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ファーザー・クリスマス

雨上がりの朝、
道を歩きながら坂本龍一作の”戦場のメリークリスマス”を聴く。
ただそれだけで、見ている風景が輝きだす。
 
私は、昨日、大島渚監督の「戦場のメリークリスマス」を観た。
初観だ。

”戦場のメリークリスマス”という曲は好きだ。
見よう見まねで鍵盤を弾くぐらい。
どこか心の琴線に触れるものがある。
 
その事から、映画との関連性は知ってはいるものの。
自分の中の曲イメージが壊れる事が怖くて、映画を観る事ができずにいた。
 
それが何であろうか。
教授が他界して、暫くたち、観てみたいと言う気分に変化した。
それが昨夜だ。
 
感想としては、複雑な気持ちが入り混じる。
第一には美しさ。続いて葛藤、相(サガ)と受容。
 
1942年ジャワ島での日本軍捕虜収容所を舞台としている。
観ながら色々な事を考えさせる映画だ。
ローレンス中佐とはアラビアのローレンスからとった名であろうか?
「To be or not to be, that is the question, Major Celliers.」とは、
ヨノイ大尉の報われない世界の暗喩か。
 
デビットボウイ演じる英国軍少佐セリアズ。
彼の青年期からの葛藤、そして、受け入れる様。
(Majorと言う響きはTomを思い描いてしまう。 )
それぞれが抱える人生と葛藤と受容が緻密に描かれている。
また好きな映画が出来てしまった。
さて、「ファーザー・クリスマス」という言葉が、この映画のキーワードで出てくる。
恥ずかしながら、この言葉を私は知らなかった。
 
英国では、サンタクロースの事を「ファーザー・クリスマス」と呼ぶのだとか。
しかし、サンタクロースと同化していったのは、19世紀中頃からで。
それまでは英国北部のケルト文化の影響を受けた存在。
冬の終わりの祭に姿を現す。
緑色の帽子と服を着て、贈り物を届けてまわる「お酒を持った陽気なおじさんキャラ」であったようだ。
 
今、日本ではスキー・スノーボードはオフシーズンに入っている。
プレーヤーにとって雪どけは悲しくもあるが、祝いの時でもある。
緑が芽生え、生き物は栄え、山々は豊になる。
先シーズンは雪どけも早く、消化不良となっていたが、
雪に感謝し、また楽しむ為にも。
しっかりとファーザー・クリスマスを祝いたいものだ。
 
 
 
最後に。
私は坂本教授が幼少期過ごした小学校と同門だ。
一方的に勝手に好意を抱いている。
嵐の後、朝日を浴びながら学校の周辺を歩きく。
ヘッドホンから流れる「戦場のメリークリスマス」は、私達を幸せにしている。その想いを故人に捧げたい。

季節外れだが「Merry Christmas! Mr. Sakamoto.」



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