

　クラスがざわつく。転校生の明里さんは美しい人で、偶然、僕の隣の席に座ることになったのだ。

　＊

「翼くん、こっちこっち！」

「どうしよう、クラスの人に見られたら……」

「大丈夫。翼くん、今日も可愛いもの」

　お気に入りの花柄のスカートと、セミロングのウィッグ。僕を女の子として目覚めさせたのは明里さんだった。

　冴えない男でいた方が楽だったかもしれない。けれど僕は、彼女が変えてくれた運命も悪くないと思っている。

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