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ライブ配信の「正解」を演者目線と参加者目線から分解してみた。

ライブ配信について、絶賛見習い中の身なのだが、記事としてアウトプットすることで知識を習得していこうと思っている。ど素人・未経験の僕がライブ配信に携わることになった経緯については、下記の記事に書いているので、お時間のある方はぜひ。

ということで本題だが、いきなり配信オペレーションを覚えるより、まず最初にライブ配信において、目指すゴールと意図を明らかにしておくことが大事だと思う。なぜなら、配信オペレーションはとても奥が深くて、こだわろうと思えば、どこまででもこだわれてしまう世界だからだ。

そこで、今回は演者(講師)の目線から見た時の「正解」と、参加者(zoomなどオンラインで視聴・参加している人)の目線から見た時の「正解」と、この2つを定義してみようと思う。その上で、僕らがどのようにその「正解」に近づけようとしているかを紹介したいと思う。

演者目線から見た「正解」

演者としてライブ配信の現場に立った時に、一番びっくりするのが、一度に処理しなければいけない情報量の多さである。配信のテレビ映りも見ないといけないし、参加者の表情やチャットのコメント、スタッフからのカンペも見つつ、説明している資料も読まないといけない。これを同時にこなすには相当な慣れを要するし、対面でワークショップや講義をしていた頃と比べて明らかに脳への負荷が高い。

そんな状況にある演者から見て、どうなっていれば講義がやりやすいかを考えてみる。

①参加者への適切な情報伝達

まず演者目線から見ると、自分がしゃべっている内容が視覚・聴覚情報として、参加者に適切に伝わっているか?が一番気になってくる。なぜなら、講義で到達したい目標の状態があって、そこまで参加者を導けるかどうかが重要になるからだ。

これに応えるために、現在配信されている映像(参加者に見えている映像)を講師用のディスプレイでモニタリングできるようにしている。ここで演者のイメージする映り方と違っている場合、違っていることを配信スタッフにフィードバックできる。

実際にあった例だと、演者のバストアップ(胸から上)が映る画角で撮っている際に、途中から演者が立ち上がって身体全体を使ってデモを見せる場面があった。しかし、配信スタッフ側がそれに気づいておらず、演者が先に気づいて「カメラ引いてください(全身が映るようにズームアウトしてください)」と声がけをして、スタッフが対応したということがあった。

②参加者の反応の確認

次に、演者が伝えた内容に対して、参加者がどんな受け取り方や反応をしているのか?が気になる。なぜなら、対面での講義と違って、zoomの小さい画面で、しかもミュートでという制約がある状況で、相手の様子を把握するのはなかなか難しいからだ。

これに応えるために、なるべく多くの参加者の表情が見えるよう、講師用のディスプレイ(配信映像のモニタリング用とは別にもう1台)にギャラリービューで参加者の様子を映したり、チャットでの書き込みを表示したりする。

これが見えていれば、演者が参加者の反応を見ながら、その中の1人に話を振ったり、ついていけていない人をケアしたりすることもできる。例えば参加者からの質問に対して、参加者のミュートを解除して直接会話する場合、参加者の声が演者に聞こえる必要があるので、Bluetoothスピーカーなどから音声を出力できるよう準備しておく。

③話しやすい環境

そして、そこまで担保された上で、演者自身が話しやすい環境で話せるかどうか?が大事になる。

これに応えるために、物理的な環境で言えば、照明が眩しすぎない適切な光量に調節されていることや、部屋が暑すぎたり寒すぎたりしないこと、必要な機材(PCやケーブル類、ピンマイク、ホワイトボードなど)が手が届く場所に配置されていることなどが重要である。

あと、実は重要なのが配信スタッフのリアクションがあることだったりする。もちろん、笑い声が配信に乗ってしまうと邪魔になるということはあり得るが、大きく頷いたり、声を出さずに表情だけで笑うことなどはできるはずだ。

と言いつつ、最初は「配信スタッフはあくまでも黒子なんだから、リアクション取らない方がいいんじゃないだろうか?」「かえってノイズになるから、気配消しとくべき?」と思っていた。ただ、ある時配信スタジオの見学に来ていた方がリアクションが大きい(よく笑い、よく動くw)方で、演者がそちらに目線を送りながらノリノリで講義をしていたのを見て、考えが変わった。

参加者目線から見た「正解」

今度は参加者目線で見てみよう。

参加者から見ると、映像、音声、資料(あれば)がクリアに見たり聞こえたりするかどうか、が最優先で重要である。例えば映像が粗くてぼやけたモノだと、長時間見続けるのはストレスになるし、音声が途切れ途切れだったら、聞く気すら失せてしまうだろう。

ここまでは大前提として、もう少し細かく分解して見ていこう。

①映像の解像度・明るさ

映像の解像度は高いに越したことはない。演者の表情がクリアに見えれば、講義の臨場感や内容への没入感が高まるだろう。ただし、「参加者側の」映像というのがポイントで、zoomでは参加者が3人以上になると自動的に解像度が落ちてしまう仕様があるのをご存知だろうか?

