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BOOK REVIEW vol.004 宇宙が終わるまでに恋したい

今回ご紹介する本は、浅田悠介さんの『宇宙が終わるまでに恋したい』です。

今回は、yujiさんの“ライブ選書”からのご紹介!

こちらの本は、stand.fmの“PLAY EARTH🌎QUANTA”チャンネルにて、日曜日担当のyujiさんがご紹介されていたことがきっかけで出会いました。

毎週、yujiさんが番組内の“ライブ選書”のコーナーで、一冊の本をご紹介されているのですが、これが毎度、興味をそそられる本ばかり。

日々、膨大な数の出版物が発行されている中、一人で本屋さんに行っても、目に留まる本、手に取る本は、ごくわずか。多くの良書との出会いをみすみす逃しているような気がする中、yujiさんの視点から本をおすすめしてもらえるのは、とても有難いことだと思っています。

ライブ選書の中には読んでみたい本がたくさんありますし、これからもブックレビューの題材として、こちらの中から選ばせていただくこともあるかと思います。

今回は、8/6(現時点で最新回)で紹介されていた『宇宙が終わるまでに恋したい』のレビューとなります。

yujiさんが今回の本を紹介されていたスタエフはこちらです↓
(ライブ選書のコーナーは24:25頃〜ですが、ぜひ最初からお聴きください!)

ライブ選書のアーカイブ(一覧)はこちら↓

ただの恋愛小説じゃない?
あらゆる人間関係に役立つメソッドが詰まった一冊。

出町柳・三条大橋・鴨川・河原町
京都御所・鈴虫寺・金閣寺…

ページをめくると
目に飛び込んでくるのは、
主人公が暮らす京都の地名や
神社仏閣の名称。

思いがけず、
物語の舞台が京都で嬉しかった。

京都の地名を
そっと指でなぞって、
胸に響かせてみる。
一瞬にして脳裏に蘇る、
京都での学生時代の思い出。

私も約20年前、
主人公と同じように
京都で学生生活を送っていました。

夏の夜、ふらりとどこかに行きたくなり
鴨川沿いや暗がりの街中を
自転車で走っていたあの頃。

北に行くほど暗くなる河川敷、
身体にまとわりつく湿気、
生ぬるい風、
京都の街の匂いまでもが
ついこの間のことのように
思い出せるから不思議。

この物語の主人公は
京都の大学に通う、二十歳のアカリ。
(通称:プチパンケーキちゃん)
※通称の由来は、ぜひ本でご確認を🙇‍♀️

恋愛経験がなく妄想多めのアカリと
時代は違えど、過去、
同じ京都で“二十歳だった私”を
重ね合わせながら、
物語を読み進めていきました。

恋愛超初心者のアカリの恋愛は
甘酸っぱくもあり、
もどかしくもあり、
かなり危なっかしい・・・

ふと気づくと、
母親のような目線で
ハラハラ心配しながら
読んでいる自分に苦笑しながら、

「当時の私はどうだったっけ?」
と、物語と自分の過去を行ったり来たり。

たぶん(ほぼ十中八九)当時の私も
“プチパンケーキちゃん”でした(痛)

アカリと同じく
恋愛の進め方が分からず、
壁にぶつかるたびに
悩んだり、泣いたり、
友だちと相談しあったり…
当時は当時で、
忙しい日々を送っていたような(苦笑)

けれど、私とアカリの大きな違いは
“恋愛認知学”の研究者である
ベニコさんの存在の有無。

ベニコさんのレッスンを受けるアカリが
少し羨ましい気もする。。

当時の私にもベニコさんが居たら…
もしくはこの本を読めていたなら…
何か変わっていたのかな?(遠い目)
なんて、しても仕方のない想像をしてみたり。

でも、読みながら感じたことは、
この本を“一冊の恋愛小説”として
読み終えてしまうのは、とても勿体無いということ。

ベニコさんが教えてくれる“恋愛の公式”は
実はあらゆる人間関係に適用するなぁと思います。

私も最初のうちは
“恋愛小説”として読んでいたけれど、
「これはコミュニケーション全般に通じるのでは?」
と気づいてからは、目線を少し変えて読んでいました。

実のところ人間関係が苦手な私でも
今日から実践できそうなメソッドが
豊富に散りばめられていて、
「なるほど、そうだなぁ」という気づきが多くありました。

恋は一人でするものじゃないから。相手を知ろうという気持ちがないと恋はできない。自分の心を探って、相手の心を探って、どうにか恋愛の形はできあがるものだから。

『宇宙が終わるまでに恋したい』より引用

物語の中に登場するこの一節は、
“恋”というワードを
別のワードに変えても成り立ちそうだな、と。

恋愛と同じく、
人間関係、コミュニケーションも、
相手を知ろうとする気持ちが、
きっと大事だから。

恋愛中の人、
恋愛がうまくいかない人、
これから恋愛したい人はもちろん、
今は恋愛より仕事モードの人、
あらゆる恋を経験済みの人、
恋愛にも結婚にも興味はないけど
人間関係に悩んでいる人 etc…

さまざまな年代・状況の方に、
yujiさんもスタエフ内で言われていましたが、
“恋愛本だと敬遠せず”に読んでもらいたい一冊です。

物語を読み終わる頃には
主人公のアカリが少し大人へと成長しています。

珈琲に入れる角砂糖の数が減っていくように。
物語の始まりと終わりでは
アカリが見ている世界も、
大きく変化しているのがとても感慨深い。

アカリの恋はまだ始まったばかり。
そんなアカリの恋の続きにわくわくしつつ、
過去“二十歳だった”私も
清々しい気持ちで物語を読み終えました。

最後に・・・
文中に何度も登場する“フランシス喫茶室”。

高瀬川沿い
ホイップクリームを塗ったような白い壁
店内に流れるクラシック音楽、
店員さんのメイドのような制服・・・

店名こそ、もじってあるけれど、
あの有名店のことかな・・・?
なんて想像しながら読んでいました。

もしそうであるならば、
私にとっても、
とても思い出の詰まった喫茶室です。

今度、京都に行ったらまた寄ってみよう。
深紅のビロードばりの椅子に向かい合って座る、
アカリとベニコさんを思い浮かべながら。

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