【1分で読める小説】ありきたりな殺人

お題:ありきたりな殺人
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沈黙する死体の間を歩く。地下倉庫の一番奥へ向かい、肩に掛けていた新たな死体をそこに置いた。

どの死体にも傷跡はない。年齢性別も分からない。
後ろをついてきた仲間に、俺は問うた。

「なあ、この光景見たら、俺は殺人者に見えるのかな」
「……だろうね」

仲間もまた、運んできた死体をそこに置いた。
実際のところ、これが死体なのかもよく分からないのだ。

俺は運んできた死体の腕をつかみ、勢いよくもいだ。
腕は粘土細工のように肉体から離れた。
一秒も立たずして、その断面から勢いよくつぼみが伸び、花が咲き始めた。
以前は、ビー玉があふれ出たこともあった。

これが死体なのか、本当に分からないのだ。