【1分小説】白紙くんとハサミちゃん
お題:「栄光のドロドロ」
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「白い体しやがって。潔癖症かよ」
ゴミ捨て場で、新入りの白紙君は、華やかなチラシ君たちにいじめられていました。
いつもは紙に負けている石ころも、今日ばかりは傍観者を決め込んでいるようです。
ゴミ捨て場のそばには見渡す限りのレンコン畑が広がっています。
朝の時間、学校へ投稿する子供たちの黄色いランドセルが、畑の間を縫うように歩いていきます。
ゴミ捨て場のそばを、ひとりの子供が通り過ぎた時のことでした。
ランドセルから、子供用の赤いハサミがひとつ落ちて、レンコン畑に落ちてしまいました。
「ひいいっ」
ハサミが悲鳴をあげました。
その子は気付かず歩いていってしまいます。
「助けて!」
ゴミ捨て場の紙たちは見て見ぬふりです。
「助けてって言われても、ねえ」
「あんな水たまりみたいな畑に飛び込んだら、僕たちの方が死んでしまう」
「それにハサミでしょ?」
白紙君は違いました。
風の力で畑に飛び込んだのです。