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二人の天使

その時決めたんだ
お父さんとお母さんの 笑顔を見て▪▪▪


「ねぇねぇ 見て見て」


「どうしたの?」


「あの二人なんてどうかな?」


「 そうだねぇ あの二人ならいいかも」


ここはお空の世界です
お空の世界では子どもたちがいっぱいいて、
地上におりて、おもいっきり楽しむ為の
順番待ちをしています


そこに二人の子どもがいました。
名前は、「ゆう」 と「そう」


二人は、 別々の卵から生まれ、
一緒に暮らしていました。


お空の世界のこどもたちは、
二人と同じように
みな、卵から生まれます。


不思議なことに
卵にはあらかじめ名前が
ついていて、地上に生まれる前には
もう決まっているのです。


ゆうとそうは、お空の世界から
自分のお父さんとお母さんを
探しています。


もうすぐ地上に降りる順番が
回って来るからです。


二人は、別々のお父さんとお母さんの
ところに行くことも、同じお父さんと
お母さんのところに行くことも
できます。


「僕たちずっと一緒にいよう」


ゆうがいいました。
二人はお空の世界で一緒に暮らし、
いつも一緒にいて楽しかったので、
兄弟になる約束をしました。


でも、兄弟になるということは、
どちらが先に生まれるかを
決めなければいけません。


「僕が先におりたいなぁ」


「え~、僕も先に降りたいよ」


「早くお父さんとお母さんにあいたいなぁ」


「僕もあいたいよ」


まだお父さんとお母さん を決めた
わけでもないのに、
二人とも地上に生まれたい気持ちで
いっぱいでした。


いくら話しあっても、結局決まらず、
じゃんけんで勝ったほうが先に行くことに
しました。


「ようし、じゃんけんしよう!」


「わかったよぅ」


「いくぞ、じゃ-ん け--ん  ぽん!!」


ゆうは、 パーで、そうは、グーでした。


じゃんけんの結果、ゆうが先に生まれる
ことに決まりました。


お空の世界から地上に生まれる前には
やることがあります。


地上に降りて、
お父さんとお母さんに
一度会いにいくのです。


お空の上からでは、
頭の上側しか見えないので、
近くに行って、どんな顔をしているのか? どんな性格なのか? 
その人の振る舞いを見て
最後に確かめるのです。


もし 会いに行ったお父さんとお母さんが違うと思ったときは、もう一度お空に戻り、次の順番が来るのを待ちます。


会いにいくには、
羽を決めて、それを背中につけると
地上に降りれるようになります。


羽にはいろんな種類があります。


すごく速そうな羽、大きくはばたけそうな羽、鳥や蝶々の羽など、たくさんたくさんあります。


「これに決めた!」
「僕はこれ!」


二人は、たくさんある中から、ピンときた 羽を見つけました。


ゆうは、すごく速そうな羽
そうは、コウモリの羽


選んだ羽を背中につけると
さあ、これで地上にいけます。


二人はぴゅーっと
選んだ お父さんとお母さんをめがけ、
地上に降り立ちました。


いよいよお空の上から見ていた
お父さんとお母さんに会います。


▪▪▪


あった瞬間その笑顔を見て
この人たちだと
感じました。


「僕たちは、家族になるんだ。」
「僕たちのお父さんとお母さんだ。」


一切の迷いなく、
ゆうとそうは決めました。


生まれてからのことを
想像していたら、
わくわくしてきました。


お母さんに抱きしめてもらいたい
お父さんといっぱい遊びたい


お母さんのぬくもりを


お父さんの優しさを


二人はお空に戻ると
管理人さんにお父さんとお母さんを
決めたことを伝えました。


先に生まれるゆうは、
しばらく離れることになる
そう と別れの挨拶をして
生まれる準備に入りました。


「先に行って待ってるからね」


「僕も絶対いくからね」


ゆうは生まれる日を決めて
さあ、 いよいよ光となり
お母さんのお腹の中に向かいます。


▪▪▪


ドクン
ドクン


なんだか あたたかい
なんだか ここちよい


そう


ここは お母さんのお腹の中です。
ついにやってきました。


聞こえてくる声は、
間違いなく
あのとき確認した
お父さんとお母さんの声です。


うれしくて
うれしくて


どんな景色が待っているのだろう
どんな体験ができるのだろう


様々な思いが
かけめぐっています。


「会えるのを
  楽しみにしていてね


    お父さん
       お母さん」


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