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EXITのnoteを読んで、コンテンツはコロナ自粛期間中に新しい世界が始まるんだと思った話

出るぞ出るぞと言われていた「緊急事態宣言」がついに出ました。それ自体はもう「みんな頑張ろうぜ!」の世界なので、頑張ろうと思います。頑張るぞ。

そんな中、「コロナ漫才」をYouTubeで披露して話題になっていたEXITのりんたろー。さんがnoteを始められたのをみて「あぁ、本当にコンテンツも新しい世界が始まったのかもしれない」と思った話をします。

ざっくり言うと、こういう芸能人の単発note、今回の自粛期間中にけっこう増えるんじゃないかなぁと。

もちろんコロナ以前でも、以下のような流れは既にあったと思います。

・Abemaなどのネットに近い番組出演/Youtubeなどで少数制作体制を経験

・ネットコンテンツにそこまでの抵抗感がなくなる

ただ、あくまでもステータスとしてはテレビを主戦場としながら、(露出あるいは収益面の)選択肢としてネットもある、という位置付けだったと思われます。

それが、今回のいつ終わるともわからないコロナ禍によって

・純粋な収録・制作の停止

・停止明け後も、当面は少数スタッフでの制作になり、番組コンテンツもいろんな意味でYouTube番組に近いグレードやクオリティになる

という状況が強制的に確定されてしまいました。

そうなると、収入とかの問題とは別に、

・番組コンテンツ(本業)≒動画となった以上、そことは別に「自分が言いたいこと/やりたいこと」を何かしら(動画やSNSとは違うツール)で表現したい、という気持ちが出てくる
 →
・ここまで主にテレビに対してYouTubeが担ってきたような役割が、別のツールにスライドしていく

となるのは、ごく自然な流れだと思います。
そうなった時に、

・文章ならnoteというツールがあるのか。一人ですぐにできるし、時間あるし(*ココ超大事)、ストックコンテンツとしてやってみようかな

という導線がEXITさんのケースで一つできたのは、わりと大きいのではないかなと。

例えば「コンテンツの自己解説」って、テレビなどはスタッフや演者が大勢いる以上、一人の演者として書けることはかなり少ないと思います。

でもYouTubeなら、少数制作で演者が主体となって企画している以上、全然書いてしまって良い。当事者によるコンテンツ論というこれまで「監督」と呼ばれる存在しか書けなかったようなものが、広く個人の表現物として開放されるようになったわけです。

例えば今回のりんたろー。さんのnoteはいわゆるエモい文章であり、このエモさは動画の中に入れてしまうと余分なものになってしまいます。それが文章として本体から切り出されたことによって、本人あるいは動画コンテンツにとって、付加価値を与えてくれる存在となっているのです。

これはつまり、これまでの本や雑誌、ブログなどの位置付けとは(似てるようで)全く異なる世界の始まりではないかなぁと感じたわけです。

やってることの見た目自体はさほど変わらないのですが、ツールによる主従関係のない、本当の意味で各コンテンツが平等に存在するという世界線の始まり、という感じでしょうか。

「SNSがそうなのでは?」と思うかもしれませんが、SNSはあくまで演者への親しみや共感などを増幅させるための装置であり、テレビコンテンツなどでいう「表現」とは性質が異なるもの(バズ狙いだと、その公式を解きにいってしまうもの)です。

今回の自粛によって番組コンテンツで従来のような「表現」ができなくなってしまった以上、演者には早急に新しい表現の「場所」が必要となります。そして今回の自粛期間中のような「早く終わるか長くかかるかすらわからない」という状況においては、雑誌連載やチャンネル開設のようなある種の重さや責任、そして公式認証とかを気にしなくていい「フッ軽スタート」が可能な場所(いつ止めてもいい点含め)およびコンテンツのストックが可能な場所(いつまで続くかわからないので)が、何よりも重要になります。

それらの「状況」も「感情」もトータルで満たし得るツールの1つとして、noteって実はすごくいいなぁ、と今回の件で強く思った次第でした。

noteは社名変更・6周年・4400万MAU突破などいろいろポジティブなニュースが続いていますが、自分としてはここで感じた可能性そのものが、今後に向けて一番ワクワクさせられた話でした。

というわけでnoteさん、6周年おめでとうございます。いつも楽しく読ませていただいておりますmm

(了)

以下、上記の補足というか蛇足というかな話だけ延々と続きますよ

もちろん芸能人の方たちが自分の文章を発信すること自体は、アメブロやSNSなどがあるため珍しいことではありません。YouTubeチャンネルを開設した人も増えています。

