島日記 春が好き?秋が好き?
ジャガイモ餅を作った。
チーズと黒島ミカンの皮がいい香りだ。
片栗粉をつなぎに入れたほうが餅っぽくて食べやすいが、今回は入れずに、オーブンで焼いた。
冷えたらジャガイモだけだとボソボソして食べにくい。
つなぎ(繋ぎ、綱、継なぎ)はやっぱり大切。
日差しは段々強くなり、春の気配が濃くなってきた。
好きな季節を問われると、今は、春と答える。
若い頃は生温く、萌え出ずる春よりも、無常感漂う、枯れた秋のイメージに惹かれていた。
春ははじまりの予感があるし、香りもある、歳をとると誰でも春を好むようになると思うが、違う人もいるかもしれない。
古くからこの論争は続いており、見つけると愉しい。
万葉集では「額田王」は秋を好むとあるらしい、源氏物語には「秋好中宮」がいる。
「紫の上」は春を好むし、兼好法師は十九段で言っている。
「折節の移り変るこそ、ものごとにあはれなれ。もののあわれは秋こそまされと人ごとに言ふめれど、それもさるものにて、今一きは心も浮き立つものは、春のけしきにこそあンめれ〜」
と、春に軍配をあげている。
更科日記の少女が宮仕えしていた時に、春が好きか、秋かと問われて詠んだ歌。
「浅緑花もひとつに霞みつつ おぼろに見ゆる春の夜の月」
平安時代の貴族のあいだでは、春秋歌合せなどと言うものもあったらしく、これは引き分けに終わっているそうだ。
暇を持て余しているようすが浮かんでくる。
どっちでもいいのだが、つい聞いてみたくなる、知りたい気持ちになるのは私だけだろうか。
私も暇なのねと言われそう。
島では春秋が短く、あっという間に夏になり、冬になる。
いとおしい春をこころゆくまで愉しもう。
今日もお付き合いくださってありがとうございます。
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