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【安曇野から発信する潤一博士の目】28~温暖化、どうする地球 その2~

図ー1、地球の三つの安定な気候状態(田近英一、2009)

   図ー1は、前回(27)で紹介しました、地球の三つの安定な気候状態です。①アイスハウス期は、現在のような気候であり、二酸化炭素(CO2)が増えれば②グリーンハウス期へ移りました。CO2が極端に減少すれば、③スノーボール期が出現しました。CO2増加の原因は、大規模な火山噴火でした。ホットスポットと呼ばれる海域で、地球深部のマントルから大量の玄武岩マグマが噴出し、大量のCO2が伴いました。気温は上昇し、グリーンハウス期の灼熱地球となりました。現在、CO2濃度は400ppmで平均温度が15℃ですが、600ppmを越えれば、南極氷床が消失し、グリーンハウス期の灼熱気候に突入すると予測をされています。
 灼熱地球となれば、地表岩石の風化作用が盛んになり、カルシウム(Ca)などの元素が大量に生成し、海に流入、とけ込みます。Caは海水に溶けているCO2と結合し、CaCO3となり沈澱し、CO2は海水から、次つぎと取り除かれます。こうして、大気中のCO2も減少し、気温も低下します。世界各地に広く分布する石灰岩は、過去に、大気から取り除かれたCO2の“化石”のようなものです。
 全球凍結したスノーボール期は、23億年前、7億年前、6.4億年前などに出現しました。全球凍結のままでは、現在の動・植物は誕生できませんでした。全球凍結からの脱出は、大規模な海底火山の噴火に伴うCO2の増加のたまものでした。

図ー2、過去6億年のCO2濃度の変化(田近英一、2009)

 図ー2において、右端の新生代(7000万年以降)が、地球史における“現代”というところです。新生代のなかの最新260万年が“新生代氷河時代”と呼ばれます。CO2濃度は数億年前から、次代に減少してきて、“新生代氷河時代”が出現したのです。次回は、この“新生代氷河時代”の中の、詳しい気候変動について、お話しします。現在の地球温暖化とも関わってきます。“どうする人間”です。

(地質学者・理学博士 酒井 潤一)


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