ただ、これまではどうしても本職のYouTuberと違って「テレビ」が主語というか、「テレビじゃできない/言えない」のようなテレビ軸判断でコンテンツが作られてきたように思います。ネット上の文章も同じで、やはり主戦場であるテレビを1つの基準に、そこから溢れた/そこに繋がるような幕間コンテンツという位置付けなのかなと。

(もちろんYouTube専門の作家さんやプロダクションを入れ、YouTubeに特化したコンテンツを作っている芸能人の方も多いですが、それは「YouTuber」という既に確立されたフォーマットにあわせたコンテンツであり、「新しさ」という意味ではやっぱりちょっと違うかなと)

テレビや映像制作の仕事に絡んだことがある人、そうでなくともスタジオ見学やロケをみたことがある人ならわかると思いますが、あれはとにかくヒト・モノ・カネ、そして時間がめちゃくちゃかかっています。

「本当にあんなに必要なの?」という疑問はさておき、ヒト・モノ・カネ・時間といった「コスト」はかけたほうが、単純にコンテンツがリッチになります。もちろんコストかけなくても面白いモノは作れますが、人間は贅沢にはすぐ慣れてしまいます。たまに貧乏をするのは楽しめても、ベースは金ある方が安心安全。みんな大好きネトフリ・アマプラもお金のおかげ。日本のドラマより海外ドラマの方がグレードアップしてるから歓迎したわけで、進んでグレードダウンしようとは思えません。

若者のテレビ離れなどがあり、テレビにはもう魅力ないだろと感じるかもしれませんが、あくまでそれは「観る」側の話であって、「出る」「作る」側の人はやはりリッチな環境の方がヤル気は出ると思います。収入だけなら別の手段の方が効率いいかもしれませんが、単純に「何かをやる以上、大舞台の方が燃える」みたいな感情論もあります。

それゆえ、個人的には「最初からYouTuberを目指していた人」「そもそも本業が違う人」は別として、「テレビや大舞台を経験してから、本気でYouTubeやネットコンテンツに移行する人」は一部を除いていないんじゃないかなーと考えていました。

ところがですよ、この出口の見えないコロナ禍によって、テレビコンテンツがどんどん「貧乏」になってきているのです。特にヒトが投下できなくなったことによって、テレビの持つリッチ度が目に見えて下がってきているのです。シンプルにグレードがダウン。

もちろん、だからと言って別に演者さんがテレビから逃げ出すことはないでしょうし、一連の騒動が終われば、またリッチ度も戻ってくるでしょう。

ただ、今回ほどコンテンツ制作が難しいという状況はかつて無かったと思います。震災時はどちらかというと物理的な問題や「不謹慎」という感情問題による難しさでしたが、今は本当に「何が問題になるかわからない問題」が大きすぎ、ヒトはもちろん、準備時間すらほとんど取ることができません。当然カネも使いづらい。

こんな時だから、と無観客ライブなどを配信してくれる方や団体も多いですが、語弊があるのを承知でいえば無観客ライブってどこか見てて不安になるので、実はあまり見たくないという人も多いのではないでしょうか。もちろん制作側は体力が削られるだけで直接的なメリットはほぼ皆無。

(当然何事にも例外はあり、例えば嵐の「A・RA・SHI」は無観客とは思えないクオリティと強度があります。やっぱ嵐ってガチのスーパースターだな、と改めて感じました)

さらに、いわゆる「応援コンテンツ」を作ろうにも、何を応援すればいいのかさえわかりません。誰にとっても、何もかもが初の状況です。

それもあってか、コンテンツの制作に関しては一部で「アフターコロナ/ビフォーコロナ」について盛んに論じられていますが、それはあくまで制作側の話でしかありません。

多くの人にとって必要なのは、今みるためのコンテンツです。だって過去でも未来でもなく、「ナウコロナ」の今を生きてるわけですからね。

たくさんの無料開放コンテンツやネトフリ・アマプラのおかげで「全然いける」という人も多いですが、録画モノオンリーの世界は結構早い段階で飽きるんじゃないかなぁと思っています。やっぱり新作というか、今やってる何かがないと人間は不安になるはずなので。

そうなった時の、この「ヒト・モノ・カネ」の無い、そしてこれがいつまで続くか読めないという初めての世界で、芸能人のような表現者は何を選択すればいいのか。

「モノを作る時間はあるけど、手続きとかはクイックにしたい」という事情の制作側、そして「コンテンツを消化するための時間が増えたので、これまでよりはじっくりと向き合える」というユーザー側のマッチ度を考えたとき、YouTubeでもSNSでもなく、noteという選択肢は1つの小さな新世界を作ってくれるんじゃないかと期待をしているわけです。

というわけで繰り返しになりますが、noteさん、6周年おめでとうございます。いつも楽しく読ませていただいておりますmm



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