森下裕美X吉田尚記さんとの対談inマチ★アソビ(最終回)
森下裕美X吉田尚記対談いよいよ最終回!
前回は青少年アシベができるまでのお話のお話でした。
今回は青少年アシベの制作の秘密と森下先生のこれからの活動について。
さっそく続きをどうぞ!
・「森下が描いてほしいって言ってるんですけど・・・」
吉田
へえ・・・ちなみに、笑平さんとはお会いしたんですか?
森下
はい、最初、担当編集からメールで「森下が描いてほしいって言ってるんですけど・・・」って連絡してもらったんです。ただ、誰かがいたずらで連絡したんだと思ったらしく、しばらく取り合ってくれなくて 笑
一同 笑
吉田
・・・まあ、そうなりますよね。
森下
でも、出版社の方から連絡が来てるということで、会ってもらえることになって、お話して、描いて頂くことになりました。
吉田
・・・あの、今感じたことなんですけど、たぶんそれ、先ほど森下先生のお答えであったように、自分で作ったものよりも現実のほうが現実離れしてるっていう話をキャラクターについてされていたのと同じで、たぶん笑平さんも、現実にそんなこと起こるわけないって思っていることが森下先生によってもたらされちゃったんですよ。・・・信じてもらえました?
森下
はい 笑。
そのとき、会うまで私もすごく緊張しちゃって、最初しながわ水族館で会ったんですよ。
吉田
いや~~ロマンチックですね!
森下
で、二人でアザラシを観たりとかして、どういう世界を作っていこうかって話をして、
吉田
で、今に至るわけですね。
森下
はい。で、あたしはネームを描いているんですけど、二人でやっているのが楽しくて、息もあっていて、夢のような職場ができました。
吉田
へえ~~、じゃあ、ちなみに、笑平さんが描かれてたものの設定を採用したりとかしたんですか?
森下
いやそのままとかではなくて、ちょっと美少年ぽくしました。
吉田
そうお願いしたんですか?
森下
いえ、二人で作りました。スガオくんも、髪を結んだままだとちょっとオタクくさいので、髪を切っちゃいました。
・あ、あれはですね、笑平さんがモデルです。
吉田
へえ~、そういえば、いまユミコちゃんがものすごいオタクにされちゃってますけど
森下
あ、あれはですね、笑平さんがモデルです。
吉田
へっ!?そうなんですか!?
森下
そうです。ああいう感じなんです。
吉田
へえ~、ぼく、一番感情移入できたのがユミコちゃんでしたね。
そしたら、マオちゃんがその辺思い切り引きずられて、オタクに成長してしまったと。まあ分からなくもないですが。
それで四コマからストーリー漫画に変えて、毎回毎回、回ごとに打ち合わせをされてるんですか?
森下
そうですね。笑平さんのすごいところは、まず二人はどれくらいの身長差ですか?っていう話から聞いて、爪の形はどんななんですか?って聞いてきて
吉田
爪の形!?
森下
はい、そうなんです。それで、指の形はどうしますか?とか、めちゃくちゃ細かいんです。
ああ、漫画ってこういう作り方もあるんだ~って思いましたね。
吉田
へえ~、森下先生って、マンガ家デビューされて何年目ですか?
森下
何年だっけ・・・?(左手で指をおりつつ)
スタッフ
37年です。
吉田
37年!それで最新作の制作で「漫画ってこういう作り方もあるんだ!」と驚かれたと
森下
はい、だから、知らないことがどんどん出てきて楽しいですね。
・死んじゃってもいいからいろんなことをやろうと思ったんです。
吉田
なるほど、確か森下先生の漫画の出発点は、あんまり外に出なくて、部屋にこもって暮らしていられるってところでしたよね?
