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【詩】宇宙の迷子Ⅱ

でーでーぽっぽー
日曜の昼に鳴くのはキジバト

あの音は何と尋ねる私に
あなたは事も無げに
指を差して教えてくれた

何十年も雑音だったのに
この度初めて知ろうと欲した

でーでーぽっぽー
日曜の昼に鳴くのはキジバト

何十年も
私の身体は
無駄を省いて
地球の上で働いていたけれど

無駄に含まれた
私の中身は
身体を離れて
宇宙の中を漂っていた

真っ暗な真空で
みえるものも見えず
きこえるものも聞こえない

身体から押し出されて
感覚を失った
宇宙の迷子が
何十年も聞き流した
でーでーぽっぽー

他愛ないこの音を
この度めでたく知ろうと欲した

あの音は何と尋ねる度に
見慣れた道を歩く
身体へと
宇宙の迷子は
ぐんぐん落ちて行く

着古した宇宙服の軸索が
ぷつりと切れて
どさりと
地球に
足裏が着いた

私の耳に
いま
ようやく
あなたの声がきこえる

最後まで読んでくださって、ありがとうございます。