このため、対応策として「画面共有」を使って「第2カメラのコンテンツ」を共有する、という方法が存在する。この方法を使えば、カメラ映像を高解像度で共有することができる。

あとは、基本的なことだが、演者の表情がよく見えるように適切な照明(ライティング)が当てられていることも重要だ。照明については、「三点照明」という基本的な考え方があるので、まずはそれを押さえれば大丈夫だろう。

②音声のクリアさ・音量・BGM

音声については、まずは演者の話し声がクリアに、適切な音量で聞こえることが第一だ。一般的にはピンマイクを使って演者の声を拾い、それをミキサーでコントロールする形で配信していることが多いと思う。その中で、参加者が聞きやすい音声にするために、「ゲイン」「ボリューム」の違いを押さえておくことが重要だ。

2つの違いは、

・ゲイン = 入力の音量
・ボリューム = 出力の音量

ということなのだが、そもそもボリュームが小さいと、参加者側は音量をかなり上げないと演者の声が聞き取れないことになってしまう。一方で、演者の声が音割れしてしまっているような場合、ゲインが大きすぎる可能性があるので、ゲインを下げる必要がある。

また、講義開始までの待ち時間や、合間の休憩時間などにBGMを流すことがあると思う。しかし、zoomには会話を聞こえやすくするために、人の話し声以外の音(音楽や背景雑音)を自動的にカットする機能が備わっているため、BGMの音が聞こえなかったり、極端に小さくなってしまうことがある。

このことを避けるために、ミーティング開始後に、「詳細」から「オリジナル・サウンドをオンにする」をクリックし、オリジナル・サウンド(=話し声+BGMの両方が合わさったサウンド)が配信されるようにする必要がある。

③投影資料・チャットなどの見やすさ・一覧性

投影資料を使った講義の場合、そのスライドが大きく見やすいこととがもちろん大事なのだが、同時に話している演者の様子も見えた方が講義の臨場感が高まって、集中して聴けるようになる。そのため、単に資料をそのまま画面共有するのではなく、OBSなどの配信用ソフトを活用して、資料+演者が同時に一画面に映るような画面を構成して、それを配信する方法が採られる。

こんな画面のイメージだ。

画面構成イメージ1

もちろん、画面構成は目的に合わせて自由に組み替えられるので、講義開始時は演者を真ん中で大きく映しておいて、あとで投影スライドと位置を入れ替えれば良い。

画面構成イメージ2

ちなみに、この画面に「チャット」が含まれているが、チャットも講義中に演者と参加者とでコミュニケーションを取るための重要なツールである。演者からの問いかけに対して参加者が回答したり、参加者から質問を投げかけたり、チャット上で様々なやり取りが交わされる。

しかし、チャットのやり取りを追いかけるためには、参加者側ではチャットのポップアップウィンドウを開けておかなければならず、限られたPC画面の中でどこに置いておくか迷ってしまう。かと言ってウィンドウを閉じてしまうと、誰かがチャットで発言するたびにウィンドウを開いて確認する手間が発生してしまう。

そこで、いっそのこと、チャットを配信する画面の中に組み込んでしまえば、参加者は必要な情報(演者+投影資料+チャット)を一つの画面でまとめて見ることができる。OBSを使えばそんなこともできてしまう。

実はこれは、講義のライブ配信を見逃してしまった参加者のために、アーカイブとして残しておくことを想定したアイディアでもある。というのも、zoomをただレコーディングしても、チャットの内容はその動画内には保存されないので、「開始から11分35秒後のタイミングで、どんな質問がチャットに上がったんだろう?」と思っても、容易には確認できない。チャット自体はテキストデータとしては保存可能なので、その時系列データを遡れば見られないことはないが、とてつもなく面倒くさい。

であれば、講義映像とセットでその時のチャットがリアルタイムで記録されていれば、ライブ配信を追体験しやすくなる、ということだ。

ちなみに、OBSを使った画面構成の考え方は、繰り返しになるが、こちらの記事がオススメだ。

まとめ

ということで、演者(講師)の目線から見た時の「正解」と、参加者の目線から見た時の「正解」についてざっくりとではあるが定義してみた。これからライブ配信をやろうとする誰かが困った時に、少しでもヒントになれば幸いである。

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