森下
はい、そうですね。
吉田
なんか、逆ですね。こう外に出て色んな人と接していらっしゃるのを聞くと。
森下
そうですね。なんか、30歳くらいから、死んじゃってもいいからいろんなことをやろうと思ったんです。もしかしたら世界はそんなに永くないかもしれないと思って・・・
吉田
えっ、世界がそんなに永くない!?
森下
はい、世の中が終わるか自分が終わるか、どっちが先が分かんないですけど、とにかくやりたいことはやりたいって言って、どんどんやっていこうと思ったんです。
吉田
なるほど、そのうちの一つが、いまは青少年アシベなんですね。
森下
そうですね。今はそうですが、連載前に別作品を何本か描きました。大阪ハムレットもまたどこかで描きたいですね。
・ネパールの活動と、電動車いすサッカーの活動の応援
吉田
あの、いま、ネパールの活動と、電動車いすサッカーの活動の応援をしてらっしゃいますよね?これはどういう経緯なんですか?
森下
これはたまたま、ネパールの資料のために、日本にいるカレー屋さんでもいいから紹介してくれない?って知り合いに言ったら、今、東大の大学院に通っているシャラド・ライ君を紹介してもらったんです。ご本人が言うには、ネパールの将来の大統領を目指しているそうです。シャラド・ライ君はすごい人で、ネパールには小学校や中学校が少ないから、学校を作る活動をされていたんです。私、その人に会って一時間もしないうちに魅了されて、今に至ります。
吉田
なるほど、いま、コラボレーションで帽子作っていらっしゃったりしますよね。原画展でも販売されてました。
吉田
あと、車いすサッカーなんですけど、
森下
あ、はい、日本では全然馴染みがないと思うんですけど、電動車いすサッカーという競技があるんです。オリンピックの競技種目には入ってないんですけど、ワールドカップがありまして、この間FIPFAワールドカップの予選がありました。そこで2位になりまして、2021年の本選に出場できることになったんです。
吉田
おお、すごいですね
森下
はい、以前からずっと応援していて、だから、もっと自分なりの応援の仕方はないかな~って思ったんです。それで、だったらアニメに出しちゃえばみんなに知ってもらえるなと思って、アシベのアニメで取り上げたんです。私がシナリオ書いて、日本障がい者サッカー連盟会長の北澤豪さん、日本サッカー協会の理事でもあるんですけど、つながりがあったので、出てくださいってお願いしたら「いいよ」って返事があって、本人役で出てくれました。
吉田
へえ、そうなんですね。それで車いすサッカーのことを広めようとしていらっしゃるんですね。・・・あの、今お伺いした二つとも、「応援」じゃないですか。つまり、いろんなことをやってみようと思って、やっていらっしゃる楽しいことの一つに「応援」っていうものがあるんですか?
森下
そうですね、向こうもありがとうって言ってくれて、なにしても感謝してくれるので、みんな幸せですね。あと私は、自分の力を利用するというか、利用できるんで、これを使わなきゃもったいない、無駄にしたくないって思ったんです。
吉田
なるほど、さっきのクリエイター魂に近いですね、全部生かしたいっていう感覚ですよね?
森下
そうですね、そうかもしれません。
吉田
それなら、今回徳島に来たことも、何らかの形で生かす感じですか?
森下
はい、そうですね。
吉田
へえ、楽しみですね。てな感じでもうすでに終わりの時間になってしまったのですが、最後に森下先生が大切にしてることって何ですか?
森下
う~ん、人に親切にすることですかね?人って見た目で判断できないから。変な恰好した人でも、もしかしたら偉い人である可能性もあるし、いつでもだれにでも親切にするよう心がけてます。
吉田
なるほど、自分も以前とある作家さんから、「人に親切にしないやつは油断してるやつだ」って聞いたことがあります。とても大切ですよね。
それでは、これでイベントを終了したいと思います。
みなさまありがとうございました。
(対談はこれで終了です。
最後までのご愛読、ありがとうございました!)
対談書き起こし:オカピ@エンタメプロデュース・編集者
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