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ブックレビュー『フリーダム』江崎道朗著

江崎道朗先生の『フリーダム』を読んだとき、私は、沖縄返還交渉時の密使として、あのキッシンジャーと渡り合った若泉敬先生の言葉を思い出した。若泉先生は生前、国家の「危機管理」について、次のようなことを話されていたそうだ。(※孫引きなので、文言が原典と異なる可能性もある。なにとぞご了承いただきたい)

「危機管理とは考えられないこと、あるいは考えたくないことを考えることである。戦後の日本人は、危機管理など考えたくないことには目をつぶり、耳をふさいできた。そしてきれいごとをいって、耳に心地よいことばかり追い求めている。まるで愚者の楽園であり、精神的・文化的に根なし草に陥ってしまったようなものである。」

本当に耳が痛くなる言葉であり、私は何一つ言い返すことができない。考えたくないことを、全然考えずにこの歳まで生きてきた。
そんな私が感じたのは、本書の中で、江崎先生は「誰も考えたがらない危機管理」について、確かなデータや事実をもとに詳細まで分析し、それを分かりやすく説いてくださっているということだ。
「今そこにある危機」をしっかりと認識し、その危機から自分たちの手で母国を護らなければ、私たちが長年味わってきた「自由」は、早晩消えてなくなってしまうかもしれない。(見解は様々だと思うが、実際のところ、日本国民の自由が近年徐々に削られているように感じることもある)
個人の自由は、他国からの干渉や侵略を受けることなく、完全に独立した国家を自力で護り続けることで、初めて維持されるものと私自身は考えている。いつまでも「根なし草の愚者」であってはならないと、改めて自分に言い聞かせている。


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